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書き出し

脂肪由来幹細胞培養上清の瘢痕拘縮モデルにおける収縮抑制効果に関する研究

藤田, 裕季子 筑波大学 DOI:10.15068/0002008020

2023.09.04

概要





大 学

博士(医 学)学位論文

脂肪由来幹細胞培養上清の瘢痕拘縮モデ
ルにおける収縮抑制効果に関する研究

2022
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科

藤田

裕季子

原典論文の再利用(Re-use)について
この学位論文は、「Therapeutic potential of adipose stem cell-derived
conditioned medium on scar contraction model(Yukiko Imai, Nobuhito Mori,
Yuma Nihashi, Yutaro Kumagai, Yoichiro Shibuya, Junya Oshima, Masahiro
Sasaki, Kaoru Sasaki, Yukiko Aihara, Mitsuru Sekido, and Yasuyuki S. Kida;
Biomedicines, 10(10):2388, 2022 doi:10.3390/biomedicines10102388」の内容
を MDPI 社の規定に従って再利用している。

出版社 MDPI ホームページ(https://www.mdpi.com/authors)
「Information for Authors」より、
・For Authors and Readers Open Access Means permission of re-use of the published
material if proper accreditation is given.

目次
第1章 背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.1 皮膚組織について……………………………………………………1
1.2 創傷治癒・創傷収縮と瘢痕拘縮……………………………………2
1.3 瘢痕拘縮に対する治療法の現状……………………………………7
1.4 瘢痕の基礎研究と瘢痕モデルの変遷………………………………8
1.5 創傷治癒モデルとしての FPCL モデル……………………………11
1.6 間葉系幹細胞および脂肪由来幹細胞と瘢痕治療…………………12
1.7 線維芽細胞の 3 次元培養による ASC 培養上清の効果の検証および作用機序解
明の必要性…………………………………………………………14
第2章

目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第3章

方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

3.1 細胞の分離と培養……………………………………………………16
3.2 瘢痕収縮モデルと瘢痕収縮アッセイの作製………………………18
3.3 脂肪由来幹細胞培養上清(ASC-CM)の採取と調製方法………20
3.4 瘢痕収縮モデルの組織学的検討……………………………………20
3.5 細胞増殖試験…………………………………………………………21
3.6 qPCR による遺伝子発現解析………………………………………21
3.7 RNA-seq による網羅的遺伝子発現解析……………………………23
3.8 統計解析………………………………………………………………23
第4章

結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

4.1 瘢痕収縮モデルの作製と評価………………………………………25
4.1.1

ヒト正常組織と瘢痕組織の遺伝子発現の差……25

4.1.2

瘢痕収縮モデルの作製……………………………25

4.1.3

瘢痕収縮モデルの遺伝子発現……………………29

4.1.4

瘢痕収縮モデルと瘢痕組織との類似性…………35

4.2 瘢痕収縮に対する ASC-CM の効果………………………………36
4.2.1

ASC-CM の採取条件の検討………………………36

4.2.2

既存の瘢痕治療薬での検討………………………38

4.2.3

ASC-CM の瘢痕収縮抑制効果…………………………40

4.2.4

ASC-CM による組織学的変化と遺伝子発現の変化…41

4.2.5

RNA-seq による包括的遺伝子発現解析………………43

4.2.6

ASC-CM の収縮抑制効果の詳細………………………50

4.2.7

ヒト間質血管細胞群(human stromal vascular fraction ; hSVF)の培養

上清を用いた検討……………………………………………54
4.3 瘢痕収縮抑制効果をもたらす因子と新規治療薬への応用……………56
4.4 脂肪由来幹細胞培養上清中の成分の検討………………………………60

第5章

考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

5.1 FPCL モデルの有用性と課題……………………………………………63
5.2 ASC-CM の瘢痕拘縮予防への有用性………………………………… 65
5.3 ASC-CM 中の有効成分………………………………………………… 66
5.4 分子標的による新しい瘢痕治療薬の発見の可能性………………… 68
第6章

