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大学・研究所にある論文を検索できる 「中国産米の品質・食味特性と貯蔵物質の蓄積構造に関する作物機能形態学的解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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中国産米の品質・食味特性と貯蔵物質の蓄積構造に関する作物機能形態学的解析

佐藤, 登代子 サトウ, トヨコ 東京農工大学

2022.05.18

概要

近年の中国で, 経済発展, 国民所得の増加, 食生活の高度化• 多様化などによって,主食の米に対しての要求が, 従来の質より量を重視する要求から, 量より質を重視する高品質• 良食味の要求へと変化してきていることに注目した. また, これまで中国中部 の秦嶺・淮河線以南ではインド型イ. が栽培され(2000万h) , 以北では日本型イネが栽 培されている(870h) といわれてきた. しかし, 東北部の黒竜江省, 吉林省, 遼寧省を中心に. 日本型イネの栽培面積が拡大しており生産量も増加している. 中国経済の中心地である同線の以南に所在する上海市で流通している常食米のほとんどがジャポニカ米に変わってきており, 南部の都市でも東北部産のジャポニカ米が流通していることから, 中国の米市場は変化していると考えられた. このことは, これまでの報告による中国人は, 硬くて粘りのない炊飯米を好むといわれてきた嗜好が日本産コシヒカリなどを中心とした柔らかく粘りの強い嗜好に傾向が変化していることにつながる. 中国の米の生産量や消費量の変化は世界の米価格や日本の水稲• 米の生産におよぼす影響も大きい.さらに品質• 食味の向上も海外市場への販売を推進している' 日本産銘柄米の輸出競合となる可能性が高い. そこで, 本研究では中国で市販されている評価の良好な精米を収集し, , 米粒の諸特質を測定し, 走査電子顕微鏡で観察し, 理化学的特性および貯蔵物質の蓄積構造を作物機能形態学的に明らかにすることを目的とした. さらに結果を既往の日本産銘柄米と比較することで品質レベルと嗜好性の特徴を明らかにすることを目的とした.

第1 章では中国の米生産を取り巻く状況について資料調査した. 中国の人口増加が米の生産にどのような影響をおよぼすのか’, その関係について述べた, また広大な中国の気候と米の生産地( 秦嶺• 淮河線, 江蘇省, 黒竜江省, 江蘇省) の特徴について述べた.特に東北部の3 省が中国の優良米の生産基地として変貌した背景となる歴史や農業政策,気候的優位性について着目した.

第 2 章では, 事前調査• 予備調査を通じて中国産米の品質レベル: 少なくとも上海で流通している精米の品質• 食味の調査結果であると評価できるような調査都市, 調査地域, 調査地区, そして調査対象とする店舗を選定する方法について検討した. 特に,人口が100 0 万人以上の都市が11 も存在する中国で, 上海市を調査対象都市に選定した理由について詳述した. また, 試料米の収集方法が実験を進めるうえで重要な前提条件となっている理由も述べた. 上海市内で市販されていた精米は中国の2 大ジャポニカ米の東北部3 省と江蘇省産がほとんどであった. そして収集した3 4 品目の精米を日本に持ち帰り, 炊飯米の理化学的測定と走査電子顕微鏡による観察を行った. 測定結果は全品目の範囲• 平均値においてこれまでに報告された日本産銘柄米とほぼ同等でうっW .

また, 観察結果はアミロース含有率• タンパク質含有率の共に高い品目においても共に低い品目においても, 一般に日本産銘柄米によくみられる微細骨格構造であった. これらの結果から中国産精米の品質レベルは日本産銘柄米とほぼ同等であるか一部はそれ以上であることが明らかになった.

第3 章では, 中国産あるいば上海で市販されていた精米というまとまりではなく,上海市民に評価の高かった3 品目, 五常大米, 秋田小町, 射陽大米の理化学的特性と形態学的特性の違いに注目した,. 五常大米は秋田小町や斜陽大米とは外観と付着した糠のデンプンの微細構造に違いがみられた. しかし, 胚乳内部のデンプン細胞の配列の中心点では射陽大米が日本産銘柄米にみられる構造に類似しているなどそれぞれ特徴の異なっていることに注目した.

総合的な調査. 実験の結果から現時点において中国産精米の品質• 食味は, 日本産銘柄米と同等か一部の品目ではそれ以上であること, インディカ米の生産地域を含めて広くジャポニカ米の特徴である柔らかく粘りのある食味が受容されていることが明らかとなった. 日本の農業はグローバル化が進みつつあり, 日本産銘柄米が戦略的輸出商品として注目されているが, 今後中国産ジャポニカ米は競合品となる可能性が示唆された. 本研究の結果は稲作• 米生産が主である日本農業が今後の育種, 生産を検討するにあたっての有用な知見となりうると考える.

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