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大学・研究所にある論文を検索できる 「脱炭素化・電力自由化時代における電圧安定性を考慮した電力システムの最適運用計画に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

脱炭素化・電力自由化時代における電圧安定性を考慮した電力システムの最適運用計画に関する研究

逢見, 翔太 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23539

2021.09.24

概要

本論文は、電力システムの電圧安定性に着目し、これを適切に評価する指標の分析・評価と、その指標を用いた電力システムの経済的な運用を実現するための電圧安定性を考慮した最適運用計画決定手法に関する研究成果をまとめたものである。論文は6章からなり、主な内容は以下の通りである。

第1章は序論であり、日本における脱炭素化と電力自由化をめぐる動向および電力システムの特性について整理した上で、本研究の目的について述べた。脱炭素化に向けた再生可能エネルギー発電の普及と、電力自由化による電力システムへの経済メカニズムの導入が国内では同時に進められており、電力システムの安定性と経済性を両立する運用計画手法が求められる。それを踏まえ、特に西日本系統のような細長い系統において問題の顕在化が懸念される電圧安定性を考慮した上で、広域的な経済運用が可能となる電力システムの最適運用計画手法を検討することを本研究の目的として位置付けた。

第2章では従来の電力システムの運用計画手法を踏まえて、脱炭素化・電力自由化時代における課題を整理した。従来は旧一般電気事業者による垂直一貫体制のもと、発電設備と送変電設備の建設計画は一体となって進められてきた。このため、運用計画では主に発電機の特性のみが考慮されてきた。しかしながら、建設リードタイムの短い再生可能エネルギー発電の普及や、電力自由化に伴う市場原理の導入と広域的な運用により、電力システムの系統制約を踏まえた経済的な運用計画がこれからは求められることを示した。

第3章では市場原理導入と広域運用における系統制約を考慮した上で経済的な運用点を求める「電圧安定性を考慮した最適運用計画手法」に向けて、電圧安定性指標を比較・評価した。特に、運用点が電圧安定性の観点で安定であると保証できること、運用点から電圧崩壊点までの余裕(電圧安定余裕)を適切に示すことが重要となることを示し、定性的な評価と WSCC9 母線系統を用いた定量的評価に基づき、最適運用計画手法に好適と思われる指標として、 TV(Tangent Vector) と OPF-DM-CC (Optimal- Power-Flow-based Direct Method with Complementarity Constraints) を抽出した。TV は電圧安定性を評価する上で最もよく用いられる P-V カーブ(電力‐電圧曲線)の勾配を表す指標であり、TV が負の場合に運用点が電圧安定性の観点で安定と言うことができる。OPF-DM-CC は運用点そのものが安定かどうかの判別はできないものの、常に適切な電圧安定余裕を示すことができる。

第4章では、TV に基づく最適運用計画手法を提案し、その有効性を数値計算により検証した。TV には制限誘発分岐発生時において、電力システムの安定性を過大評価するという課題があったが、電圧安定性に対して支配的な軌跡の TV を近似する MTV(Modified Tangent Vector)を提案し、最適運用計画手法に適用した。MTV を用いた電圧安定性を考慮した最適潮流計算および電圧安定度制約付き単断面起動停止計画を実装し、4 母線系統や西日本系統を模擬した電気学会標準 WEST10-O/V 系統を用いた数値計算により、その有効性を確認した。ただし、MTV 自体は電圧安定余裕を直接的に示さないため、別の電圧安定性評価手法との併用が必要であり、演算時間の観点から多時間断面を対象とする起動停止計画への適用は困難であることを示した。

第5章では、電圧安定余裕を直接的に示す OPF-DM-CC の解法のロバスト化および OPF-DM-CC を用いた最適運用計画手法を提案し、その有効性を数値的に評価した。 OPF-DM-CC には相補性制約が含まれるため収束性や大域的最適性に課題があったが、ロングステップパス追跡法と電圧崩壊点の特性に基づいてロバストな電圧安定性評価手法を提案し、その有効性をIEEE 9 母線系統、30 母線系統、39 母線系統、300 母線系統、PEGASE 1354 母線系統、電気学会標準 WEST10-O/V 系統を用いた数値評価により検証した。評価の結果、全ての条件においてロバストかつ正確に電圧安定余裕を算出できており起動停止計画への応用が十分に可能であることを確認した。そこで、OPF-DM-CC を制約に含む起動停止計画をベンダーズ分解に基づいて求解する手法を提案し、IEEE 6 母線系統、電気学会標準 WEST10-O/V 系統における 24 時間断面を対象に起動停止計画を求めた。検証の結果、提案手法によって全ての時間において必要な電圧安定性を満足し、かつ、経済的なスケジュールが得られることを確認した。

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