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大学・研究所にある論文を検索できる 「CTGF/CCN2 facilitates LRP4-mediated formation of the embryonic neuromuscular junction」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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CTGF/CCN2 facilitates LRP4-mediated formation of the embryonic neuromuscular junction

Kobayakawa, Akinori 小早川, 晃範 名古屋大学

2020.11.10

概要

【緒言】
 神経筋接合部(Neuromuscular Junction, NMJ)は運動神経細胞と筋肉細胞を結ぶシナプスで、運動神経の神経終末が筋肉側の終板と呼ばれる筋膜につながっている。このシナプスでは神経終末から分泌される神経伝達物質であるアセチルコリン( acetylcholine, ACh )が、筋肉側の終板に集積をしたアセチルコリン受容体 (acetylcholine receptor, AChR)に結合することにより骨格筋収縮が誘発される。過去の先行研究より、AChR 集積は胎生期に運動神経細胞の神経終末から agrin が分泌される事により始まることが知られている。agrin が筋管細胞側で発現する LRP4 と MuSKという2つの受容体型膜蛋白質と三量体を形成し、MuSK の細胞内ドメインをリン酸化することにより、細胞内のシグナル伝達や細胞外の結合因子を介して終板に AChRが集積する。近年複数の研究から、この AChR 集積に必要な細胞外分泌因子として約 20 個弱のたんぱく質が同定されている。しかし、この領域は接着面を増やすために複雑な構造をとり、未だ機能のわからない様々な細胞外分泌因子が局在していると考えられている。
 Connective tissue growth factor(以下 CTGF)は分泌される細胞外マトリックス関連たんぱく質で、他に 6 つのタンパク質を含む CCN ファミリーの中のいちタンパク質であり、CCN2 ともいわれる。CCN ファミリーのタンパク質は特徴的な 4 つのドメイン構造を共通に有し、細胞の遊走、創傷治癒などに機能している。また CTGF が成体マウスのNMJ に豊富にあることも分かっていた。しかし、NMJ シナプスにおけるCTGFの役割については知られていなかったため、本研究で、私は、胎生期の NMJ シナプスにおける CTGF の生理学的な役割について検討した。

【目的】
 Agrin、LRP4、MuSK は LRP4 を中心として三量体を形成し、MuSK の細胞内領域のリン酸化を促すことで、胎生期の NMJ シナプスの発生(AChR clustering の誘導)や成熟(シナプスとしての機能)を誘導している。CTGF は、この3つのタンパク質と同様に NMJ に存在しているタンパクの一つであるが、その機能についてはいまだ不明瞭な点が多かった。本研究では、CTGF は生体内において NMJ シナプスが正常に発生、機能するために必要なのではないかという仮説のもと、その役割について詳細に検討した。

【方法】
 CTGF タンパク質の特性については培養細胞を用いて、主に免疫沈降実験、Plate binding 実験を行い、CTGF と Agrin、LRP4、MuSK との関係性を評価した。CTGF タンパク質の筋細胞における機能については培養筋肉細胞(C2C12)を用いて、細胞膜タンパク質ビオチン化解析や AChR 集積の検討実験を行い、LRP4 の細胞膜存在量、 LRP4 や MuSK のリン酸化、AChR の集積への役割を検討した。生体内の NMJ における CTGF タンパク質ついてはマウス横隔膜を用いて、蛍光免疫染色や定量的 RT-PCR 解析を行い、発現量や局在を検討した。生体内における CTGF の役割については CTGFノックアウトマウスを用いて、免疫染色、電子顕微鏡観察、電気生理学的実験を行い、胎生期 NMJ シナプスの発生や成熟における役割を検討した。

【結果】
 免疫沈降実験により CTGF は LRP4 と CT ドメインを介して直接結合することがわかった。Plate binding 実験により、CTGF は LRP4 と MuSK の結合を促進させていた。細胞膜タンパク質ビオチン化解析より、CTGF は LRP4 の細胞膜上における安定性に関与していることがわかった。MuSK リン酸化や AChR 集積の検討実験により、CTGFは筋細胞において Agrin や LRP4 の存在下で MuSK のリン酸化と AChR 集積を誘導していることがわかった。蛍光免疫染色や定量的 RT-PCR 解析により、胎生期 NMJ に局在していることがわかった。また、CTGF は胎生期に筋肉側で発現し、胎生期 17.5 日目付近でピークを迎えることが分かった。CTGF ノックアウトマウスを用いた実験により、CTGF は筋肉の分化や発達には関与はしていないが NMJ における AChR の集積に重要であることがわかった。加えて、CTGF は神経側のシナプス小胞の局在位置を決定することもわかった。電子顕微鏡観察においても同様に神経終末におけるシナプス小胞の減少が見られた。一方、電気生理学的実験より CTGF は NMJ シナプスの機能に必要であることもわかった。

【結論】
 これらの結果より、CTGF は LRP4 と直接結合することで LRP4 を細胞膜に安定化し、結果 Agrin と協調的に働き筋肉細胞において MuSK のリン酸化、AChR 集積を誘導する。NMJ における CTGF のこのような生理学的な役割は、NMJ シナプスの形態形成やその機能に必須であることが示された。

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