リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「胃癌深達度予測の為のAIシステムの開発並びに粘膜下層浸潤に着目した網羅的遺伝子発現解析による検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

胃癌深達度予測の為のAIシステムの開発並びに粘膜下層浸潤に着目した網羅的遺伝子発現解析による検討

永尾, 清香 東京大学 DOI:10.15083/0002006983

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 永尾 清香

本研究は Artificial intelligence(AI)と網羅的遺伝子発現解析という両面で客観的な胃癌
深達度診断の可能性を検討することを目的とした。胃癌深達度診断 AI システムの構築と
精度検証および生検検体を用いた網羅的遺伝子発現解析による胃癌深達度マーカーの探索
と免疫組織学的検証を試みたものであり、下記の結果を得ている。

1.

内視鏡通常光画像を用いた胃癌深達度診断 AI システムを構築し、独立したテストデ
ータで検証を行った結果、receiver operating characteristic(ROC)曲線を胃粘膜下層深
部浸潤癌(SM2 癌)以深を陽性として描くと、area under the curve(AUC)は 0.96 で
あった。Youden index によると probability score の最適カットオフは 0.54 であり、この
AI システムの正解判断は 0.54 をカットオフとして用いた。この AI システムの感度・
特異度・正診率・陽性的中率・陰性的中率はそれぞれ、画像毎で 89.2%・98.7%・
94.4%・98.3%・91.7%で、病変毎で 84.4%・99.4%・94.5%・98.5%・92.9%であり、AI
システムの有用性が示された。

2.

通常光画像・非拡大狭帯域光画像・インジゴカルミン散布画像それぞれを用いた AI シ
ステムの病変毎の正診率は、94.5%・94.3%・95.5%であった。これらの 3 つの AI シス
テムの性能を比較したが、病変毎の正診率において有意差は認めなかった。いずれの
AI システムも高い正診率であり、有用性が示された。

3.

生検検体を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、胃粘膜内癌(M 癌)と SM2 癌で有
意に発現の異なる遺伝子として、DEFA5 が同定された。DEFA5 について免疫組織学
的検討を行い、400 倍で腫瘍部をランダムに 10 視野顕鏡し評価を行ったところ、
DEFA5 の平均陽性細胞数は、M 癌で 3.84 ± 8.35、SM2 癌で 0.37 ± 1.42 であり、有意差
を認めた。DEFA5 の ROC 曲線を SM2 癌を陽性として描くと、AUC は 0.71 であっ
た。Youden index によると最適カットオフは 0.00 であった。DEFA5 が陰性の場合を
SM2 癌、陽性の場合を M 癌とし、DEFA5 による SM2 癌の診断能を評価した。感度・
特異度・正診率・陽性的中率・陰性的中率はそれぞれ、78.0%・58.0%・68.0%・
65.0%・72.5%であった。DEFA5 は胃 SM2 癌において M 癌に比べ有意に陽性細胞数が

低下しており、有用な胃癌深達度診断マーカーとなる可能性が示された。
4.

DEFA5 は小腸のパネート細胞に発現することが知られているため、粘液形質によっ
て DEFA5 の発現様式が異なるか評価した。腸型胃癌の 72.0%で DEFA5 陽性であった
一方で、胃型胃癌のうち 26.9%で DEFA5 陽性であり、粘液形質と DEFA5 の相関を認
めた。マイクロアレイデータにおいても DEFA5 の発現と相関の高い遺伝子には、腸
管に特異的な遺伝子が多く含まれていることを見出した。

以上、本論文は通常光画像・非拡大狭帯域光画像・インジゴカルミン散布画像いずれに
おいても胃癌深達度診断 AI システムの有用性を示した。さらに網羅的遺伝子発現解析お
よび免疫組織学的検証により、DEFA5 の胃癌深達度マーカーとしての有用性も示した。胃
癌の術前深達度予測は主に内視鏡的肉眼所見から判定が行われ、確立された客観的な診断
法がないのが現状であり、本研究結果はこれを解決する可能性を有している。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る