結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69

第7章

要約図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71

第8章

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

第9章

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81

第 10 章 出典・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82

第1章
1.1

背景

皮膚組織について

皮膚は、成人での面積が 1.6 m2、重量は 3 ㎏、皮下組織も合わせると 9 ㎏にも及ぶ
人体最大の臓器である[1]。生体の最外層に位置する臓器のため、外界からのあらゆる
ストレスに対し、防御機構を持つ組織である。生体内の水分を保持し、外界からの病
原微生物やアレルゲンの侵入を遮断する役割がある。
皮膚は、大きく分けて表皮・真皮・皮下組織の 3 層から成り、そこに毛包・汗腺・
脂腺といった皮膚附属器を含む。表皮は約 0.06~0.2 mm の厚さがあり、大半を占め
る角化細胞の他に、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、表皮内T細
胞などで構成される。角化細胞は、深層から順に基底層・有棘層・顆粒層・(手掌足
底では透明層)・角質層の 4 層から成り、基底層の未分化角化細胞が有棘層・顆粒層
へと移動しながら分化・脱核し、最後には角質となって脱落し、皮膚のターンオーバ
ーを行っている。基底層には表皮幹細胞があり、新しい細胞を供給している。また、
角化細胞はさまざまなサイトカインを分泌することで、免疫活性化機構も担っている
と言われている[2]。
真皮は、表皮に近い側から順に乳頭層・乳頭下層・網状層の 3 層に分けられる。乳
頭層は表皮突起間に食い込んでいる真皮成分をさし、乳頭下層は乳頭層直下の部分で
ある。これらは線維成分が疎であり、毛細血管に富んでいる。一方、真皮の大部分を

1

占める網状層は、線維成分が密な結合組織である。真皮を構成する成分には、線維芽
細胞・組織球・肥満細胞といった細胞成分と、膠原線維・弾性線維といった間質成分
に大きく分けられる。真皮の構成成分の大部分を占めるのが膠原線維であり、真皮乾
燥重量の 70%を占めている。膠原線維の大部分(80%)はⅠ型コラーゲンでできてお
り、15%をⅢ型コラーゲン、残りはⅤ型コラーゲンが占めていると考えられている。
細線維が集まって形成されている組織であり、力学的な強度を持ち、伸展性に乏し
い。このため、膠原線維は皮膚の力学的強度を保つ支持組織として重要であると考え
られている。膠原線維を産生している主な細胞が、線維芽細胞である。膠原線維中に
細長い紡錘形の細胞として存在し、組織が損傷すると、遊走・増殖し、粗面小胞体で
蛋白質合成を行い、創傷治癒に関わっている。膠原線維産生により、真皮が成熟する
と、線維細胞(fibrocyte)となって活動を停止する[3]。

1.2

創傷治癒・創傷収縮と瘢痕拘縮

皮膚が損傷を受けたとき、その深さによって創傷治癒機転が異なってくる。創傷の
深さが表皮内あるいは真皮の浅層(乳頭層・乳頭下層)までにとどまる場合、表皮基
底層あるいは真皮浅層にある毛包や汗腺・脂腺などの皮膚付属器に存在する基底細胞
が分裂し、新たな表皮を作ることで、やがて創傷は治癒する。この深さまでの創傷は
ほぼ瘢痕を残さずに治癒し、いわゆる「再生」と同等と考えられる。しかし、真皮の

