廃用症候群を予防する自主トレーニング動画の作成 (第137回成医会総会一般演題)

概要

現在，廃用症候群の予防を目的とした医療保険でのリハビリテーション治療は診療報酬上認められていない．一方，入院治療に伴う廃用症候群は高齢者を中心に高頻度で発生し，退院後のスムーズな社会復帰の妨げになっている．リハビリテーション科ではこれまでに入院患者への指導や独自の自主トレーニング・パンフレットの作成と配布を行ってきた．しかしながら，パンフレットの配布のみでは各訓練の目的や効果，方法，注意点など十分な理解が得られないことが多く，より効率的かつ効果的な指導方法がないか模索をしてきた．また，昨今は入院患者が各個人でPC やタブレット，スマートフォンなどを持参する場合が多く，さらに東京慈恵会医科大学附属病院ではFreeWi-Fi（JIKEI SPOT）が整備されインターネット接続による動画視聴の環境が整いつつある．以上の経緯から当科ではリハビリテーション科専門医の監修，指導のもと「ベッドサイドで行う筋力・体力維持のセルフエクササイズ」の動画を作成し，公開を開始した．動画は全部で11タイトルから構成され，必要に応じた訓練を選択可能にした．各タイトルは，1. お尻上げ，2. 足上げ，3. もも上げ，4. 膝伸ばし，5. かかと上げ（座位），6. かかと上げ（立位），7. スクワット，8. 足踏み，9. バンザイ，10. 肩回し，11. 肩ストレッチとした．各動画の冒頭では訓練時の姿勢，動作，効果，注意点について説明し，その後，実際の訓練場面の映像とともに実況解説や時間・回数カウントを挿入した．特に動作時の呼吸は非常に重要なので，息を吸うタイミングと吐くタイミングを音声解説と視覚効果を用いて，高齢者でもわかりやすいよう工夫を施した．動画はYouTube 上にアップロードし，限定公開の上，必要とする病棟には専用のURL およびQR コードを配布している．今後，病棟での利用増加や患者個人のセルフケアの意識，意欲の向上に寄与できるよう普及に努めていく．