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大学・研究所にある論文を検索できる 「Study on position determinants of chloroplast aggregative movement in C4 plants」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Study on position determinants of chloroplast aggregative movement in C4 plants

加藤, 優太 名古屋大学

2023.11.17

概要

報告番号



















Study on position determinants of chloroplast aggregative
movement in C 4 plants

論文題目

( C4 植 物 に お け る 葉 緑 体 凝 集 運 動 の 配 置 決 定 要 因 に 関 す る
研究)





加藤 優太

論 文 内 容 の 要 旨

C 4 植 物 は CO 2 濃 縮 機 構 で あ る C 4 光 合 成 回 路 を 持 つ こ と で 、 高 い ス ト レ ス 耐 性 と 高
生 産 性 を 実 現 し て い る 植 物 で あ る 。C 4 回 路 は 、形 態 お よ び 機 能 の 異 な る 2 種 の 光 合 成
細 胞 ( 葉 肉 細 胞 、 維 管 束 鞘 細 胞 ) 間 を 跨 っ て 駆 動 し 、 葉 肉 細 胞 で CO 2 を C 4 酸 の 形 で
一 次 固 定 し 、 維 管 束 鞘 細 胞 で 再 び CO 2 へ と 脱 炭 酸 し て CO 2 を カ ル ビ ン 回 路 に 濃 縮 供
給 す る こ と で 高 い 光 合 成 効 率 を 達 成 し て い る 。C 4 植 物 の 葉 肉 細 胞 の 葉 緑 体 は 非 ス ト レ
ス下においては細胞全体に分散して存在しているが、塩や乾燥などの環境ストレス下
においては維管束鞘細胞側に近づく葉緑体凝集運動を示す。この葉緑体凝集運動は、
細 胞 間 に 跨 る CO 2 濃 縮 回 路 の 環 境 ス ト レ ス 下 で の 駆 動 維 持・調 整 に 関 与 す る と 考 え ら
れながら、その発生機構や生理的意義は未だにほとんど解明されていない。本研究に
お い て 、 第 一 章 で は C4 植 物 に お け る 葉 緑 体 凝 集 運 動 の 普 遍 性 を 検 証 し 、 第 二 章 で は
凝 集 運 動 の 程 度 が 葉 外 の CO 2 濃 度 と 青 色 光 に 影 響 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら
に、第三章では葉切片を用いた葉緑体運動のライブ観察法の確立を行い、葉緑体凝集
運動には維管束鞘細胞と葉肉細胞の細胞間相互作用が関与していることを見出した。
C 4 植 物 は CO 2 濃 縮 機 構 を 持 つ 植 物 群 で あ る が 、 共 通 し た 祖 先 に よ る 単 系 統 の グ ル
ー プ で は な く 、 60 以 上 の 独 立 進 化 に よ る 収 斂 進 化 の 結 果 の 植 物 群 で あ る 。 加 え て C 4
回 路 に も 違 い が あ り 、 3 つ の サ ブ タ イ プ に 分 け ら れ る 。 こ の よ う に 、 C 4 植 物 は CO 2
濃縮機構を共通して有するが、多様なルーツを持ち生理的にも違いを持つ植物群であ
る 。 も し 、 葉 肉 細 胞 の 葉 緑 体 凝 集 運 動 が C4 植 物 の 進 化 系 統 を 跨 い で 確 認 さ れ る の な
ら ば 、 そ の 発 生 機 構 は C4 植 物 に 共 通 し た 性 質 に 起 因 し て い る と 考 え た 。 そ こ で C4 植
物 の 36 種 11 進 化 系 統 を 調 査 し 、35 種 11 進 化 系 統 で 葉 緑 体 凝 集 運 動 が 起 こ る こ と を
明 ら か に し た 。 こ の こ と か ら 、 葉 緑 体 凝 集 運 動 は C4 植 物 に 普 遍 的 に 生 じ る 現 象 で あ
り 、 維 管 束 鞘 細 胞 へ CO 2 を 濃 縮 す る C 4 植 物 に 共 通 し た 機 構 の 獲 得 と と も に 生 じ た 可

