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書き出し

半月板横断裂に対するCross Tie Grip Sutureと従来縫合法の力学試験による比較

中西, 雄太 神戸大学

2023.09.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Radial Meniscal Tears Are Best Repaired by a
Modified “Cross” Tie-Grip Suture Based on a
Biomechanical Comparison of 4 Repair Techniques
in a Porcine Model

中西, 雄太
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-09-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8722号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100485906
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)
学位論文の内容要旨

Radial Meniscal Tears Are Best Repaired by a Modified “Cross” Tie-Grip Suture Based on
a Biomechanical Comparison of 4 Repair Techniques in a Porcine Model
半月板横断裂に対する Cross Tie Grip Suture と従来縫合法の
力学試験による比較

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
整形外科学
(指導教員:黒田
中西

良祐 教授)
雄太

【背景】
変形性膝関節症の予防のため、近年可能な限り断裂した半月板を修復することが一般的に
なっている。半月板損傷の様々な断裂形態のうち、横断裂は無血管野に及んだり、hoop stress
が破綻したりするため、その治癒は困難とされている。また、完全な横断裂は半月板の全切除
と同等とも報告されており、その修復は膝関節機能温存のために重要である。
横断裂に対する縫合法は様々報告されている。平行に 2 本の縫合糸で端端縫合を行う
double horizontal suture や 2 本の縫合糸を交差させて端端縫合を行う cross suture が一般
的で技術的に容易であるが、半月板の circumferential fiber の線維方向に縫合を行うため、
縫合糸が半月板組織を裂くように抜け、縫合部の破断を来すことがある。Nakata らは断裂の
両端に(断裂部と平行に)2 本の vertical suture で縫合し、vertical suture を跨ぐように、2
本 の horizontal suture を か け る tie grip suture を 考 案 し た 。 Vertical suture は
circumferential fiber を束ね、更に horizontal suture が繊維方向に裂けていくことを阻止す
るという利点があるものの、vertical suture をかけた際に断裂部が閉じる方向に縫合されな
いという欠点がある。そこで我々は、tie grip suture の vertical suture を交差させることに
より vertical suture の縫合でも断裂部が閉じるように改良された cross tie grip suture を考
案した。
【目的】
本研究の目的は、ブタ膝半月板を用いて我々が考案した cross tie grip suture について、原
法である tie grip suture と従来法である double horizontal suture と cross suture の 4 縫合
法を比較し、半月板横断裂に対する強度試験を施行することである。Cross tie grip suture の
縫合部の開大距離は他群と比較して短く、最大破断強度が強いという仮説を検証した。
【研究デザイン】
Controlled laboratory study
【方法】
本研究では新鮮凍結ブタ膝 40 膝を使用し、内・外側半月板 80 体を採取した。採取した半
月板を double horizontal suture、cross suture、tie grip suture、cross tie grip suture の 4
群に分け、それぞれ 20 体ずつ(内側 10 体、外側 10 体)とした。次に半月板横断裂を半月板
中節部に内縁部より辺縁 2 ㎜の箇所まで作製。
縫合はまず Matsubara らの報告に従い、
double
horizontal suture は平行に 2 本の縫合糸で端端縫合を行った。一方 cross suture は 2 本の縫
合糸を交差させて端端縫合を行った。次に Nakata らの報告に沿って tie grip suture の原法
はまず 2 本の vertical suture を断裂の両側に平行に通した後、それを跨ぐように 2 本の
horizontal suture を追加した。Cross tie grip と tie grip suture の相違点は cross tie grip
suture では vertical suture を交差させ、対側に抜くことにより、断裂部を閉鎖していること

である。力学試験は Lee らの報告を参考に、preconditioning、submaximal loading、破断試
験の順番で施行した。Submaximal loading の際に 100 サイクル、250 サイクル、500 サイク
ル時に一時停止し、5N 下で計測用の写真を撮影した。それぞれ開大距離・最大破断強度・破
断様式を計測した。統計学的検討には One-way ANOVA を用い、Post hoc test として TukeyKramer post-hoc test を用いた。p < 0.05 を有意水準として統計学的解析を行った。

