書き出し
CPAP使用がインフルエンザ再罹患に与える影響について (第137回成医会総会一般演題)
概要
2005年12月からスリープクリニック札幌開院前の2017年10月末まで,東京の調布・銀座・青山にある3つのスリープクリニックに来院した約16,000人の睡眠障害患者を対象に,閉塞性無呼吸障害でCPAP を使用している患者のインフルエンザ罹患に与える影響について調べた.1年以上,1 ヵ月毎に来院した患者を選び出し,その中でCPAP を使っている者は1,625名,CPAP を使っていない者は2,774名だった.CPAP 使用者のインフルエンザ罹患率は4.5%,CPAP 非使用者の罹患率は4.3% で両者に有意差はなかった(vs notinfected, Chi-Square=0.14, P=0.71 NS).CPAP 使用者は2回以上インフルエンザにかかった者はゼロで,CPAP 非使用者は1度インフルエンザにかかった者の10.2% が2回以上インフルエンザにかかっていた(vs not reinfected, Fisher Exact ProbabilityP=0.04(two-tailed)).この結果から,CPAP にインフルエンザ再罹患に対する予防効果があると考えられた.現在,スリープクリニックに通院している全ての患者に対し新型コロナウイルス抗体検査(IgG, Abbott 社)を行っており,2020年6月末時点で約200名の検査結果から抗体陽性者はゼロであった.今後半年毎に抗体検査を行い,CPAPに新型コロナ感染予防効果があるか検証していく.