2

深層(網状層)より深くに損傷が及ぶと、線維芽細胞のコラーゲン産生による肉芽組
織の増生を介した創傷治癒機転が働くことになる。この時には、傷は治癒後に大なり
小なり正常皮膚構造とは違った瘢痕組織となって残る[4]。特に真皮網状層において物
理的ストレスなどにより慢性炎症の状態となると、ケロイドや肥厚性瘢痕といった病
的瘢痕の発生源になると言われている[5]。
肉芽組織の増生を伴う創傷治癒機転では、古典的に出血期・炎症期・増殖期・再構
築期の 4 つの過程を介した機転が良く知られている(図1A)[6]。
出血期は、受傷直後から5~6時間の間に生じ、傷害を受けたことにより破壊され
た血管から血小板や赤血球が体外や組織内に流出する。血小板は、破壊された血管壁
からの出血を止めるための凝集・凝固作用のほか、PDGF や TGF-βといった成長因子
が含まれる顆粒を放出し、続く炎症期や増殖期で中心的なはたらきを担う細胞の遊走
や増殖を促進する作用をもつ。血液が凝固したその下ではすでに炎症細胞が出現し、
次の炎症期に続く。
炎症期では、好中球やマクロファージ、リンパ球といった炎症細胞が創傷治癒下の
組織での中心を担う。血小板の放出した成長因子によって、あるいは組織の損傷に伴
う血管透過性の亢進によって損傷部位に誘導された炎症細胞は、異物の貪食や創傷部
の殺菌、傷害部組織の分解や清掃を行う。走化性により、最初に好中球が誘導され、
次いでマクロファージ、リンパ球が誘導されてくるが、これらの細胞は貪食作用と同

3

時にさまざまな細胞増殖因子を放出する。創傷治癒に関わる主なサイトカインには、
PDGF、TGF-β、TNF-α、EGF、FGF などがある。これらのサイトカインにより、
さらに次の増殖期における主役である線維芽細胞が誘導される。
増殖期は、間質の形成・再構築をするための期間で、線維芽細胞が主役となる。線
維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックス
の合成・分泌を行い、損傷部の修復を行う。また、細胞増殖因子の分泌を行い、線維
芽細胞のさらなる誘導を惹起する。増殖期の間質には、肥満細胞も大きく働いてお
り、化学的・物理的な刺激によりケミカルメディエーターを分泌することによって、
創傷治癒と関わっていると考えられている。
再構築期になり、コラーゲン量が創部に多量に蓄積するようになると、正常の創傷
治癒過程では線維芽細胞は次第に増殖を休止し、静止状態に移行する。さらにプログ
ラムされた細胞死であるアポトーシスにより細胞成分が減少してくると、肉芽組織が
瘢痕組織に置換し、創傷治癒が完了すると考えられている[7]。
受傷後 2~3 日後の増殖期から再構築期の時期にかけて、創部には創部収縮(wound
contraction)という現象が起こる。これは、肉芽の増生につれて創縁の皮膚全層が求
心性に移動し、創部の面積が縮小する現象である。この現象は、特に潰瘍の保存的治
療において、創傷面積を縮小させるという点で生体にとって非常に有利に作用する現
象である一方、創傷治癒後に瘢痕拘縮とよばれる皮膚の緊張を引き起こす大きな原因

4

ともなる現象である。瘢痕拘縮は特に関節可動部に生じた場合に、関節の可動域制限
を生じ、大きな問題となる。小児期においてはこの収縮力が周囲の皮膚支持組織の力
よりも強いため、高度な関節変形をきたすほどの瘢痕拘縮を起こすことがある(図1
B)。成人でも、膝部や頸部、腋窩などの皮膚の余裕が少なく可動範囲の大きい部分
の受傷や手術による切開創部分にしばしば瘢痕拘縮を生じ、関節の動きが制限される
ことも稀ではない。瘢痕拘縮は関節運動制限といった機能的な問題のみならず、疼痛
や掻痒などの症状や審美的な問題を引き起こし、術後患者の QOL を大きく低下させる
ことになる。創部収縮時に関節や筋肉の動きに伴う物理的ストレスにさらされると線
維芽細胞から産生されるコラーゲンが過剰に蓄積され、ケロイドや肥厚性瘢痕といっ
た異常瘢痕を生じることもよく知られている[8]。
瘢痕拘縮のリスク因子として、日常的な動作による動きが大きい大関節部の屈曲部
や頸部に生じた傷が挙げられる。これらの部分に生じた傷は日常生活動作によって常
に力学的なストレスを受けることになり、そのため創傷治癒過程において炎症が遷延
し、瘢痕拘縮に発展しやすいことがよく知られている。熱傷後患者の瘢痕拘縮による
関節可動域制限の推移を調査したオランダの研究では、総じて下肢より上肢の関節運
動制限がよりシビアとなる傾向があり、頸部・足関節部・手関節・肩部の関節が最も
重度の可動域制限を受けた部位であったと報告している[9]。また、熱傷患者の退院時
における瘢痕拘縮の有病率は 38-54%にまでのぼるとも報告されており[10]、熱傷を起

