書き出し
タンデム反応を基盤としたexiguolideの全合成
概要
イグジグオリド(1, Figure 1)は奄美大島沿岸で採取した希少な海綿 Geodia exigua から、太田らにより単離・構造決定されたマクロリドである 1。本天然物はヒト非小細胞肺がん細胞に対し強い増殖阻害活性を示し、新たな抗がん剤のシードとして期待される。しかし、過去の全合成は市販原料から22段階以上を要し、さらなる合成効率の向上が必要である2。本研究では当研究室で見出された、Meyer–Schuster 転位 3、閉環メタセシス(RCM)および渡環 oxa-Michael 付加からなる触媒的タンデム反応の応用により、1 のマクロ環と C3–C7 テトラヒドロピラン環を一挙構築する、効率的な全合成法の開発を目的とした。