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大学・研究所にある論文を検索できる 「新規ALG-2結合タンパク質CDIP1による細胞死制御の分子細胞生物学的研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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新規ALG-2結合タンパク質CDIP1による細胞死制御の分子細胞生物学的研究

犬飼, 隆太 名古屋大学

2021.07.26

概要

ALG-2 (ap optosis- l inked gen e 2) は アポトーシスに必要な遺伝子産物として同定された。ALG-2 は Ca 2+ 結合モチーフである EF-hand を 5 つもち、Ca 2+ 依存的に様々なタンパク質と結合する。これまでに ALG - 2 結合モチーフをもとに新規 ALG-2 結合タンパ ク質の探 索が行われた。その結果 、アポトーシス促進タンパク質 CDIP1 (celldeath -inducing p53 targ et protein 1 ) が 見いだされ た。そして、先行研究によ り ALG-2 と CDIP1 が Ca 2+ 依存的に結 合 することが 示された 。CDIP1 は 、DNA 傷害および小胞体ストレスをうけた細胞で発現、アポトーシスを誘導するが、アポトーシス誘導の 詳細な分子メカニ ズムは不明である。本研究はCDIP1 のアポトーシス誘導機能における ALG - 2 の役割の解明を目指した。

【 1 】 CDIP1 誘導性細胞死における ESCRT-Ⅰ の影響の解析
ALG-2 を ノックア ウトした ヒト胎児 腎由来細 胞株 HEK2 93 に 、蛍光タンパク質 GFPを融合した CDIP1 (GFP-CDIP1 ) および ALG-2 を過剰発現させ、 LDH (lactate dehydrog e nase)の細胞外漏出を指標に 細胞死を定量的に測定した 。その結果 、GFP-CDIP1 誘導性の細胞死が、ALG-2 の共発現時に促進された。これより、CDIP1 誘導性の細胞死に ALG- 2 が促進的に関与することが示され た。

先行研究において 、ALG-2 がCDIP1と TSG101 の結合を Ca2+ 依存的に増強することが示された 。そこで、TSG101 (tumor susceptibility gene 101) を構成因子とするESCRT (endosomal sorting complex required for transport) -Ⅰ とCDIP1の結合、および ESCRT-ⅠがCDIP1誘導性細 胞死に与える影響を調べた。その結果 、CDIP1はESCRT- Ⅰ複合体と結合した。さらにこの結合には、 ESCRT-Ⅰを構成するタンパク質の組み合わせに特異性があり 、また Ca 2+ 依存性もみられた。また、 ESCRT-Ⅰ 構成タンパ ク質と GFP-CDIP1 の共発現によって GFP - CDIP1 誘導性の細胞死が促進された。中でも CDIP1 と最も強い結合がみられた ESCRT - I 複合体との共発現細胞においてGFP - CDIP 1 誘導性の細胞死が最も顕著に誘導された。 以上より、ESCRT - I 複合体とCDIP 1の相 互作用によって細胞死が促進されると考えられた。

【2】CDIP1のアポトーシス誘導およびオートファジー誘導の解析
ヒト乳がん細胞株MCF7を用いてDox (Doxycycline) 依存的にCDIP1を発現誘導できる細胞株を樹立した。Doxの添加24時間後にはオートファジーのマーカータンパク質であるLC3の脂質化が検出され、さらにその24時間後にはアポトーシスの指標であるPARPの切断が検出された。オートファジーフラックスアッセイにより、CDIP1誘導性のLC3脂質化はオートファジーの誘導によることが判明した 。オートファゴソーム生合成に重要なクラス Ⅲ ΙPI3 キナーゼであるVPS34の 阻害剤SAR405 処理によって、CDIP1誘導性のオートファジーが抑制された。この時、CDIP1誘導性のアポトーシスは阻害剤非処理細胞に比べ顕著に誘導された。また、ALG - 2の発現抑制細胞ではCDIP1誘導性のオートファジーが促進され、一方でアポトーシスは抑制された。以上より、CDIP1誘導性のオートファジーとアポトーシスにはALG-2が関与する制御機構が存在すると考えられた。

【3】CDIP1のリン酸化および分解システムの解析
CDIP1はWestern Blot において移動度の異なる2本のバンドとして検出された。 ホスファターゼを用いた解析の結果、移動度の遅いCDIP1由来のバンドはリン酸化されたCDIP1であることが明らかになった。 さらに、CDIP1の種々のアミノ酸の点変異体を用いた解析によって、CDIP1の32番目のセリン( S32 ) がリン酸化されていることが判明した。CDIP1のS32の前後のアミノ酸配列をもとにCDIP1のリン酸化酵素を探索した結果、CDKが候補と考えられた。CDK阻害剤Roscovitine を培地に添加し培養すると、CDIP1のリン酸化フォームが減少したことから、CDIP1のリン酸化にはCDKの活性が関与すると考えられた。続いて、CDIP1のリン酸化がCDIP1誘導性の生理機能に与える影響を調べた。S32を負電荷アミノ酸に置換したCDIP1変異体の発現は、S32をアラニンに置換したCDIP1の発現に比べてLC3の脂質化とPARPの切断の程度が大きいことが明らかになった。以上より、リン酸化CDIP1はオートファジーとアポトーシスに促進的に機能すると考えられた。

CDIP1の分解速度および分解経路について検討した。DNA傷害剤adriamycinによって発現誘導されたCDIP1は、cyc1oheximideによるタンパク質合成阻害後、約9時間でほぼ分解された。このCDIP1の分解はリソソーム阻害剤Bafilomycin Al によって阻害されたことから、CDIP1はリソソームで分解されることが明らかになった。また、VPS34阻害剤SAR405 によって、一部CDIP1の分解抑制がみられたため、CDIP1はオートファジー経路において一部が分解されると考えられた。

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