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大学・研究所にある論文を検索できる 「p53/Mieap-regulated mitochondrial quality control plays an important role as a tumor suppressor in gastric and esophageal cancers」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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p53/Mieap-regulated mitochondrial quality control plays an important role as a tumor suppressor in gastric and esophageal cancers

佐野, 仁哉 岐阜大学

2020.12.16

概要

p53はDNAの障害下,転写因子として様々な標的遺伝子の発現を制御し,癌抑制に働く。p53の標的遺伝子であるMieap(Mitochondria-eating protein)は,①活性酸素種(ROS)を産生し、エネルギー産生の低下した不良なミトコンドリアを修復する(MALM),②品質の低下したミトコンドリアを巨大な液泡様構造体へ取り込んで分解・排除する(MIV),という機能を持つことが判明している。癌においてMieapは,BNIP3, NIXをコファクターとして細胞内に蓄積したR0Sレベルを下げ,ミトコンドリアの品質管理(MQC)を行っており,この際,p53-Mieap-BNIP3/NIXで制御されるMQCが癌の生存に関係していることが示唆された。最近,我々は乳癌細胞において,Mieapの強制発現がCaspase 依棒性のアポトーシスfe誘導することを報告した。また,消化器癌マウスモデルにおいて,Mi—pが腸管ポリープや癌の発生に抑制的に働くこと,ヒト大腸癌,乳癌において,p53遺伝子変異,Mieap,BNIP3プロモーター領域のメチル化といったMQC経路の異常が高頻度に起きていることを報告した。本研究は,胃癌および食道癌におけるMieapならびにMQC経路の異常とその意義について検討した。

【対象と方法】
1. Mieapの発現による胃癌細胞株のアポトーシス誘導評価の検討:
 Mieap発現アデノウイルス(Ad-Mieap)を用いて胃癌細胞株MKN1, MKN45, TMK1にMieapを強制発現(5-60moi)させ,各細胞株の形態学的特徴,細胞周期を光学顕微鏡,Fluorescence activated cell sorting (FACS)にて評価した。更にこの時のCaspase活性,アポトーシス関連タンパク質の変化についてCaspase assay,Western blotにて観察した。

2. ヒト胃癌・食道癌細胞株,臨床検体における 圆C経路(p53-Mieap-BNIP3/NIX)異常に関する検討:
 胃癌細胞株(MKN1, MKN7, MKN45, MKN74, TMK1, KATO DI, SH-10-TC),食道癌細胞株(TE1, TE4, TE5, TE10,T. T, T. Tn, KYSE70),当院の手術検体から採取した胃癌(47例)および食道癌(12例)の凍結組織を用いて,Mieap, BNIP3, jVZTプロモーター領域のメチル化をメチル化PCR(MSP)にて,変異の有無をダイレクトシーケンス法にて解析した。
 
【結果】
 1.Ad-Mieap(30moi)感染の24時間後,胃癌細胞株3株全てでMieapが強制発現し,細胞質にMIVが出現した。Mieap強制発現の48〜72時間後,MKN1, TMK1は濃度依存性に細胞死に至った。FACSでは,MKN1 (29. 33%),TMK1(33. 6%)においてsub-Glが増加したが,MKN45(16. 08%)ではその割合は低かった。Caspase assayでは,Ad-Mieap (30moi)感染72時間後,MKN1, TMK1ではCaspase-3/7, Caspase-9の有意な活性化上昇を認めたが,MKN45のCaspase活性化は軽度であった。Western blotでも,MKN1, TMK1ではCaspase-3, 9の活性化に伴うPARPの断片化を示したが,MKN45では断片化を認めなかった。またNIXの発現上昇を示したが,BNIP3の発現,CL-3分解には関与しなかった。

 2. MSP, p53変異解析では,胃癌細胞株7株中,p幻変異は100%, Mieap,BNIP3, j VL Yのメチル化は43%,43%, 0%,食道癌細胞株7株中,p53変異は100%, Mieap,BNIP3, AVXのメチル化は29%, 14%, 0%であった。臨床検体を用いた解析では,胃癌患者47例中,癌組織におけるMieap, BNIP3, A7Xのメチル化をそれぞれ2例(4.3%), 29例(61.7%), 0例(0%), p幻の変異を2例(4. 3%)で認め,而C経路 しては33例(70. 2%)で不活化されていた。胃癌患者の正常粘膜上皮においても,18例(38.3%)でBNIP3のプロモーター領域がメチル化されていた。食道癌患者12例中,癌組織におけるMieap, BNIP3, A7Xのメチル化をそれぞれ4例(33. 3%), 5例(41.7%), 0例(0%), p53の変異を6例(50%)で認め,MQC経路では10例(83. 3%) とで不活化されていた。

【考察】
 Mieapは,少量の発現でBNIP3, NIX ともにミトコンドリアの機能を回復させ修復に働く。本研究においては,胃癌細胞にMieapを大量に強制発現させる Caspase-3, 9活性を中心としたCaspase依存性のアポトーシスが誘導された。中でも,TMK1は高いCaspase活性を示しMieap感受性で細胞死が起こりやすいのに対し,MKN45はCaspase活性が低く Mieap耐性で細胞死が起こりにくかった。これはMieapが,癌の不良ミトコンドリア由来のROSを感知し,細胞を生存させるか,分解排除させるかのチェック機構を担っていると考えられる。先行研究の乳癌26.1%に対して,大腸癌79. 5%,本研究の胃癌70.2%,食道癌83.3% 消化管癌で高率にMQC経路が破綻しており,中でも,BNIP3プロモーターのメチル化頻度が高く,特に胃癌では前癌状態からの高率なメチル化が認められた。従って,p53-Mieap-BNIP3/NIXを介したMQC機構は消化管癌の発生・進展において重要な働きをしており,MieapによるMQC制御は癌抑制機能の一つのキーポイント 考えられる。

【結論】
Mieapは消化管癌において,MQC経路を介して発癌・進展を阻止する癌抑制遺伝子である。

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