5

因とした瘢痕拘縮により再入院するリスク因子を調査した中国の研究では、若い肉体
労働の男性で、40%TBSA 以上の広範な熱傷や外科的治療を受けた者ほど再入院しや
すいという報告をしている[11]。このような背景から、若い労働者が傷が治癒した後
にも瘢痕拘縮による可動域制限によって離職するケースも多いと考えられ、社会的損
失も大きいことが予測される。
創部収縮は、創面に肉芽が形成された時期に起こり始める現象であることから、以
前は収縮の力源は肉芽にあると考えられていた[6]。創の中央部の肉芽組織が創縁を引
っ張るという pull theory[12]や、創縁に近い肉芽組織が引っ張っているとする picture
frame theory[13]が提唱されていた。その後、肉芽組織中の膠原線維が収縮するのか、
線維芽細胞が収縮するのか、という論争が交わされ、現在では膠原線維が収縮力を持
つという説は否定され、線維芽細胞が移動方向に向かって偽足を出して細胞外マトリ
ックスに自身を接着させ、線維芽細胞自身のもつ収縮力により、接着と収縮を繰り返
すことにより、周囲の細胞外マトリックスを引きつれて収縮していく、という説が有
力である[14][15]。特に近年では、1971 年に Gabbiani によって提唱された筋線維芽細
胞(myofibroblast)という概念が、創部収縮に深く関わっていると考えられている
[16]。この線維芽細胞は、アクチンやミオシンを含むマイクロフィラメントを持ち、
線維芽細胞と平滑筋細胞の両方の特性を併せ持っている。アクチンフィラメントのマ
ーカーであるαSMA を強く発現し、正常皮膚には見られないが肉芽組織や肥厚性瘢痕

6

に多く発現[17]し、Dupuytren 拘縮の結節にも存在する[18]など、組織の拘縮や収縮に
強く関連すると考えられている[19]。通常の線維芽細胞を起源とする説や皮膚の間葉
系幹細胞を起源とする説などが提唱されている[20][21]が、起源や特異的なマーカーな
どまだ未解明な点が多く、今後の研究が期待されている。

図 1:創傷治癒過程と瘢痕拘縮
(A)創傷治癒の過程と関係する主要な細胞。増殖期から再構築期にかけて線維芽細胞の
増殖が遷延すると、過剰なコラーゲンの蓄積が生じ、病的瘢痕や瘢痕拘縮の原因となる。
(B)小児の肘関節屈側部に生じた熱傷による瘢痕拘縮。肘関節の伸展制限を伴ってい
る。

