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大学・研究所にある論文を検索できる 「社会的優位個体の炎症性疼痛によるマウス集団内階位の不安定化 (第137回成医会総会一般演題)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

社会的優位個体の炎症性疼痛によるマウス集団内階位の不安定化 (第137回成医会総会一般演題)

衣袋, 桃代 浮地, 里佳子 高橋, 由香里 杉村, 弥恵 加藤, 総夫 東京慈恵会医科大学

2020.11.15

概要

【背景と目的】
 複数個体が社会を形成するヒトを含む生物種において,一度形成された社会的階位が安定して維持されることが知られている(Hickey et al, 2019).一方,社会的階位の安定性は,社会的優位個体が他者を威嚇することで維持される(Sapolsky et al, 2005).近年,ヒトにおいて疼痛が社会的関係性に影響すること(Mogil, 2015;Forgeron et al, 2010; Leonard et al, 2006),さらに,マウスにおいて疼痛が社会的階位に影響を与えることが報告されている(Langford et al, 2006;Tansley et al, 2018).そこで,社会的優位個体の炎症性疼痛が集団全体の社会的階位構造を変容させる可能性を検証した.

【方法】
 C57BL6J 雄マウスを4匹ずつケージ飼育した.飼育ケージ内ランクをtube test 法(Wang et al, 2011)で評価した.Formalin またはsaline を投与する日をday 0とし,連続5日間1日1回(day -5 to day -1)tube test を行った.Day -4 to day -1においてケージ内平均ランク1位のマウスを社会的優位マウス(dom),ランク2 ~ 4位のマウスを社会的下位マウス(sub)と定義した.Day 0におけるtube test の施行後,dom にformalin またはsaline を,すべてのsub にsaline を,口唇部に皮下投与した.Formalin 投与dom マウスをdomF,saline 投与dom マウスをdomSとし,また,domF およびdomS が所属するケージを,それぞれcageF およびcageS とした.Day 0においてformalin またはsaline の投与0.5時間,1時間,2時間,および約7時間後,さらに翌日から5日間,1日1回(day 1 to day 5)tube test を行った.ケージ内社会的階位の安定性の評価のため,連続する2回のtube test における各個体のケージ内ランク分布の変化のKendall 距離(Kendall, 1938)を求めた.

【結果】
 Formalin 投与約7時間後,全dom F 個体が口唇部の顕著な腫脹を示した.Day 2to 5の平均Kendall 距離はcageF(n = 7)でcageS(n= 6)よりも有意に高く,dom マウスを除外したsub のみの集団に着目した場合も同様であった.また,domF の平均ランクは投与前(day -3 to day-1),投与当日(day 0の0.5 h to 7 h),ならびに投与 後( day 3 to day 5)において有意に変化した.

【結論】
 社会的優位個体マウスの持続的炎症性疼痛によってケージ全体のマウスの社会的階位の安定性が失われることが示された.この結果は,社会的優位個体の病的状態により集団の安定的社会的階位構造が撹乱されることを示唆している.

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