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大学・研究所にある論文を検索できる 「Dynamics of effector and naïve Regulatory T cells throughout pregnancy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Dynamics of effector and naïve Regulatory T cells throughout pregnancy

繁田, 直哉 大阪大学

2021.01.31

概要

〔目的(Purpose)〕
制御性T細胞は、免疫抑制作用をもつT細胞である。胎児抗原に対する母体免疫細胞の反応を抑制する作用を介するなどして母児間免疫にも関わっているといわれている。ヒトに対するこれまでの研究でも末梢血中の制御性T細胞は妊娠中に割合の変化がみられるとの報告があるが、増加するのか、減少するのか一定していない。ヒトにおいては、制御性T細胞は、より強く免疫抑制作用をもつエフェクター型の制御性T細胞と抗原刺激を受けることによりエフェクター型に変化していくナイーブ型の制御性T細胞に制御性T細胞のマスター転写因子であるFoxp3とナイーブT細胞の表面マーカーであるCD45RAを用いて分類される。本研究では、ヒトにおいて末梢血中の妊娠中の制御性T細胞の増減が一定しないと報告される中で、これまでの報告で明確に分類されてこなかったエフェクター型及びナイーブ型に制御性T細胞を分類して、妊娠中に末梢血でエフェクター型及びナイーブ型の制御性T細胞がどのように変化しているのかを明らかにすることを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
方法:産科合併症や基礎疾患などの合併症のない22歳から38歳の健常妊婦43名及び健常非妊娠女性6名より、健常妊婦では妊娠第1から第3半期及び産褥期に末梢血を10から20ml採取し、健常女性より末梢血を10ml採取した。末梢血より末梢単核球を遠心分離法で分離し、フローサイトメトリー用の抗ヒトモノクロナール抗体で染色し、フローサイトメータ―で末梢血中の制御性T細胞の割合のデータを取得し、FlowJoソフトウェアで解析した。妊娠中の割合の変化の統計解析は、JMP13で行った。

結果:末梢血中のCD4陽性及びCD8陽性T細胞の割合は、妊娠第1から第3半期及び産褥にかけて変化を認めなかった。ナイーブ型制御性T細胞(FrI;Foxp3loCD45RA+)は妊娠第2半期(妊娠中期)に割合が増加していた(p<0.05)。エフェクター型制御性T細胞(FrII;Foxp3hiCD45RA-)は、妊娠第2三半期及び第3三半期に割合が減少していた(p<0.05)。エフェクター型制御性T細胞は、Foxp3hiCD45RAで分類される方法に加えて、CD15s+Foxp3+やCCR4+Foxp3+などのマーカーで表されるが、これらのマーカーで表されるエフェクター型制御性T細胞も同様の変化を認めていた。ナイーブ型とエフェクター型の制御性T細胞の比は、妊娠第2三半期の妊娠中期で最も大きく、妊娠中期にナイーブ型制御性T細胞が優位となっていた(p<0.05)。妊娠中期にナイーブ型制御性T細胞が優位となる原因として、胸腺から供給された直後の制御性T細胞であるCD31+ナイーブ制御性T細胞が妊娠中に産生が維持されていること、抗アポトーシス効果を表すBcl-2が妊娠後期に向かって上昇し、妊娠中にナイーブ制御性T細胞が維持されやすいことに対して、末梢血から子宮局所にエフェクター型制御性T細胞が遊走する際に発現されるCCR5陽性の制御性T細胞が妊娠中期に末梢血で割合が減少していた。また、Ki67陽性のエフェクター型制御性T細胞は変化がなくエフェクター型の制御性T細胞の増殖は妊娠期間を通して変化していなかった。ナイーブ型制御性T細胞の産生維持及び生存維持がされる一方で、エフェクター型制御性T細胞が子宮局所に遊走することによりナイーブ制御性T細胞が優位になることが考えられた。

〔総括(Conclusion)〕
妊娠中の制御性T細胞をエフェクター型及びナイーブ型制御性T細胞に分類すると、健常妊娠では、エフェクター型制御性T細胞は妊娠中期に割合が減少する一方でナイーブ型制御性T細胞は増加し、ナイーブ型制御性T細胞が優位になることが示された。エフェクター型制御性T細胞はナイーブ型制御性T細胞から産生されること、エフェクター型制御性T細胞は妊娠高血圧腎症の際には減少すると報告されているが、妊娠中の病態に応じて制御性T細胞は、ナイーブ型及びエフェクター型の割合が変化しており、ナイーブ型及びエフェクター型に制御性T細胞を分類して妊娠中の変化を確認することで臨床的な所見が出現する前に病態の変化を予知できる可能性も考えられる。

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