1.3

瘢痕拘縮に対する治療法の現状

創部収縮は、前述のように生体の創傷治癒にとって必要不可欠な機構だが、その収
縮が過剰に働くと、治癒後に瘢痕拘縮を起こし、生体機能を著しく低下させる。ひと
7

たび瘢痕拘縮が起こると、その解決法は皮弁移植や植皮術などの外科的治療しかない
のが現状である。それも、拘縮した皮膚をすべて除去して健康な皮膚や皮弁で置換す
る、という大がかりな内容になることが多く、もともと損傷がない組織の犠牲も強い
られる[22]。したがって、小児例や関節部にかかる広範囲の熱傷患者など、瘢痕拘縮
リスクの高い患者の診療に当たっては、できるだけ創部における過剰な収縮を減ら
し、瘢痕拘縮を防ぐ努力が必要である。現状では、創部にかかる緊張を減らすための
圧迫固定や、bFGF などの成長因子の投与で創傷治癒を促進するなど、方法が限られ
ている。肥厚性瘢痕やケロイドの治療薬として、トラニラストの内服やトリアムシノ
ロンアセトニドの局注などが保健適応であるが、ひとたび瘢痕として発生してしまう
と、保存的治療への反応は乏しく、難治性である。
創傷治癒の過程において創部に生じる過剰な収縮を抑制することで、過剰な瘢痕組
織の形成を阻止し、瘢痕拘縮や肥厚性瘢痕・ケロイドの発生リスクを軽減することが
期待できる。

1.4

瘢痕の基礎研究と瘢痕モデルの変遷

瘢痕に関する基礎研究は古く、60 年以上前から行われてきた。1959 年には
Conway らがケロイドや肥厚性瘢痕組織から線維芽細胞を抽出し、ケロイド線維芽細
胞と正常な線維芽細胞が形態学的に区別できると報告した[23]。その後、Russell ら

8

[24]や Diegelmann ら[25]によってこの説は疑問視されているが、細胞培養法の発達に
伴い、グルココルチコイドやヒスタミンに対する反応性や、コラーゲンなどの細胞外
マトリックスの産生量など、ケロイド由来線維芽細胞と正常皮膚由来線維芽細胞で異
なる点が次々と報告されるようになった。1980 年代になると、ケロイド由来線維芽細
胞の培養皿上での単層培養での研究の進歩により、さらにケロイドの生物学の詳細が
報告されるようになった。具体的には、CTGF や TGF-βなどのサイトカインの添加に
より、ケロイド線維芽細胞の遊走能や増殖能、コラーゲン産生能が増加することを示
した報告や[26]、メトホルミン[27]やシンバスタチン[28]などの抗線維化薬の薬剤添加
により、これらの能力が抑制されるといった報告がみられるようになった。さらに
は、ケラチノサイトなど、他の種類の細胞と共培養することによる線維芽細胞への影
響など、cell-cell interaction に着目した報告もされるようになった[29]。
このように、培養皿上での線維芽細胞を用いた 2 次元モデルによる研究は近年でも
広く用いられており、瘢痕形成や創傷治癒メカニズムの新たな発見に貢献している。
しかし、培養皿上の 2 次元の単層培養による研究のみでは限界がある。それは、生理
学的には線維芽細胞は常に周囲の細胞外マトリックスに囲まれた環境にあり、細胞外
マトリックスとの相互作用による影響は無視できないからである。前述のように、線
維芽細胞は細胞膜から細胞外マトリックスに偽足を伸ばし、常に細胞外マトリックス
内で連絡を取り合いながら活動している。特に近年では、細胞が周囲の物理的環境に

9

より細胞内シグナル伝達を変化させているという mechanotransduction という概念が
提唱されており、瘢痕形成やケロイドの重症度に大きく関与しているといわれている
[30]。実際に、線維芽細胞の 3 次元培養により瘢痕関連の遺伝子発現や蛋白質発現に
大きな影響を与えたことが報告されている[31][32]。したがって、より生理的な条件で
の線維芽細胞の活性を知るためには、後述する Fibroblast populated collagen lattice
(FPCL)などのような 3 次元培養による検証が不可欠であると考える。
瘢痕研究のもう一つの代表的なモデルとしては、実験動物を用いた animal model が
挙げられる。現在まで、瘢痕の animal model としてマウスやラットなどの齧歯目、ブ
タ、ウサギを用いた報告があるが、いずれも一長一短がある。まず、マウスやラット
に代表される齧歯目は最も汎用されているモデルであるが、皮膚構造がヒトと大きく
異なっている。マウスの皮膚はヒトよりも厚みが薄く、層もヒトのように細かく細分
化してはいない。さらに panniculus carnosus(肉様膜)という構造が皮膚直下にあ
り、それによって皮膚は非常に柔らかく伸展性に富んでいる。加えて毛包成分などの
皮膚附属器がヒトよりも多いため、創傷治癒機転がヒトよりも早く進む。以上のよう
な皮膚構造上の特性から、マウスの皮膚は瘢痕を生じにくく、ヒトのようなケロイド
や瘢痕拘縮を再現するのは困難であるとされている[33][34][35]。マウスの背部に皮膚
欠損を作製し、シリコンプレートで創縁を固定して創部収縮を抑制し、創部治癒を遅
延させる方法[36]や、創傷部に機械的伸展装置を設置してメカニカルストレスをかけ

