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大学・研究所にある論文を検索できる 「The interaction between influenza virus-infected cells and neutrophils」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The interaction between influenza virus-infected cells and neutrophils

氏江, 美智子 東京大学 DOI:10.15083/0002006944

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 氏江 美智子
本研究は、まずヒト肺腺癌由来Ⅱ型肺胞上皮細胞 A549 を長期培養してウイルスの増殖性を
調べ、下記の結果を得た。
1-1. Ham’s F12K 培地にて 25 日間培養した A549 細胞 (D25-A549) と、1 日間培養した A549
細胞 (D1-A549) の形態を電子顕微鏡で比較したところ、D25-A549 では層板小体が増加
し、D1-A549 よりもⅡ型肺胞上皮細胞に近い形態を示した。
1-2. D25-A549 および D1-A549 に様々な年代に分離されたインフルエンザウイルスを感染
させ、プラークアッセイ法により培養上清中のウイルス力価を調べた。D25-A549 にお
ける季節性 A 型ウイルス (A/H1N1、
A/H1N1pdm および A/H3N2) の増殖効率は、A/H3N2
の 1 株を除いて、D1-A549 よりも高かった。一方、季節性 B 型ウイルスはどちらの細
胞でも効率よく増えなかった。
鳥インフルエンザウイルス (A/H5N1 および A/H7N9) は
どちらの細胞でも効率よく増殖したものの、増殖性に有意な差が見られなかった。
以上より、本論文は長期間培養した A549 細胞において、A 型インフルエンザウイルスの増
殖効率は、従来の方法で培養した細胞よりも高いことを明らかにした。本研究で作製した長
期培養 A549 細胞は、インフルエンザウイルスの研究に有用であると考えられる。
次に、感染細胞への好中球の接着がインフルエンザウイルスの排除に寄与しているのかど
うかを明らかにするため、好中球と共培養した感染細胞におけるウイルスの増殖性を解析
し、下記の結果を得た。
2-1. 感染 A549 細胞と好中球を 1 時間共培養した後、感染細胞を洗浄して、細胞に接着した
好中球を蛍光抗体法で検出した。その結果、感染細胞に接着した好中球の数は、非感染
細胞に接着したそれよりも 4 倍程度多かった。
2-2. 好中球と共培養した感染細胞におけるウイルスの増殖性を解析した (接触条件)。また、
直接的な細胞間接触を防ぐため、感染細胞を含むプレートに Transwell インサートを装
填し、好中球をインサート内に添加して共培養した (非接触条件)。添加後、経時的に回
収した培養上清中のウイルス力価をプラークアッセイ法で測定した。非接触条件にお
けるウイルス力価は、添加後 3、6、及び 42 時間目でのみコントロール (好中球未添加)
と比較して有意に低下したが、接触条件におけるウイルス力価は、いずれの時間におい
ても有意に低かった。
2-3. 好中球が分泌する主要な殺菌性因子の一つであるミエロペルオキシダーゼ (MPO) は、
インフルエンザウイルス粒子を不活化する。そこで、好中球と共培養した感染細胞内に

おいて MPO が検出されるのかどうかを調べた。好中球と 1 時間共培養した非感染細胞
(接触条件) あるいは感染細胞 (接触条件と非接触条件) における MPO を蛍光抗体法で
検出した。接触条件の感染細胞で検出された MPO の蛍光強度は、接触条件の非感染細
胞と非接触条件の感染細胞よりも有意に高かった。
以上より、本論文は好中球が活性酸素種等の生理活性物質を産生分泌することでインフル
エンザウイルス粒子を不活化しているだけでなく、感染細胞に直接接着することで、より効
果的にウイルス増殖を抑制していることを明らかにした。本研究は、好中球が感染細胞との
相互作用を行い、宿主のウイルス感染に対する生体防御において担う役割の解明に重要な
貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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