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大学・研究所にある論文を検索できる 「The Finger-to-Nose Test Improved Diagnosis of Cerebrovascular Events in Patients Presenting with Isolated Dizziness in the Emergency Department」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The Finger-to-Nose Test Improved Diagnosis of Cerebrovascular Events in Patients Presenting with Isolated Dizziness in the Emergency Department

西田, 一貴 名古屋大学

2022.07.05

概要

【緒言】
めまいは、患者が救急外来を訪れる最も一般的な症状の一つであり、そのうち3〜5%が脳梗塞によるものであると報告されている。特に、めまい症状を呈しているが、運動障害や構音障害を伴わない状態、すなわち「単純性めまい」は、めまい以外に診断の目安となる症状がないため、診断に苦慮することが多い。単純性めまいを呈する患者のうち、脳梗塞のリスクが高い患者を特定することは臨床的に重要である。しかしながら、単純性めまいを呈する患者の脳梗塞のリスクはまだ完全には解明されておらず、さらなる評価が必要である。

指鼻指試験は、従来から小脳機能の検査に用いられてきた基本的で簡単な身体検査であるが、単純性めまいの評価に指鼻指試験が有用かどうかに着目した研究は、ほとんどない。唯一実施されている後ろ向き研究では、単純性めまいの患者468人に対して指鼻指試験を含む急性脳梗塞の発生率に関連するいくつかの要因を探索的に検討している。しかし、この研究では指鼻指試験の異常所見の影響は単変量解析に基づいて評価されており、多変量解析では評価されていない。つまり、単純性めまいの患者において、指鼻指試験が脳卒中を検出するための独立した危険因子であるかどうかは未確定である。

本研究では、救急外来を受診した単純性めまい患者において、指鼻指試験の異常所見が脳卒中に及ぼす影響を明らかにするとともに、めまい患者を対象とした先行研究で明らかになっている他の脳卒中の危険因子を調整した上で、指鼻指試験の付加的な予測値を評価することを目的とした。

【方法】
全てのデータは、愛知厚生連海南病院の救急救命センターで収集された。単純性めまいの患者を対象とした二つのデータセットに対して、同じ対象・除外基準でデータを統合した。一方のデータセットは2014年12月1日から2015年3月31日の間に後ろ向きに収集され、もう一方のデータセットは2017年1月1日から2017年3月31日の間に前向きに収集された。対象基準である単純性めまいは、明らかな片側の麻痺や構音障害を伴わないめまいと定義した。除外基準は、指鼻指試験のデータがない、16歳未満、心的要因によるもの、のいずれかに該当するものとした。主要アウトカムは脳血管イベントとし、脳梗塞、脳出血、椎骨動脈解離、一過性脳虚血発作のいずれかを満たすものと定義した。

脳血管イベントに対して、指鼻指試験と過去の研究で指摘された五つのリスク因子(年齢、高血圧、高脂血症、糖尿病、眼振)を共変量として調整した多変量ロジスティック回帰モデルにより指鼻指試験異常の有無の影響を評価した。また、五つのリスク因子を説明変数としたロジスティック回帰モデルに対する受信者動作特性(ROC)曲線と、同じ五つのリスク因子に指鼻指試験を加えたロジスティック回帰モデルのROC曲線で比較することにより、指鼻指試験の実施による診断精度の影響を検討した。二つのロジスティック回帰モデル間の曲線下面積(AUC)推定値の差の統計的有意性はDeLong法を用いて評価した。

【結果】
単純性めまいが認められた対象患者357例のうち、脳血管イベントによるものは31例であった(Figure1)。脳血管イベントの内訳は、脳梗塞18例、脳出血7例、椎骨動脈解離1例、一過性脳虚血発作5例であった(Table1)。単変量解析では、指鼻指試験の異常所見ありの割合は、脳血管イベント群が非脳血管イベント群に比べて有意に高かった(25.8%vs1.5%、p<0.001、Table2)。五つの共変量を調整した多変量ロジスティック回帰モデルでは、脳血管イベントにおける指鼻指試験の異常所見ありの推定オッズ比は25.3(95%信頼区間:7.3〜88.2、p<0.001)であった(Table3)。五つの因子に指鼻指試験を加えたモデルのROC曲線のAUCは0.691、五つの因子のみのROC曲線のAUCは0.576で、その差は0.116(p=0.020)と統計的有意であった。

【考察】
多変量解析により指鼻指試験の異常所見ありが脳血管イベントと統計的に有意に関連することが示された。また、ROC解析では、脳血管イベントに対して既知の他の危険因子を加えたロジスティック回帰モデルに指鼻指試験を追加すると、AUCが有意に増加したことから、指鼻指試験の実施は、単純性めまいの患者の脳血管イベントの診断精度を高めるのに役立つと考えられる。多変量ロジスティック回帰分析では、指鼻指試験異常のオッズ比が極めて高かった(オッズ比:25.3、95%信頼区間:7.3-88.2)。この値は、先行研究による単変量解析の結果(オッズ比:17.2、95%信頼区間:3.9-76.3)と一貫性があり、単純性めまい患者に対する指鼻指試験の実施の効果は一般化可能な事実であることが示唆される。

これらの結果から単純性めまいの患者に指鼻指試験を実施することが望ましいと考えられる。指鼻指試験にて異常所見が認められれば、脳血管イベントのリスクが高いため、積極的に頭部CT検査や頭部MRI検査を行うべきである。一方、指鼻指試験の結果が正常である場合には、他の情報を考慮して追加検査を行うべきかを判断するのがよいと考えられる。

【結論】
指鼻指試験の異常所見は、単純性めまい患者の脳血管イベント検出の予測精度を向上させる強力な独立したリスク因子であることが示唆された。救急外来で単純性めまいの患者を診察する際、さらなる診断評価が必要かどうかを判断するために、指鼻指試験の実施を推奨する。

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