【結果】
500 cycle 後の縫合部の開大距離は cross tie grip 群 (1.3 ± 0.7 mm)が tie grip 群(2.1 ± 0.8
mm)
、double horizontal 群(2.9 ± 1.5 mm)
、cross 群(3.8 ± 1.6 mm)と比較して統計学的に有
意に短かった(p<0.05)
。最大判断強度は cross tie grip 群(154.9 ± 29.0 N)と tie grip 群(145.2
± 39.1 N)で両群間に有意差は認めなかったが( p=0.71)、両群共に統計学的有意に double
horizontal 群(81.2 ± 19.9 N)と cross 群(87.3 ± 17.7 N)より高値であった(p<0.05)
。破断様
式は tie grip 群 1 例で縫合部での破断を認めたが、他は全例組織の破断であった。

【考察】
力学試験の結果より cross tie grip 群は tie grip 群と同等の破断強度であり、double
horizontal 群、cross 群より破断強度は高かった。また、cross tie grip 群は他群より縫合部の
開大が少なく、仮説は証明された。
過去の報告では tie grip suture、double horizontal suture、cross suture の力学試験は報
告されているが、すべての縫合法を同じ条件で比較した研究はない。本研究では今回考案した
cross tie grip suture に加え、現状幅広く用いられている縫合法を同一条件の力学試験によっ
て比較検討している。そのため、本研究は力学的観点から術者が縫合法を選択する際に非常に
有用であると考える。
半月板横断裂に対する従来法での縫合術による術後臨床成績は未だ限定的である。良好な
短期成績が報告される一方で、縫合術後の関節鏡検査で 90%の治癒率を認めたものの軟骨損
傷は進行していたという報告など、半月板横断裂に対する治療は未だ確立していない。その中
で tie grip suture は、半月板をできる限り解剖学的に修復するという観点からも合理的であ
り、強固な固定を実現している。しかしながら、半月板横断裂で特に治癒困難な箇所は内縁部
であり、tie grip suture で縫合後も内縁部の開大が散見された。そこで我々は cross tie grip
suture を考案し、縫合により断裂部を更に閉じる方向に応力が働くように改良した。その結
果、本研究では 500 回の cyclic loading 後の断裂部の開大は tie grip suture と比較して有意
に少ないことが示された。
近年は hashtag、cross tag、rebar repair など tie grip suture や cross tie grip suture と同
様、rip stop suture といわれる 2 本の vertical suture を用いた縫合法が報告されている。Rip
stop suture は線維方向に対して垂直に縫合する vertical suture のことであり、それを跨いで
縫合する(線維方向となる)horizontal suture の縫合糸による線維方向の組織破断を防止す

ることが可能である。Massey らは rebar repair という tie grip suture に類似した縫合法に
ついて報告しているが、rebar repair による最大破断強度は 124.1 ± 27.1 N であり、本研究
での cross tie grip suture と同等であった。また、Massey らは rip stop suture のない double
horizontal suture と cross suture の最大判断強度を報告しているが、それぞれ 85.5 ± 22.0
N、76.2 ± 28.8 N と本研究の結果に相当する結果であり、本研究の整合性が認められた。現
在 rip stop suture を用いた縫合法は様々な亜型が報告されているが、どれも同等の最大破断
強度が報告されている。本研究において cross tie grip suture は tie grip suture と有意差の
ない最大破断強度を認めており、従来法(double horizontal suture、cross suture)よりも有
意に高い最大破断強度を認めている。そのため、我々が考案した cross tie grip suture は現状
では半月板横断裂に対する縫合法として最も強固な縫合法の一つであることが示唆された。
本研究の限界は、まずブタ半月板を用いているため力学試験結果はヒト半月板と異なる可
能性がある。しかし、各縫合法の相対評価を行う場合、ヒト屍体膝では献体が高齢である場合
や変性が進んでいる可能性があるため、本研究のように全て 6 か月のブタ膝を使用すること
で検体のばらつきを最小限にすることが可能であると考える。次に、本実験は生体内半月板の
ように延伸・圧縮・剪断の力を加えていない。しかし、断裂部に対して垂直方向に引張するこ
とで、縫合部には最大の応力を生じさせている。そのため、縫合部における開大量を評価する
本研究では本引張法は最適な方法であると考える。最後に、実際の手術では関節鏡視下に縫合
術を施行するが、本研究では再現性、正確性を優先するため、直視下に縫合を行ったことであ
る。
【結論】
Cross tie grip suture と tie grip suture は従来法の cross suture、double horizontal
suture と比較して最大破断強度は高く、cross tie grip suture は他の縫合法と比較して縫合
後の開大量が少なかった、以上より、我々が考案した cross tie grip 法はより強固で開大量
の少ないことが求められる半月板縫合術に有用である可能性が示唆された。

