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大学・研究所にある論文を検索できる 「Sialyl glycopeptide synthesis utilizing TFA-labile Bn-type protected sialic acid optimized for sialylation and SPPS」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Sialyl glycopeptide synthesis utilizing TFA-labile Bn-type protected sialic acid optimized for sialylation and SPPS

Ito, Shun 大阪大学

2022.06.15

概要

糖タンパク質の糖鎖構造は、Asn側鎖に結合するN結合型とSer/Thr側鎖に結合するO結合型に大別される。これら糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸は、C-1カルボキシ基、C-2四級置換炭素、C-3デオキシ炭素、C-7からC-9部位がグリセロール鎖というユニークな構造の単糖である。シアル酸は、哺乳動物においてN-アセチルノイラミン酸 (Neu5Ac)という構造で最も多く存在しており、主にN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース(Gal)およびシアル酸8位とα結合を介して糖タンパク質に接合している。また、シアル酸は感染、糖タンパク質の半減期決定など多くの生命現象に関与している。シアル酸の機能解析が進めば、新しい治療薬の開発も期待できる。したがって、均一な糖鎖構造を有するシアリル糖タンパク質/ペプチドの簡便かつ堅牢な合成法の開発が求められている。

O結合型シアリル糖ペプチドの合成は、糖アミノ酸誘導体の合成と、それを利用したペプチド固相合成法(SPPS)の 2段階に大別される。シアル酸は酸性条件下で自己触媒的にシアリル結合を切断することが知られているため、シアリル結合を如何に保持しつつ完全脱保護ペプチドを得るかが大きな課題となる。したがって、糖水酸基に導入する保護基の選定はシアリル糖ペプチド合成において非常に重要である。

そこで我々は、シアル酸の水酸基には4-メトキシベンジル(MPM)基を、その他の糖水酸基には4-メチルベンジル (MBn)基を導入した新たな保護戦略を見出した。[1]この戦略では、ペプチド鎖伸長後のトリフルオロ酢酸(TFA)処理で脱保護することにより、完全脱保護シアリル糖ペプチドの合成に成功している。しかし先行研究では、糖鎖構築の際、シアリル化の収率と立体選択性が中程度だった。原因はシアル酸C-1のMPM基がアクセプター水酸基に転移する副反応であった。

そこで、シアル酸のC-1カルボキシ保護に2,6-ジメチルベンジル(DMBn)基を用いた新しい保護基戦略を確立した。[2]MPMエステルを有する従来のドナーに比べ、新規シアリルドナー1と2は副反応を回避しつつ高収率かつ立体選択的に所望の2糖3を与えた。加えて、TFA処理による最終脱保護ではMPM保護法と同様、DMBn基の残存なく完全脱保護シアリル糖ペプチド4を合成することができた。すなわち、DMBn基はシアリル化およびSPPSの両方に応用可能なシアル酸C-1カルボキシ保護基であると結論づけた。

本保護基戦略の拡張性を検証するためジシアリルT[Neu5Acα2,3Galβ1,3(Neu5Acα2,6)GalNAc]構造を有するThr誘導体を合成することにした。この誘導体は、コア1構造の3位水酸基と6位水酸基の2ヶ所をシアリルドナー1で一挙にシアリル化することにより、ジシアリルT構造をα異性体のみで構築することができた。この糖Thr誘導体を保護糖ペプチドへと誘導することとし、IL-2 (1-22)ペプチドセグメントを標的配列とした。得られた保護糖ペプチドをTFA処理後、中性条件のリン酸緩衝液中で加水分解することにより、完全脱保護のジシアリル糖ペプチド5を単離することに成功した。すなわち、TFA感受性Bn型保護基を利用した本保護基戦略は、α2,6およびα2,3シアリル結合を持つシアリル糖ペプチドの合成に適用可能な方法論であることを明らかとした。

参考文献

[1] Takeda N., Takei T., Asahina Y., Hojo H., Chem. Eur J. 2018, 24, 2593-2597.

[2] Ito S., Asahina Y., Hojo H., Tetrahedron 2021, 97, 132423.

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