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大学・研究所にある論文を検索できる 「脳卒中急性期バイオマーカーとしての tRNA 由来物の臨床的有用性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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脳卒中急性期バイオマーカーとしての tRNA 由来物の臨床的有用性

石田 朋久 東北大学

2020.03.25

概要

目的: 脳卒中急性期には病巣そのものによる障害に加え、その周囲に惹起される生体反応が組織障害をきたす。神経学的転帰には、病巣そのものの障害に加え、この周囲の組織障害も重要と考えられる。今回、組織障害を反映するバイオマーカーとして transfer ribonucleic acid (tRNA) に注目した。 tRNA はタンパク質をコードしない RNA の一つで、リボソームにアミノ酸を運搬する役割の他に、ストレス応答に関与することがわかっている。組織障害は tRNA の高次構造の変化および以降の分解を引き起こすため、組織障害により血中に tRNA 由来物が増加する。 tRNA を構成する特異的な修飾核酸である 1 - メチルアデノシン(1-methyladenosine: m1A) に対する抗体を用いることで tRNA 由来物を血中や尿中で検出することができる。本研究では、脳卒中急性期の患者を対象とし、抗 m1A 抗体を用いて血中 tRNA 由来物を測定することにより、脳組織障害を早期に検出することが可能か、またそのことにより、神経学的転帰が予測可能か否かを検討することを目的とした。

方法: 期間は 2016 年 11 月から 2019 年 2 月とした。発症から 24 時間以内に来院した脳梗塞、脳出血症例を前向きに登録した。正常ボランティアとして頭蓋内病変のない 22 例を採用した。採血は 4 回 (①発症から 24 時間以内、②発症から 24 〜 48 時間、③ 7 (± 1) 日、④ 30 (± 3) 日) に行った。 tRNA由来物の測定には、 ELISA 法を用いた (測定試薬提供:㈱医学生物学研究所)。病変の大きさ (梗塞体積、血腫量) を測定した。神経学的転帰評価には、発症から 30 日目の modified Rankin scale (mRS) を用いた。mRS 0-2 を転帰良好群、mRS 3-6 を転帰不良群と定義した。

結果: 合計 141 症例 (脳梗塞 75 例、脳出血 66 例)が登録された。 発症時 tRNA 由来物は、脳梗塞症例で 140.0 (19.6 - 1837.5) ng/ml、脳出血症例で 158.0 (34.9 - 942.5) ng/ml であり、正常ボランティア(74.8 (31.3 - 142.8) ng/ml) よりも有意に高値であった。発症時 tRNA 由来物の値は、発症時の梗塞体積(r = 0.445, p = 0.00018) および血腫量 (r = 0.33, p = 0.0087) と有意な正の相関を示した。脳梗塞症例では、発症時 tRNA 由来物の値は、最終梗塞体積 (r = 0.494, p < 0.0001) および梗塞拡大とも有意に関連していた。 tRNA 由来物の経時的変化の検討では、脳梗塞症例では発症翌日に最大値であったのに対し、脳出血では発症日が最大値であった。脳梗塞症例の転帰不良群では tRNA 由来物は発症日、発症翌日、 7 日目で有意に高値であった。脳出血症例の転帰不良群では発症時 tRNA 由来物が有意に高値であった。多変量解析では、発症 7 日 tRNA 由来物の値が、脳梗塞での転帰不良の独立した予測因子であった。

結論: 脳卒中症例で tRNA 由来物を測定することにより脳組織障害を定量的に評価可能であった。 tRNA 由来物を急性期に測定することにより、神経学的転帰を予測することが可能であった。 tRNA 由来物は脳卒中重症度判定、転帰予測のバイオマーカーになりうることが示唆された。

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