能 性 が 高 い と 考 え ら れ た 。 *+1 1 1
葉緑体凝集運動は乾燥や塩などの環境ストレス下で起こるが、このような環境下で
は植物体内からの水の損失を避けるための気孔閉口も起こっている。しかし、気孔の
閉 口 は 水 損 失 を 抑 え る と と も に CO 2 の 取 り 込 み 量 も 低 下 さ せ る 。加 え て 、ス ト レ ス 下
に お い て CO 2 濃 縮 回 路 の 細 胞 間 の 代 謝 バ ラ ン ス が 崩 れ る こ と で 、維 管 束 鞘 細 胞 に 濃 縮
さ れ た CO 2 の 消 費 が 不 十 分 に な り 、 葉 肉 細 胞 へ の CO 2 漏 出 が 増 加 す る 。 私 は 、 環 境
ス ト レ ス 下 で 葉 内 CO 2 が 不 足 す る 時 に 、 細 胞 間 隙 の CO 2 濃 度 よ り も 維 管 束 鞘 細 胞 か
ら 葉 肉 細 胞 へ と 漏 出 す る CO 2 濃 度 が 相 対 的 に 高 く な っ た 際 に 葉 肉 細 胞 の 葉 緑 体 が CO 2
濃度の高い維管束鞘細胞側に移動することが凝集運動の要因であると考え、葉外の
CO 2 濃 度 を 変 化 さ せ た 際 の 葉 緑 体 配 置 を 検 証 し た 。そ の 結 果 、強 い 青 色 光 下 で 低 CO 2
濃 度 で あ る ほ ど 葉 緑 体 凝 集 運 動 は 促 進 さ れ 、 CO 2 と 凝 集 運 動 の 関 連 が 示 唆 さ れ た 。 一
方 、 弱 青 色 光 や 赤 色 光 の 下 で は 低 CO 2 濃 度 下 に よ り 光 阻 害 が 生 じ て い る に も 関 わ ら
ず 、葉 緑 体 凝 集 運 動 の 促 進 は 見 ら れ な か っ た 。光 条 件 と CO 2 濃 度 の 両 方 が 葉 緑 体 凝 集
運 動 の 誘 導 に 関 与 し 、 C4 光 合 成 の 駆 動 を 調 整 し て い る と 考 え ら れ た 。
葉身上部から観察する従来のライブイメージング法では、多層化した複雑な細胞層
により光の透過性が悪く、葉の深部で生じる葉緑体凝集運動を詳細に観察するのは困
難であった。そこで、葉を化学固定等の処理をせずに1細胞よりも厚い横断切片にし
て未傷害の生細胞を多く残した状態でプレパラートに封入する手法、および葉断面へ
の 観 察 光 と 葉 表 皮 へ の 刺 激 光 の 2 種 の 光 照 射 系 を 用 い て 、葉 組 織 深 部 の 観 察 と 光 刺 激
を両立させることにより、葉緑体運動を連続観察可能な「葉切片ライブイメージング
系」を開発した。この手法下で、葉緑体凝集運動の発生と細胞全体への葉緑体の分散
という可逆的な反応を観察することに成功し、葉緑体の運動方向および運動速度の定
量評価を行った。さらに、切片化時の切断方向と厚さを検討し、葉肉細胞を残したま
ま維管束鞘細胞の内容物の除去に成功し、維管束鞘細胞の内容物が除去された葉切片
で は 葉 緑 体 凝 集 運 動 が 生 じ ず 、 CO 2 濃 縮 の 場 と な る 維 管 束 鞘 細 胞 が 隣 接 す る 葉 肉 細 胞
葉緑体の配置に影響を与えることを見出した。
以 上 の 研 究 を 通 し て 、 葉 緑 体 凝 集 運 動 が CO 2 濃 縮 機 構 を 持 つ C 4 植 物 に 普 遍 的 に み
ら れ る 重 要 な 生 理 応 答 で あ り 、光 合 成 に 必 須 で あ る 光 と CO 2 に よ っ て 誘 導 が 制 御 さ れ
ることを見出した。加えて、これまで葉組織深部において生じることから生きた状態
で直接観察することがきていなかった葉緑体凝集運動を捉える新たな手法を開発し、
この凝集運動には葉肉細胞と維管束鞘細胞の相互作用が深く関与することを明らかに
した。

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