コバルト錯体を用いるγ-ヒドロキシオレフィンの分子内環化とそのamphidinolide Nのテトラヒドロフラン環部合成への応用
概要
テトラヒドロフラン(THF)環を部分構造として有する天然物には抗腫瘍活性や抗菌活性などの有用な生物活性を持つ化合物が多く存在することが知られている。そのため THF 環を効率的かつ高立体選択的に合成することは天然物合成において重要な課題の一つとなっている。向山らは γ-ヒドロキシオレフィンに対して酸素雰囲気下 Co 錯体を用いると 2,5-trans-THF を与えることを報告している。Hartung らは THF 環を構築した後生じたラジカルを還元する変法を報告した。本反応はアトムおよびステップエコノミカルな THF環構築法として、有用であるが基質適用範囲が十分に明らかになっていない(Scheme 1)。
本研究では γ-ヒドロキシオレフィンに対する Co 錯体を用いた分子内環化を用いて、様々な置換基が導入された複雑な THF 誘導体の構築と amphidinolide N の THF 環部の立体選択的合成への応用を目的とした。