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大学・研究所にある論文を検索できる 「中枢神経系におけるアミノ酸栄養に対する消化管内および食品中の微生物叢の機能に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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中枢神経系におけるアミノ酸栄養に対する消化管内および食品中の微生物叢の機能に関する研究

川瀬, 貴博 KAWASE, Takahiro カワセ, タカヒロ 九州大学

2020.03.23

概要

本研究では、消化管内微生物および微生物により発酵を受けた食品が宿主の中枢神経系に及ぼす影響をアミノ酸栄養の観点から調査を行った。具体的には、1)消化管内微生物が宿主の脳内アミノ酸代謝に及ぼす影響、2)ヨーグルトおよびヨーグルト乳清の亜急性投与が脳内アミノ酸代謝、モノアミン代謝、および行動に及ぼす影響を評価した。

まず、腸内細菌叢が宿主の脳内アミノ酸代謝に及ぼす影響に焦点を当て、7および 16 週齢の特定病原体フリー(Specific pathogen-free:SPF)および無菌(Germ-free:GF)マウスの血漿および脳部位における遊離アミノ酸の分析を実施した。血漿中 D-アスパラギン酸(D-Asp)、L-アラニン(L-Ala)、L-グルタミン(L-Gln)およびタウリン(Tau)濃度は 7 週齢において GF マウスより SPF マウスの方が高かったが、16 週齢では差が消失した。線条体、大脳皮質および海馬における L-Asp の濃度、線条体における L-アルギニン(L-Arg)、L-Ala および L-バリン(L-Val)濃度においても同様のパターンが観察された。さらに、L-Asp、D-Ala、L-ヒスチジン(L-His)、L-イソロイシン(L-Ile)、L-ロイシン(L-Leu)、 L-フェニルアラニン(L-Phe)および L-Val の濃度は、GF マウスと比較して SPF マウスの血漿において有意に高かった。小脳、海馬および視床下部においては、L-Arg、L-Gln、L-Ile、L-Leu および L-Phe の濃度が SPF マウスで有意に高かったが、脳幹および視床中における D-Asp、さらに大脳皮質および視床中における D-および L-セリンの濃度は逆に GF マウスで高かった。これらの結果より、宿主の脳内遊離アミノ酸濃度は腸内細菌叢の影響を受け、腸内細菌叢を操作することで修飾される可能性が示唆された。

そこで、摂食前に微生物による発酵を受けている食品の機能に注目し、代表的なプロバイオティクス食品であるヨーグルトの亜急性投与の影響を評価した。 Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus 2038 および Streptococcus thermophilus 1131 乳酸菌株を利用したヨーグルトを 36 日間投与したマウスは、蒸留水を投与した対照群マウスに比べ、大脳皮質における D-および L-セリン、L-Ala、 L-Val、L-Ile およびセロトニンの濃度が有意に高かった。8 方向放射迷路試験においては、ヨーグルトの投与により空間参照記憶が有意に改善された。

さらに、同ヨーグルトの乳清について機能性を評価した。ヨーグルト乳清をラットに 28 日間投与した結果、視床においては、D-および L-セリン、L-Gln、L-His、L-Ala、L-Arg、L-Phe、L-Val 、L-Ile、 L-Leu および Tau の濃度が有意に低い値を示し、視床下部におけるγ-アミノ酪酸および脳幹における L-Gln の濃度は高い値を示した。一方で、不安様行動やうつ様行動には影響が認められなかった。したがって、上記で示されたヨーグルトの機能性は、乳清部分だけではなく、乳酸菌を含むヨーグルトすべてに由来する可能性が推察された。

本研究より、消化管内微生物は宿主の中枢神経系におけるアミノ酸代謝に影響を及ぼし、また、既に微生物により発酵を受けているヨーグルトも、中枢神経系のアミノ酸およびセロトニン代謝の調節機能を介して、学習能力の改善に寄与する可能性が示唆された。

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