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大学・研究所にある論文を検索できる 「異常高原子価Feイオンを含んだ新規六方晶ペロブスカイトの高圧合成および物性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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異常高原子価Feイオンを含んだ新規六方晶ペロブスカイトの高圧合成および物性

譚, 振宏 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23032

2021.03.23

概要

本研究では異常高原子価Feイオンを含んだ新規六方晶ペロブスカイトを高圧法により合成し、その物性測定から合成した物質が示す特異な相転移について研究した。

1. 12層六方晶ペロブスカイト酸化物BaFeO3の高圧合成および電荷転移
高温高圧合成法(3 GPa、1273 K)を用いて、異常高原子価Fe4+イオンを含み酸素欠損のないBaFeO3を合成したところ、12層六方晶ペロブスカイト構造となることを見出した。この構造は、面共有した八面体からなるFe3O12三量体と頂点共有したFeO6八面体から構成されるものである。この物質では、八面体の中心にあるFe4+イオンの電子的不安定性を解消するために500 KでFe4+イオンの一部が電荷不均化(2Fe4+ → Fe3+ + Fe5+)、280 Kでは、残りのFe4+イオンが電荷不均化し、さらに50 Kでは、電荷不均化したFe3+とFe5+の価数が反転するサイト間電荷転移という逐次的電荷転移を起こすことを見出した。

2. 12層六方晶ペロブスカイト酸化物Ba4Fe3MO12 (M = Ni, Co, Mn)高圧合成と磁気特性 BaFeO3のFeイオンの一部をNi、Co、Mnイオンで置換したBa4Fe3MO12(M = Ni, Co, Mn)を高温高圧条件で合成した。Ba4Fe3NiO12は空間群R3"mの12R型六方晶ペロブスカイト構造となるが、頂点共有した八面体の一部に酸素欠損が入りFe3+が生じる結果、電荷分布はBa4Fe13+Fe24+2Ni4+O11.5となりフェリ磁性を示す。また、この物質中のFe4+は5 Kまで電荷不均化を示さない。Ba4Fe3CoO11.5は同様に空間群R3"mの12R型六方晶ペロブスカイト構造で室温での電荷分布はBa4Fe13+Fe24+2Co4+O11.5で反強磁性を示す。一方、Ba4Fe3MnO12は空間群R3"mの12R相と空間群C2/mのm-12R相が共存し、単相試料を得ることはできなかった。

3. 六方晶ペロブスカイト酸化物BaFe1-xGexO3の高圧合成と磁気特性
BaFeO3のFe4+イオンの一部を非磁性Ge4+イオンで置換したところ、2つ新規六方晶ペロブスカイト、21R型Ba7Fe5Ge2O20 と12H型Ba6Fe3Ge3O17 を得た。21R型Ba7Fe5Ge2O20は、室温でBa7Fe13+Fe24+Fe34+Ge44+O20の電荷分布となっており、異常高原子価Fe4+イオンは低温で電荷不均化(Fe24+ + 2Fe34+ → Fe2(4+2δ)+ + 2Fe3(4−δ)+)を起こす。一方、12H型Ba6Fe3Ge3O17 は室温でBa6Fe13+(Fe24+Ge24+)2Ge34+O17 の電荷分布であり、Fe4+イオンは低温まで電荷不均化を起こさない。いずれの構造においても、Feイオンを含んだ六方晶ペロブスカイト構造ユニットは、非磁性GeO4四面体層で隔てられており、ユニット内では超交換相互作用によるフェリ磁性が支配的であるが、非磁性層を介した磁気相互作用が弱いために二次元的な磁気特性を示すようになる。

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