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大学・研究所にある論文を検索できる 「良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)における伸長リピート配列がもたらす病態機序の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)における伸長リピート配列がもたらす病態機序の検討

三枝, 亜希 東京大学 DOI:10.15083/0002006490

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 三枝 亜希
本研究は、良性家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)における、TTTTA/TTTCA リ
ピートがもたらす病態機序を明らかにするため、BAFME 患者のリンパ芽球様細胞や剖検
脳検体における、BAFME1 の原因変異が位置する SAMD12 の発現量の検討と、HEK293
細胞を用いた TTTTA/TTTCA リピートモチーフからの RAN translation の検討を行った
ものであり、下記の結果を得ている。
1. BAFME1 患者のリンパ芽球様細胞を用い、qRT-PCR で SAMD12 の発現量の検討を
行った。健常者の中には TTTTA リピートの異常伸長を有するものもあり、これらに
おいても健常群と SAMD12 の発現量の比較を行った。SAMD12 の TTTTA/TTTCA リ
ピートの異常伸長が位置するイントロン 4 を挟むような形でエクソン 4 とエクソン 5
にプライマーを設計し、qRT-PCR で発現量を比較したが、BAFME 患者群、健常
TTTTA リピート伸長群ともに、健常群と比較して SAMD12 の発現量の差は見られな
かった。
2. 先行研究における BAFME 患者の剖検脳検体、リンパ芽球様細胞の RNA-seq のデー
タを用いて、SAMD12 全体の発現量の比較を行った。脳検体では、BAFME 患者群に
おいてエクソン 1-4 の発現量の増加が見られた。リンパ芽球様細胞においても同様に
エクソン 1-4 の発現量が多い傾向は見られたが、有意差は明らかでなかった。また、

SAMD12 は 5 つのイントロンしかないにも関わらず約 433kb ととてもイントロンの
長い遺伝子である。イントロンの長い遺伝子で、特に脳においては、cotranscriptional splicing と様々な転写段階の新生 RNA が検出されることにより、ラ
ンダムプライマーを用いた RNA-seq では 5’→3’に向けてイントロンの RNA 発現量が
低下し鋸歯状に検出されると報告されており、今回の検討でも同様の結果が得られ
た。また、脳ではイントロン 4 のリピート上流の発現量増加が見られ、脳において
transcritptional abortion が脳でのみ起こっていることを支持する結果であった。以上
のことから、SAMD12 の発現量の低下は今回の結果からは明らかでなく、BAFME に
おいて、ハプロ不全(loss of function)の関与は大きくないと考えられた。
3. RAN translation により産生された RAN protein の C 末に EGFP が発現するよう
に、pEGFP-N1 plasmid を改変して作成した 6xstop-pEGFP_0,-1,-2 を用い、
TTTTA/TTTCA リピートからの RAN translation の有無を評価した。6xstoppEGFP_0,-1,-2 で RAN protein の評価ができるか検証のため、まずは先行研究で

RAN translation の報告のあるハンチントン病の原因変異である HTT の CAG リピー
ト(CAG105)を pEGFP_0,-1,-2 に挿入し、HEK293 細胞に transfection して蛍光顕微
鏡と western blot analysis で RAN protein であるポリアラニン、ポリセリンの発現を
確認した。同様に、SAMD12 の TTTTA/TTTCA リピート(TTTTA65/TTTCA70)を
6xstop-pEGFP_0,-1,-2 に挿入し、HEK293 細胞に transfection し、RAN protein の
発現の有無を評価したが、蛍光顕微鏡、western blot analysis で RAN protein の発現
を示唆する結果は認めなかった。
以上、本論文は BAFME1 において TTTTA/TTTCA リピートがもたらす病態機序のう
ち、ハプロ不全(loss of function)の関与は小さく、RAN translation の関与を示唆する結
果は得られなかった。本研究において、今まで報告のなかった AT rich なリピート配列に
おける RAN translation の検討を行ったが RAN translation が起こっているという結果は
得られず、AT rich なリピート配列からは RAN translation が起こりにくい可能性も考え
られる。当研究室では、TTTCA リピートから転写された RNA に補足される RNA
binding protein の検索も並行して行っているが、てんかんを起こす分子メカニズムについ
ては未だ解明されていない。今後はさらに長いリピート長を用いた検討や,他細胞種での
RAN translation の検討、生体内での RAN protein の直接評価については今後の課題であ
るが、今回の研究結果は BAFME の病態機序を考える上で重要な知見であると考えられ
た。
よって、本論文は博士(医学)の学位請求論文として合格と認められる。

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