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大学生の性自認及び性的指向に関する意識調査

大野, 武丸 石出, 結子 岡村, 槙 鴨川, 隼弥 倉橋, 徹 齊藤, 海斗 山本, 百香 塚原, 照臣 野見山, 哲生 信州大学

2023.08.22

概要

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

   大学生の性自認及び性的指向に関する意識調査
04-3
大野武丸、石出結子、岡村槙、鴨川隼弥、倉橋徹、齊藤海斗、山本百香(信州大学医学部医学科)、
塚原照臣(信州大学医学部産業衛生学講座)、野見山哲生(信州大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
キーワード: 性自認、性的指向、性的マイノリティ、性差

要旨:性的マイノリティについて、医学部医学科の学生を対象に、性差による性的マイノリティに関
する許容を調査した。性的マイノリティに対する許容と性差には関連がみられなかった。

A.目的

 性的マイノリティに関する認識として、以下 6

 性的指向、性自認に関する社会的な関心と認

問の賛否を、賛成、反対、どちらでもない、の

知が高まりつつあり、学校や職場などでその対

三択で調査した。

応が求められるようになってきている。対策を

1)同性婚が法律で認可されること。

施したとして、当事者が自認する性に関する施

2)『身体は男性であるが心が女性の選手』が女
子選手のスポーツ大会に出場すること。

設等を使用することについて、生物学的に異な

3)『心は同性であるが身体は異性である方』が

る性の者がそれを認めるか、例えば、自認する

トイレ・更衣室を使用すること。

性のトイレ利用を受容するか、については、必
ずしも全員が賛同するとは限らず、多様な考え

4)宿泊行事において、性的マイノリティの方

方、価値観があると予想される。対策の起点と

がその身体的性別とは異なる部屋を使用する

して、まずは男女別の性的マイノリティに関す

こと。

る認識を調べる必要がある。性的マイノリティ

5)『身体は女性で心は男性の方』がズボンを着

に関する認識、許容を調査し、その認識に関連

用する、又は『身体は男性で心は女性の方』

する要因を明らかにすることを目的とした。

がスカートを着用すること。
6)『身体は男性だが心が女性の方』が女子校に

B.方法

入学すること。

 本調査は、2022 年度信州大学医学部衛生学公
衆衛生学教室の実習において実施した。対象は信

 以上の 6 問については、賛成と回答した数が 3

州大学医学部医学科 3 年生(114 名)とした。調

問以上の群と 3 問未満の群の二群に分けた。賛

査はアンケート形式とし、Google form で作成し

成が 3 問以上の群を、性的マイノリティに対す

た選択式質問票を用いた。調査は、2022 年 10 月

る許容度が高い、と定義した。性的マイノリテ

3 日〜 10 月 5 日の期間に実施した。

ィへの許容度に関連する要因の検討は、ロジス

 対象者の背景として、性別、出身地、性的マ

ティック回帰分析を行った。許容度を従属変数、

イノリティの知り合いの有無、別学(男子校、

基本属性6つと知識を独立変数とした。統計解析

女子高)の経験の有無、性的マイノリティに関

ソフトウェアは IBM SPSS Statistics ver.28.0.1.0

する授業経験の有無、性的マイノリティの人物

を用い、有意確率は 0.05 未満とした。

が登場する映画・テレビ・本を見たことの有無、

C.結果

を調べた。また、性的マイノリティに関する知

 有効回答は 104 名(91.2%)から得られた。104

識を問う質問を 5 問(二択)調査した。

名の内訳は、男性 60 名、女性 44 名だった。出

62

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

名の内訳は、男性 60 名、女性 44 名だった。出

考えられた。

身地は、東京 23 区 18 名(17.3%)、政令指定都

有意確率が 0.10 未満の変数として、知識、出

 有意確率が 0.10 未満の変数として、知識、出

身地は、東京 23 区 18 名(17.3%)
、政令指定都

市 17 名(16.3%)、その他 69 名(66.3%)、別

身地、教育、別学、がみられた。これらに関連す

学の経験は 30 名(28.8%)、性的マイノリティ

る要因をさらに調査する必要があると考えられ

の知人がいる 37 名(35.6%)、性的マイノリテ

た。本調査の対象者は医学科の学生という集団で

ィに関する授業経験あり 56 名(53.8%)、性的

あり、また、対象者数も約 100 名だった。よっ

マイノリティの人物が登場する映画等を見た経

て、本調査結果は一般化するには限界があり、今

験あり 84 名(80.8%)だった。性的マイノリテ

後、他学部の学生を対象に、調査人数を増やして

ィに関する知識問題は、5 問全問正解者は 48 名

検討を行う必要性がある。性的マイノリティにつ

(46.2%)だった。

いて、その許容を測定する標準的な指標はなく、

身地、教育、別学、がみられた。これらに関連す

市 17 名(16.3%)、 そ の 他 69 名(66.3%)、 別 学

る要因をさらに調査する必要があると考えられ

の経験は 30 名(28.8%)、性的マイノリティの知

た。本調査の対象者は医学科の学生という集団

人がいる 37 名(35.6%)、性的マイノリティに関

であり、また、対象者数も約 100 名だった。よ

する授業経験あり 56 名(53.8%)、性的マイノリ

って、本調査結果は一般化するには限界があり、

ティの人物が登場する映画等を見た経験あり 84

今後、他学部の学生を対象に、調査人数を増や

名(80.8%)だった。性的マイノリティに関する

して検討を行う必要性がある。性的マイノリテ

知識問題は、5 問全問正解者は 48 名(46.2%)だ

ィについて、その許容を測定する標準的な指標

った。

マイノリティに関する認識 6 問について、賛成

本調査で用いた許容は、調査者が独自に定義した

はなく、本調査で用いた許容は、調査者が独自

 マイノリティに関する認識 6 問について、賛

と回答した者は次の通りだった。

