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大学・研究所にある論文を検索できる 「HECT型ユビキチン転移酵素ITCHはWnt/βカテニン経路を介する病的心肥大の進展を抑制する」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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HECT型ユビキチン転移酵素ITCHはWnt/βカテニン経路を介する病的心肥大の進展を抑制する

後藤 準 山形大学

2021.03.31

概要

【背景・目的】高齢人口の増加に伴い心不全患者が増加し、心不全パンデミックと呼ばれ世界的な問題となっている。治療法の進歩にも関わらず難治性で、新たな治療法の発見が待たれる。心不全は様々な器質的心疾患が原因となるが、予後不良因子として病的心肥大(心筋リモデリング)の促進が挙げられ、治療ターゲットとされている。近年、心筋リモデリングにおけるWntシグナルが注目を集めている。Dishevelled蛋白(Dvl1、Dvl2、Dvl3)は、Wnt/βカテニン経路の主要なメディエーター蛋白である。HECT型ユビキチン転移酵素ITCHは、ユビキチン-プロテアソーム系を介したタンパク質分解に重要な役割を果たす酵素である。近年、ITCHがリン酸化Dishevelled蛋白をユビキチン-プロテアソーム系を介して分解することが細胞実験レベルで示された。本研究の目的は、病的心肥大の進展におけるITCHの役割を検討することである。

【方法・結果】心臓特異的ITCH過剰発現(ITCH-Tg)マウスと野生型(WT)マウスに対して胸部横行大動脈縮窄術(Thoracic transverse aortic constriction: TAC)を行い、圧負荷心不全モデルを作成した。ITCH-TgマウスはWTマウスに比べてTAC手術後の心肥大が抑制され、生存率は有意に高値であった。免疫沈降法でITCHとDishevelled蛋白の相互作用をin vivoおよびin vitroで確認した。ITCH-Tgマウスでは、TAC手術後のWnt/βカテニン経路の主要分子(Dvl1、Dvl2、phospho-GSK3β、β-catenin)の発現がWTマウスに比べて抑制されていた。またITCH-Tgマウスでは、ユビキチン化したDishevelled蛋白が増加した。新生仔ラット心筋細胞におけるITCHの蛋白発現レベルは、Wnt3a刺激に応答して12時間で増加のピークを認め、24時間で定常状態まで低下した。Wnt3a刺激後にはDvl1、Dvl2、Dvl3、phospho-GSK3β、β-cateninの発現レベルの増加が確認されたが、siRNAを用いてITCHを抑制すると、さらなる増加を認め、心筋細胞のサイズも増加した。逆にITCHの過剰発現はDvl1、Dvl2、Dvl3、phospho-GSK3β、β-cateninの発現レベルを有意に低下させた。

【結論】ITCHは不全心で増加したDishevelled蛋白をユビキチン-プロテアソーム系を介して分解し、Wnt/βカテニン経路を介する病的心肥大の進展を抑制した。ITCHは心不全患者の心筋リモデリングの予防および治療のターゲットとなる可能性が示唆された。

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