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大学・研究所にある論文を検索できる 「ソーシャルサポートと自殺リスクとの関連に関するコホート研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ソーシャルサポートと自殺リスクとの関連に関するコホート研究

大塚 達以 東北大学

2020.09.25

概要

自殺は世界的に公衆衛生上の重要な問題であり、自殺を予防することは喫緊の課題である。ソーシャルサポートは、自殺に対して保護的に作用すると考えられているが、ソーシャルサポートと自殺リスクとの関連についての検討は未だ十分に行われておらず、また、ソーシャルサポートをタイプ別に分けて自殺リスクとの関連を検討した研究はない。ソーシャルサポートの有用性についての情報、さらには誰にどのようなソーシャルサポートを提供することが自殺予防に効果的であるかという情報は、地域における自殺予防対策を講じる際に重要である。そこで、本研究では、一般地域住民を対象としたコホート研究により、情緒的ソーシャルサポート・手段的ソーシャルサポートと自殺リスクとの関連を検討し、ソーシャルサポートと自殺リスクとの関連に対する性別・年齢、心理的・身体的状態の影響について検討することを目的とした。

2006 年 12 月に宮城県大崎市の 40 歳以上の全市民 77,235 人を対象に配布した自記式質問調査から有効回答を得た 49,603 人のうち、基準を満たす 47,223 人を解析対象者とし、2014 年 3 月 31 日までの約 7.4年追跡調査を行った。情緒的ソーシャルサポートについて 2 つの質問、手段的ソーシャルサポートについて 3 つの質問を行った。統計解析には Cox 比例ハザードモデルを用い、それぞれのソーシャルサポートの質問にひとつでも「いいえ」と回答した群を基準として、情緒的ソーシャルサポートの 2 つの質問両方に「はい」と回答した群(情緒的ソーシャルサポートあり群)、手段的ソーシャルサポートの 3 つの質問全てに「はい」と回答した群(手段的ソーシャルサポートあり群)の、自殺の多変量調整ハザード比(HR)、95%信頼区間(95%CI)を算出した。共変量は、性・年齢・既往歴・飲酒・喫煙・BMI・学歴・歩行時間とした。さらに、年齢・性別でサブグループに分けて層別化解析を行った。また、心理的苦痛の有無・身体的機能障害の有無・ソーシャルサポートの有無により 8 群に分け、心理的苦痛なし・身体的機能障害なし・ソーシャルサポートあり群を基準として、7 群について多変量調整 HR(95%CI)を算出した。

観察人年は 320,880 人年で、追跡期間中の自殺は 90 人であった。手段的ソーシャルサポートあり群の自殺リスクの HR(95%CI)は 0.60(0.38-0.94)であり、手段的ソーシャルサポートあり群で自殺リスクが有意に低かった。情緒的ソーシャルサポートあり群の自殺リスクの HR(95%CI)は 0.70(0.42-1.17)であり、有意ではなかったが自殺リスクは低い傾向であった。また、年齢と性別でサブグループに分けた層別化解析からは、女性において手段的ソーシャルサポートは自殺リスクが低いことと有意に関連していた。心理的苦痛なし・身体的機能障害なし・ソーシャルサポートあり群を基準として、心理的苦痛なし・身体的機能障害あり・ソーシャルサポートなし群の自殺リスクの HR は 4.60(2.11-10.01)と統計学的に有意な上昇が認められた。

自殺の予防においては手段的ソーシャルサポートが重要であることが示唆された。また、身体的機能障害がある人に対しては早期のソーシャルサポートが重要であることが示唆された。地域における自殺予防対策を講じる際には、援助希求者に対して実用的で直接的なサポートの提供が重要であるかもしれない。

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