リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「ケモカインレセプターCCR10を介した腸腎連関の調節と腎不全治療」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

ケモカインレセプターCCR10を介した腸腎連関の調節と腎不全治療

一條 真梨子 東北大学

2021.03.25

概要

近年、腎臓病の病態と腸管および腸内細菌叢が相互に関与する「腸腎連関」が存在することが明らかになってきた。腎機能低下時に腸内細菌叢のバランスが崩れて腸内細菌によって産生され生体に悪影響を及ぼす尿毒素物質の蓄積、腸管壁のバリア機能低下や慢性炎症の存在が、慢性腎不全の病態増悪に更なる悪循環を生じると言われている。慢性腎不全においては腎内局所および全身の慢性炎症が1つの増悪機序となっており、それらを背景とした腎線維化の進行はその原疾患によらず腎機能予後と強く相関する。また、腎臓の線維化は慢性腎不全の原疾患に関わらず共通の病理学的特徴であることから、慢性腎不全の治療ターゲットとして腎線維化の抑制が挙げられる。慢性腎不全患者において前述の血中の尿毒素濃度の上昇は心血管疾患発生率の上昇、腎線維化や生存率低下のリスクを高めることが知られており、尿毒素やその産生に関わる腸内細菌叢への介入も新しい治療ターゲットとして注目されている。

 本研究では、腎臓と腸管の両者に作用する可能性があるケモカインレセプターCCR10に着目し、その阻害薬(BI-6901)を用いて、慢性腎不全モデルマウスへの腎不全抑制効果を検討した。アデニン食を投与し慢性腎不全となったマウスにBI-6901を投与したところ、炎症関連遺伝子(TNF-α、IL-6)と線維化関連遺伝子(TGF-β1、α-平滑筋アクチン、コラーゲンⅠ)の発現が腎、腸管の両者で抑制され、組織学的にも炎症、線維化の改善を認めた。さらにBI-6901は腸管において腎不全によって変化した腸内細菌叢の構成を正常へと回復させる作用を有し、特にヒトにおいても有益菌であると⾔われるLactobacillus属菌を増加させ、腸内細菌によって産⽣される血中の尿毒素物質の濃度を有意に低下させた。また、正常ラット腎間質線維芽細胞株とヒト腸管上⽪細胞株を⽤いたinvitroの検討においてもBI-6901が抗炎症、抗線維化作⽤を示すことを明らかにした。以上の結果より、CCR10は慢性腎不全における腎・腸管両者の増悪機構に関与しており、その阻害薬であるBI-6901は直接的もしくは腸内環境を介した間接的な抗TNF-α作⽤と抗TGF-β1作⽤を有し、腎および腸管における慢性炎症と線維化を抑制する新規の慢性腎不全治療薬となる可能性がある。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る