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見えない災害(新型コロナウイルス)とともに暮らす私たち(特別講演)

原, 政博 信州大学

2023.08.22

概要

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

第 17 回信州公衆衛生学会総会 特別講演【公開講座】

宇宙船地球号の上に暮らす私たち
~ One Health on the Earth~

見えない災害(新型コロナウイルス)とともに暮らす私たち
新野へき地診療所長
前飯田医師会長
飯伊地区包括医療協議会長

原 政博
 ある種の疾病が、人の社会・経済活動全般に多大なる規制的抑制を、それもいつ終わるかの予測も正確には
出来ないような条件で起こる、という実体験を3年以上の長きに渡ってよもやするとは思いもよらなかった、
というのは現世の宇宙船地球号に暮らす私たちに共通する感情だと思います。このコロナ禍が始まる半年前の
令和元年(2019 年)6 月に私は飯田医師会長に就任し、この「見えない災害」対策に明け暮れた2期4年間の
会長任務を本年6月に引き継ぐ(退任する)ことができました。

 どうやら、現世の宇宙船地球号に起こったパンデミックは少し落ち着きを見せ始めている様子ですが、過去
最悪のパンデミックは第一次世界大戦中の 1918 年に起きたスペイン風邪、その実態は H1N1 インフルエンザで
あり、当時の世界人口の 4 分の 1 に相当する 5 億人が感染し、2,000 万人~ 5,000 万人が犠牲になりつつも 3 年
間で弱毒化したと言われています。一方、この度の新型コロナウイルスでの死亡者総数は、各国の超過死亡率
等から 2 千万人とも推計されています。目と耳を疑うばかりの数字ですが、実際のところ現代においても、グ
ローバル化と評される飛躍的なアクセスビリティの向上も相乗し、1997 年に H5N1 型鳥インフルエンザ、2003
年に SARS、2009 年に新型インフルエンザ(A/H1N1)、2012 年に MERS が流行しました。

 数年に 1 度は社会・経済全体に影響を与える新興感染症の流行が局地的な流行 endemic であれ世界的な流
行 pandemic であれ、起きているわけです。それを前提とした公衆衛生政策・医療政策が図られなければなり
ません。2009 年の新型インフルエンザの際は、本邦においても 2010 年 6 月に新型インフルエンザ(A/H1N1)
対策総括会議が報告書をまとめています。PCR 検査の拡充なども謳われていますが、当時の被害が大きくなか
ったこともあり、この報告書は後世に活かされず先送りになってしまった結果、必然的に本邦が今回のパンデ
ミックで学んだことは、事前の準備をしなければ本物の流行が来た時には対応が後手後手になり、社会全体の
被害を大きくしてしまうということでした。

 過去の事例に従うだけの危機管理では、従来型の「見える災害(地震、台風、豪雨災害等)」には間に合って
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信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

第 17 回信州公衆衛生学会総会 特別講演【公開講座】

も、「見えない災害(パンデミック、放射能災害等)」には追い付かないことは、今の我国の姿を見ても理解が
出来ると思います。即ち、飯伊二次医療圏は、自分たちの地域社会(命と財産)は自分たちで守るとの覚悟を
もって、今の我国で未だ達成されていない「見えない災害」への備えを地方で確実に進めるために、「見えない
災害」対策の原則である迅速で正確な判断と意思決定を行うことができる組織改革と、医療界と行政が確りと
タッグを組んで既存のインフラを有効活用しつつ当圏域全体をカバーする危機管理体制を作り上げる姿勢が必
要と決意をしました。

 世界の中の日本、日本の中の長野県、またその中の飯伊二次医療圏に位置する小さな地方医師会ではありま
すが、何を(どのように)学び、それを元に、何を(どのように)考えて行動したのか(行動するべきだった
のか)。見えない災害を実態化(見える化)するには正しい知識が必要(知の共有)、その知識を理解して実効
性のある対策を絞り出すには知識の応用が必要(知の醸成)
。このような「見えない災害」に対する危機管理能
力を育むために必要な「知の共有」と「知の醸成」に取り組んだ小さな努力をご報告致します。

原 政博(はら まさひろ)略歴
1982 年 信州大学工学部土木工学科卒業、
(株)
東京電力設計部門入職
1987 年 労働省東京労働基準局配属
(労働基準監督官)
1994 年 信州大学医学部医学科卒業、同内分泌代謝科
(旧老年科)
入局
1999 年 仏国 École Normale Supérieure de Lyon
(分子生物学部門)
留学
2000 年 仏国任期付国家公務員
(分子生物学部門研究員)
2001 年 信州大学医学部博士課程飛び級修了、同内分泌代謝科
(旧老年科)
助手
2002 年 新野へき地診療所長赴任
2012 年 飯田医師会理事就任
2019 年 飯田医師会長就任
2023 年 飯田医師会長退任、飯伊地区包括医療協議会長就任

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