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大学・研究所にある論文を検索できる 「ペプチド固相合成法を用いるJBIR-126の全合成、原発性アルドステロン症の迅速診断を指向したカリクレイン検出法の開発、およびペイロードMonomethyl auristatin Eの合成研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ペプチド固相合成法を用いるJBIR-126の全合成、原発性アルドステロン症の迅速診断を指向したカリクレイン検出法の開発、およびペイロードMonomethyl auristatin Eの合成研究

大山 皓介 東北大学

2020.03.25

概要

本論文では固相法を用いた生物活性新奇鎖状ペプチド JBIR-126 の全合成、Pro-Phe-Arg- pMA を用いたカリクレインの電気化学的検出法の開発、Monomethyl auristatin E の合成研究に関する研究成果について論述している。

第一章「序論」では近年の創薬研究の現状と非天然型含有アミノ酸を用いた創薬の有用性について述べている。また、高血圧関連疾患である原発性アルドステロン症診断法の重要性について述べ、電気化学的手法が迅速診断を可能にすることについて触れ、その開発の重要性を明らかにしている。さらに、抗体薬物複合体 (ADC 薬)について概説し、ADC 薬の課題とMonomethyl auristatin E (MMAE)を固相法により合成する意義と目的を明らかにしている。

第二章「ペプチド固相合成法を用いた JBIR-126 の全合成」では液相法を用いた JBIR-126の合成経路の確立と誘導体合成を指向した JBIR-126 の固相合成について述べている。JBIR- 126 (1)は非天然型アミノ酸である-メチルセリンおよびピロリジノグリシンを含む中分子鎖状ペプチドである (Figure 1)。1 は白血病細胞に対して弱いながら毒性を示すのに対し、ピロリジン環を持たない JBIR-34 (4)は細胞毒性を示さないことから、活性発現にはピロリジノグリシン部位が必須であることが示唆される。著者は、1 の生物活性および構造的特徴に興味をもち、誘導体合成を可能とする合成経路の確立を目的に 1 の全合成を行なった。

第三章「原発性アルドステロン症の迅速診断を指向したカリクレイン検出法の開発」では、電気化学的手法を用いたカリクレイン検出法の開発について述べている。原発性アルドステロン症は高血圧の一つで、その患者は近年増加傾向にあることから、懸念されている疾患の1つである。電気化学測定は簡便かつ迅速に行うことができるので、原発性アルドステロン症患者において高発現する酵素カリクレインの検出に適していると考えた。カリクレインはPro-Phe-Argを特異的に認識するため、Pro-Phe-Argに対して適切なマーカとなる官能基を導入したペプチドを調製し、カリクレインと反応を行い、生じたマーカーを電気化学的手法を用いて検出することにより、間接的にカリクレインが測定可能であると考えた。共同研究者である末永、井上らによって、他の酵素検出においてp-methoxyaniline(pMA)がマーカーとして有用であることが報告されており、pMAをマーカーとして選択した。本研究では、pMAの切断反応が酵素反応により進行するのか、カリクレインにより切断されたpMAを定量的に測定可能であるか、カリクレインの検出限界はどの程度であるかを明らかにする目的で行なった(Scheme3)。
実際に、Pro-Phe-ArgにマーカーとしてpMAを導入した基質とカリクレインを1時間反応させ、サイクリックボルタンメトリーによる電気化学測定を行った。その結果、基質そのものは電気化学活性を持たず、カリクレインと基質が反応することでpMAが遊離し、0.55VvsAg/AgClにpMA由来の酸化電流を観測することができたことから、pMAはカリクレイン検出のマーカーとして利用できることを見出した。また、クロノアンペロメトリー法による測定からpMAは定量的に基質ペプチドから遊離することが分かった(Figure2)。また、基質の濃度と電流値の関係は、ミカエリスメンテン式に当てあてはめることができたことから、本反応が酵素反応により進行していることを明らかにし、基質と酵素が親和性を持つことも分かった(Figure3)。さらに、カリクレインの検出限界はサイクリックボルタンメトリーを用いて0.01unit/mLであると決定した。第3章では、酵素活性が弱いカリクレインを電気化学的手法により迅速かつ簡便に検出できる新たな手法になることを示した。

第四章「ペイロード Monomethy Auristatin E の合成研究」では、現在抗体薬物複合体(ADC薬)において最も多く用いられている MMAE (17)の簡便合成を指向した合成研究について述べている。17 は抗体と複合した ADC 薬のペイロード部分を担い、強力な抗がん活性を有する鎖状ペプチドである。これまでに 17 の類縁体であるドラスタチン 10 (18)の全合成例は多数報告されているが、いずれの合成も液相法を用いたもののみである。固相上で 17 を合成することができれば、17 とつなぐリンカーも固相上で伸長することができるようになり、リンカーの開発をはじめとする ADC 薬の開発をより加速すると考えた。17 は非天然型アミノ酸すなわち、ドラプロリン(Dap)、ドライソロイン(Dil)、N-メチルバリンとバリン、およびノルエフェドリンより構成される (Figure 4)。非天然型アミノ酸を調製したのち、固相上での部分構造の連結を計画した。

第五章「結論」では、本論文の内容を総括した。

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