10

ることで瘢痕様の皮膚の肥厚を構築する方法[37]があるが、いずれも肥厚性瘢痕様の
組織を作製するのが限界であり、ケロイドや瘢痕拘縮といった状態を再現するには至
っていない。
ブタの皮膚構造はヒトの皮膚に類似しており、創傷の動物モデルとしては最も適切
であるとされているが、ブタのような巨大動物の実験モデルは管理や取り扱い等の難
しさから実験可能な施設も限られており、さらに近年の動物愛護の倫理上側面から巨
大動物の実験利用は世界的に縮小傾向にあるという問題がある[38]。
以上のような適切な動物モデルによる瘢痕組織の再現の難しさから、瘢痕形成のメ
カニズムに関する解明がなかなか進まず、したがって瘢痕治療に対する新規治療薬の
開発も遅れているのが現状である。

1.5

創傷治癒モデルとしての FPCL モデル

1979 年、E.Bell らはコラーゲンマトリックス内に線維芽細胞を包埋すると、線維芽
細胞の働きによってコラーゲンゲルが収縮する現象を報告し、Fibroblast populated
collagen lattice(FPCL)と名付けた[39]。当初これは人工皮膚として、熱傷患者の皮
膚移植への利用目的に紹介された。その後、熱傷治療への応用は叶わなかったが、線
維芽細胞によってコラーゲンゲルが収縮する現象は、創傷治癒の際の創部収縮の現象
と類似しており、細胞と細胞外基質の相互作用や創傷治癒の研究のための in vitro モデ

11

ルとして注目されることになった[40]。
FPCL が収縮するメカニズムとしては、①線維芽細胞自身の収縮力 ②細胞遊走に
に伴う移動力 ③細胞の伸長と拡散 によるものと言われている。これらの力によっ
て、水を含ませたスポンジを絞るように、コラーゲン線維間の水分量が減少し、コラ
ーゲン線維どうしが凝縮して収縮する。このコラーゲン線維の圧縮が FPCL 体積の減
少をもたらすと考えられている[41]。
FPCL を用いた創傷治癒や瘢痕に関する研究がこれまでにいくつか報告されてい
る。 ...

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参考文献

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100. Wu, Z.Y.; Zhang, H.J.; Zhou, Z.H.; Li, Z.P.; Liao, S.M.; Wu, Z.Y.; Huang, H.H.;

Shi, Y.C. The effect of inhibiting exosomes derived from adipose-derived stem

cells via the TGF-β1/Smad pathway on the fibrosis of keloid fibroblasts. Gland

Surg. 2021, 10, 1046–1056, doi:10.21037/gs-21-4.

80

第9章

謝辞

本論文の作成にあたり、御指導を賜りました関堂充教授に心から感謝いたします。ま

た、実験にあたり多大なる御指導と御協力、御助言を頂いた国立研究開発法人産業技術

総合研究所の細胞分子工学研究部門ステムセルバイオテクノロジー研究グループ、木田

泰之チーム長、森宜仁博士、二橋佑磨博士、熊谷雄太郎博士、および関連の諸先生方に

厚く御礼を申し上げます。

81

第 10 章

出典

本学位論文では Biomedicines, 10(10):2388, 2022

doi.org/10.3390/biomedicines10102388 に掲載された論文の内容を、

Multidisciplinary Digital Publishing Institute(MDPI)社の規定にしたがって再利用して

いる。

82

...

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