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大学・研究所にある論文を検索できる 「アルデヒド還元酵素(Akrla)欠損マウス新生児の発育異常に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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アルデヒド還元酵素(Akrla)欠損マウス新生児の発育異常に関する研究

石井 直樹 山形大学

2020.03.31

概要

課題設定
アスコルビン酸は抗酸化をはじめとする多様な生理機能を有するが、霊長類を除いてほとんどの動物は合成できるため、食餌から摂取する必要はない。マウス肝臓には Akr1a 遺伝子によってコードされるアルデヒド還元酵素が大量に発現し、様々なカルボニル化合物の還元無毒化に加えて、アスコルビン酸合成の一過程である D-グルクロン酸から L-グロン酸への変換を触媒している。Akr1a ホモ欠損(KO)マウスは、野生型(WT)マウスの約1割程度しかアスコルビン酸を合成できず、骨の形成障害などにより1年以内に死亡する。KO マウスにアスコルビン酸(1.5 g/L)を飲水投与することで顕著に延命し、その病態の多くは改善する。しかし、KO マウスどうしの交配ではアスコルビン酸を補給しても発育異常マウスが高頻度に生まれることから、本研究ではその原因究明を目的として胎児ならびに離乳までの新生児について検討した。

方法
生殖能力を有する 8 週齢以降の成獣 WT マウスどうし、KO マウスどうしは飼育ケージあたり 1 対 1 で交配を行った。早朝に雌マウスの膣プラグの有無を確認し、妊娠日とした。膣プラグが確認できた日を妊娠 0.5 日目と定めた。胎生 14.5 日目の胎児と新生児の数と重量の測定を行った。新生児に関しては臓器重量の測定、脾臓と胸腺の組織学的解析、脾臓中の免疫細胞数の測定、血漿中アスコルビン酸とコルチコステロン濃度の測定および副腎でのステロイド産生レベルの評価を行った。

結果・結論
WT 雌マウスと KO 雌マウスから生まれた仔の体重を比較した。WT に比べて KO 雌マウスからの新生児の体重にばらつきが大きく、生後 30 日齢の段階でその約 3 割が標準的な体重(12 g 以上)に至らず、19%が 6-12 g、7%が 6 g 未満であった。そこで主に体重が 6 g 未満の低体重 KO 群を発育異常新生児として、12 g を超える正常体重の KO マウスおよび WT マウスと比較検討を行った。WT マウス胎児に比べて KO マウス胎児では、妊娠 14.5 日目で既に体重のばらつきが大きく、胎児期に発育格差が始まっていることが示唆された。生後 30 日齢のマウスの剖検により、発育異常 KO マウスでは特に脾臓と胸腺が特徴的に小さいことが分った。脾臓では免疫細胞数の割合や組織学的な検討で異常を認めなかったが、胸腺ではアポトーシスによる細胞死の増加を認めた。また、血漿中アスコルビン酸濃度は正常体重マウスと比べて低く、コルチコステロン濃度は逆に高値を示した。このことから、親 KO マウスにアスコルビン酸を補充しても胎児には十分量のアスコルビン酸が行き渡らず胎児間に格差が生じ、それが出産後の授乳量にも影響を与え、正常体重マウスとの間の格差が増強されたと考えられる。アスコルビン酸にはコルチコステロンの放出を抑制する作用があり、また、Akr1a はコルチコステロンの代謝に関わるため、こうした作用の結果として血中のコルチコステロン濃度が上昇した可能性がある。アスコルビン酸は各種酵素反応の補因子として働き、またコルチコステロンは免疫系をはじめとする胎児の発生や新生児の発育に関わる。従ってアスコルビン酸供給の偏りが一部の胎児ではコルチコステロンの上昇を招き、それが発育遅延をもたらした可能性がある。本研究により、アスコルビン酸が十分に供給されない胎児ではコルチコステロンが上昇し、発育不全を来たす可能性が示唆された。

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