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大学・研究所にある論文を検索できる 「紫外線皮膚炎モデルを用いた表皮フェロポーチン機能の解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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紫外線皮膚炎モデルを用いた表皮フェロポーチン機能の解析

八丁目 直和 東北大学

2022.03.25

概要

我々は、過去に鉄トランスポーターであるフェロポーチンを皮膚表皮細胞で欠損させたマウス(FpnEpi-KO)を作成した。その FpnEpi-KO マウスでは表皮細胞の分化に伴って行われる鉄のリクルートができなくなるため、低鉄食を餌として与えると対照マウスと比較して血中ヘモグロビン濃度が優位に低下することを報告した。このことは表皮における鉄代謝が全身の鉄恒常性に寄与することを指し示している。しかしながら、鉄のリクルートができなくなることによって生じる表皮の鉄過剰状態が炎症性皮膚疾患などに与える影響は明らかになっていない。鉄はフェントン反応によって強い細胞毒性を持つ活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)を生成し細胞に対して酸化ストレスを引き起こすことがわかっている。 本研究では、皮膚において酸化ストレスを与えることで知られている紫外線曝露による皮膚炎モデルを作成し、このモデルを表皮で鉄過剰になっている FpnEpi-KO マウスに応用することで表皮に存在する鉄に対する紫外線反応性を解析した。

FpnEpi-KO マウスまたは対照マウスとして Fpnfl-fl マウスの剃毛した背中の皮膚に 1 kJ / m2 と 5 kJ / m2 の紫外線 B 波 (Ultrabiolet B:UVB)を照射した。UVB 照射 24 時間後に皮膚組織を確認したところ、FpnEpi-KO マウスでは、対照マウスと比較して真皮と皮下組織の厚さと浸潤性炎症細胞数の有意な増加を示した。また、RT-PCRにて炎症性サイトカインとケモカインの遺伝子発現を解析してみると、FpnEpi-KO マウスでは Il1b、Il6、Cxcl1、 Cxcl2 、 Cxcl3 の mRNA 発現 が 有意 に 上昇 し た。さらに紫外 線照 射後 の 皮膚 組織 を用 いて 8-hydroxy-2-deoxyguanousine (8-OHdG) および 8-oxoguanine DNA glycosylase (OGG1) の免疫組織化学染色を行い、FpnEpi-KO マウスでより大きな酸化ストレスが引き起こされていることが明らかになった。最後に、表皮における鉄が直接的に皮膚炎症に関与していることを示すために鉄キレート剤であるデフェリプロンを用いた。その結果、FpnEpi-KO マウスへ UVB 曝露後の皮膚炎症は、鉄キレート剤であるデフェリプロン処理によって有意に抑制された。

これらの結果から、表皮細胞はフェロポーチンを介して表皮の鉄含有量を調節することで全身性の鉄欠乏を防ぐだけでなく有害な ROS 産生を減少させるという重要な役割を担っており、表皮における鉄過剰状態が紫外線皮膚炎の炎症を増強することが明らかとなった。

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