ものである。性的マイノリティについての認識を

に定義したものである。性的マイノリティにつ

成と回答した者は次の通りだった。

同性婚が法律で認可されること 79 名
(76.0%)、

問う 6 問のうち、3 問以上の賛成を、性的マイノ

いての認識を問う 6 問のうち、3 問以上の賛成を、

 同性婚が法律で認可されること 79 名(76.0%)、

スポーツ大会への出場 10 名(9.6%)、トイレ・

リティに対する許容度が高い、と定義した。各問

更衣室の使用 23 名(22.1%)、宿泊行事時の部

の賛成の回答率にはばらつきがあり、単に 3 問以

屋使用 37 名(35.6%)、ズボン・スカートの着

上でなく、各門の重み付けを行い、許容群を定義

用 94 名
(90.4%)

女子高への入学 50 名
(48.1%)。

すれば、結果が異なった可能性は否定できない。

性的マイノリティに対する許容度が高い、と定

スポーツ大会への出場 10 名(9.6%)、トイレ・

義した。各問の賛成の回答率にはばらつきがあ

更衣室の使用 23 名(22.1%)、宿泊行事時の部屋

り、単に 3 問以上でなく、各問の重み付けを行い、

使用 37 名(35.6%)、ズボン・スカートの着用 94

許容群を定義すれば、結果が異なった可能性は

名(90.4%)、女子高への入学 50 名(48.1%)。

認識 6 問について、男女別で比較したところ、

今後、一般化された許容を測定する指標の開発が

否定できない。今後、一般化された許容を測定

 認識 6 問について、男女別で比較したところ、

いずれの設問も男女間で有意な差はみられなか

期待される。また、許容については調査者個人の

った。

価値観など本調査で把握しきれていない要因が

する指標の開発が期待される。また、許容につ

いずれの設問も男女間で有意な差はみられなか

いては調査者個人の価値観など本調査で把握し

った。

性的マイノリティに対する許容と性別との関

寄与している可能性がある。

きれていない要因が寄与している可能性がある。

 性的マイノリティに対する許容と性別との関

連についてのロジスティック回帰の結果を表 1
連についてのロジスティック回帰の結果を表 1

E.今後の展望

E.まとめ

に示す。許容と性別に関連はみられなかった。

 性的マイノリティに対する許容と性差には関

に示す。許容と性別に関連はみられなかった。

性的マイノリティに対する許容と性差には関

連がみられなかった。

表 1. 性的マイノリティーに対する許容と性別等

連がみられなかった。
F.利益相反 

との関連
変数

項目

人数

調整後オッズ比

95%信頼区間



60

0.521

0.907-4.629



44

reference

はい

30

2.348

いいえ

74

reference

はい

56

2.049

いいえ

48

reference

性別
別学経験
教育

0.937-6.607
0.228-1.191

 利益相反なし。

F.利益相反

p値

G.文献

0.122

利益相反なし。

1)
東京都総務局人権部 . 性自認および性的指向に

0.068

関する調査 . 東京都 .

G.文献

2)
公 益 財 団 法 人 京 都 市男女 共 同 参 画 推 進 協

0.085

1)東京都総務局人権部. 性自認および性的指向

会、特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ.

に関する調査. 東京都.

LGBT 等性的マイノリティに関する意識調査 .

D.考察

D.考察

2)公益財団法人京都市男女共同参画推進協会、

 性的マイノリティに対する許容と性差に関連

3)
釜野さおり他.性的マイノリティについての意識

性的マイノリティに対する許容と性差に関連

特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ.

はみられなかった。生物学的な性による性的マイ

− 2015 年全国調査報告書 .

はみられなかった。生物学的な性による性的マイ

LGBT 等性的マイノリティに関する意識調査.

ノリティに対する許容は、対策を講じる上で重要

3)釜野さおり他.性的マイノリティについての

ノリティに対する許容は、対策を講じる上で重
要な要素となる。しかし、性差はみられず、男

な要素となる。しかし、性差はみられず、男女と

意識−2015 年全国調査報告書.

女ともに性的マイノリティに対して許容してい

もに性的マイノリティに対して許容していると
ると考えられた。

63

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. ...

参考文献

2)

公 益 財 団 法 人 京 都 市男女 共 同 参 画 推 進 協

0.085

1)東京都総務局人権部. 性自認および性的指向

会、特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ.

に関する調査. 東京都.

LGBT 等性的マイノリティに関する意識調査 .

D.考察

D.考察

2)公益財団法人京都市男女共同参画推進協会、

性的マイノリティに対する許容と性差に関連

3)

釜野さおり他.性的マイノリティについての意識

性的マイノリティに対する許容と性差に関連

特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ.

はみられなかった。生物学的な性による性的マイ

− 2015 年全国調査報告書 .

はみられなかった。生物学的な性による性的マイ

LGBT 等性的マイノリティに関する意識調査.

ノリティに対する許容は、対策を講じる上で重要

3)釜野さおり他.性的マイノリティについての

ノリティに対する許容は、対策を講じる上で重

要な要素となる。しかし、性差はみられず、男

な要素となる。しかし、性差はみられず、男女と

意識−2015 年全国調査報告書.

女ともに性的マイノリティに対して許容してい

もに性的マイノリティに対して許容していると

ると考えられた。

63

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

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