神戸大学大学院医学研究科(博士課程)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
甲第

3311 号





受付番号

中西雄太

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半月板横断裂に対する C
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eと従来縫合法の
力学試験による比較

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(要旨は 1
, 000字∼ 2, 000字程度)

変形性膝関節症への進行を防ぐため、近年、可能な限り断裂した半月板を修復すること
が重要とされている 。半月板をしっかりと双方するには、強固に固定し、縫合部ができる
限り開大しないことが大切である 。半月板損傷には様々な断裂形態があるが、中でも横断
裂の治癒は困難とされている 。
横断裂に対する最も強固な縫合法としてti
egr
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ps
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r
e (TG) がある 。TGは断裂の両

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eで縫合し、 v
e
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r
e(
V
S
) を跨ぐよう
端に(断裂部と平行に) 2本の v
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ls
ut
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e(HS) をかける方法である 。 しかし、 VSをかけた際に断裂部

、 2本の h
が圧着する方向に縫合 されないという欠点がある 。そこで研究者 らは、 TGの VSを交差さ

r
o
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ps
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u
r
e
せることにより VS の縫合でも断裂部が閉じるように改良された c
(CTG) を考案した。
本研究の目的は、研究者らが考案した CTGについて、原法である TGSと従来法である

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e (DHS) と c
r
o
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r
e(
C
S
) の 4縫合法を比較し、半月板横断
裂に対する強度試験を施行することである 。
方法
本研究は、新鮮凍結ブタ膝 4
0膝を使用し、内・外側半月板 80体を採取した 。採取した
、 CS群
、 TG群
、 CTG群の 4群に分類し、それぞれ 2
0体ずつとした 。
半月板を DHS群
次に半月板横断裂を半月板中節部に作製。 DHSは平行に 2本の縫合糸で端端縫合を行った。
一方 CSは 2本の縫合糸を交差させて端端縫合 を行った。次に TGの原法はまず 2本の VS
を断裂の両側に平行に通した後、それを跨ぐように 2本の HSを追加した。 CTG と TG
の相違点は CTGで VSを交差 させ、対側に抜くことにより、断裂部を閉鎖していることで

e
c
o
n
d
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t
io
ni
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g s
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i
mall
o
a
d
i
ng、破断試験の順番で施行した。
ある 。力 学 試 験 は pr
Submax
i
mall
o
a
d
i
ngの際に 1
0
0サイクル、 250サイクル、 500サイクル時に 一時停止し、
5N 下で計測用の写真 を撮影した 。 それぞれ開大距離• 最大破断強度・破断様式を計測した 。

統 計学的検討には One-wa
yANOVAを用い、 Posthoct
e
stとして Tuke
y
-Kramert
e
stを用
いた 。p<0
.
0
5を有意水準として統計学的解析を行 った。
結果

500c
y
c
l
e後の縫合部の開大距離は、 CTG群(1.3士 0.7mm)が TG群(2
.
1土 0
.
8mm)・
DHS群 (
2.
9土1.5mm)・ CS群 (
3
.
8土 1
.6mm) と比較して統計学的に 有意に短かった
0.05)。最大判断強度は CTG群( 1
5
4
.
9土 29.0N) と TG群( 1
4
5
.
2土 3
9
.
1N) で両
(p<
.
7
1
)、両群共に有意 に DHS群 (81
.2士 1
9
.
9N) と
群間に有意差 を認めなかったが(p=0
CS群 (8
7
.
3土 1
7
.
7N) より高値であ った ( p < 0
.
0
5
)。破断様式は TG群 1例で縫合部
での破断を認めた 。
考察および結論
本研究において、 CTGは TGと有意差 のない最大破断強度 を認 めており、従来法 (DHS


CS) よりも 有意 に高 い最大破断強度 を認めていることが証明された 。 また、 CTG は他群
、 現状では半月板横 断裂に対す
より縫合部の開大が有意 に少なか った。そ のため、 CTGは
る縫合法として 最 も強固な縫合法の 一 つであることが示唆された 。

本研究は、研究者らが考案した CTGを従来法と比較し強度試験を施行したものである
が、今回考案した CTGに加え、現状幅広く用いられている縫合法を同一条件の力学試験
によって比較検討した初めての報告である。本研究は力学的観点から術者が縫合法を選択
する際に非常に有用であり、さらに、 CTGはより強固で開大鼠の少ないことが求められる
半月板縫合術に有用である可能性が示唆された点で価値ある業績であると認める 。よって、
本研究者は、博士(医学)の学位を得る資格があると認める 。

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