リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「三次元MRI・CT合成画像 : 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する新しい病変部評価方法の確立と、その有用性の評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

三次元MRI・CT合成画像 : 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する新しい病変部評価方法の確立と、その有用性の評価

神山, 翔 筑波大学

2020.07.27

概要

⽬ 的:
 上腕⾻⼩頭離断性⾻軟⾻炎(以下OCD)は、成⻑期野球選⼿に好発する関節内⾻軟⾻病変である。病変部の状態により治療⽅法が異なるが、現状では⼿術以外に病変部を正確に評価する⽅法がない。本論⽂では、OCD病変部の軟⾻下⾻と関節軟⾻を同時かつ三次元的に評価できれば、従来よりも⾼い精度でその重症度を判定できると仮説を⽴て検証した。本論⽂の⽬的は、OCDに対しMRIとCTを三次元的に合成した画像(以下3DMRI-CT合成画像)の作成⽅法を確⽴し、病変部評価における3DMRI-CT合成画像の有⽤性を検証することである。

対象と⽅法:
 研究1では、仮説検証の指標とするため、独⾃のMRI分類(以下本MRI分類)によるOCDの病変部重症度の評価精度を検証した。MRI撮像と⼿術を⾏なったOCD症例81例を対象とした。平均年齢は13.9±1.9歳であった。術前に撮像したMRIから本MRI分類を判定し、術中に判定したInternational Cartilage Repair Society分類(以下ICRS分類)との⼀致率を調査した。また、本MRI分類の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率も検証した。
 研究2では、肘関節MRIにおける牽引の有⽤性を検証した。対象は健常ボランティア10名で、平均年齢は36.7±8.6歳であった。通常のMRI撮像後、肘関節に7kgの牽引を加えてMRIを撮像した(以下牽引MRI)。撮像条件は3D water selective cartilage scan、スライス厚0.4mmとした。腕橈関節、腕尺関節外側1/3、腕尺関節内側1/3において、関節裂隙距離の計測と上腕⾻関節軟⾻輪郭の可視性の判定を⾏い、通常のMRIと牽引MRIで⽐較した。牽引MRI時の疼痛と不快感をvisual analogue scale(以下VAS)で評価した。
 研究3では、研究2の知⾒を基に3DMRI-CT合成画像作成⼿法を構築するとともに、OCDの病変部評価における3DMRI-CT合成画像の有⽤性を検証した。対象は3DMRI-CT合成画像で病変部を評価し、⼿術を実施したOCD症例12例である。平均年齢は13.7±1.1歳であった。MRIは3-Teslaの装置を⽤い、3D-double echo steady state sequence、スライス厚0.4mmで撮像し、上腕⾻と関節軟⾻の3D-MRIモデルを作成した。撮像の際上肢を7kgで牽引した。CTは320列の装置を⽤い、スライス厚0.5mmで撮影し、上腕⾻3D-CTモデルを作成した。これら3Dモデルから3DMRI-CT合成画像を作成し、病変部の状態を評価し、検者2名がICRS分類を予想した。評価項⽬は、病変部の状態(関節軟⾻の⻲裂と⽋損、関節⾯の変形、分離した軟⾻下⾻、それぞれの有無と局在)、病変部の縦径と横径、ICRS分類とし、3DMRI-CT合成画像から判定した結果と術中に判定した結果を⽐較した。また、予想したICRS分類の検者間信頼度をinterclass correlation coefficient(ICC)で評価した。

結果:
 研究1では、本MRI分類と術中ICRS分類の⼀致率は88.9%であった。本MRI分類の感度は98.4%、特異度は84.2%、PPVは95.3%、NPVは94.1%であった。
 研究2では、牽引により腕橈関節の関節裂隙距離は有意に開⼤し、同関節の上腕⾻関節軟⾻輪郭の可視性も有意に改善した。疼痛のVAS値は平均1.7±1.2,不快感のVAS値は平均2.0±0.9であった.
 研究3では、3D MRI-CT合成画像は、病変の状態を正確に反映していた。予想ICRS分類は術中に判定したICRS分類と全例⼀致した(class II 1例、III 5例、IV 6例)。予想ICRS分類の検者間信頼度はICC 1.0であった。

考察:
 MRI撮像条件の⼯夫と牽引MRIの応⽤により、3D MRI-CT合成画像作成⼿法を確⽴した。3D MRI-CT合成画像は、CTによる軟⾻下⾻の評価とMRIによる関節軟⾻の評価を,同時かつ三次元的に可能とした世界初の技術である。本技術は低侵襲であり、病変部の軟⾻下⾻と関節軟⾻の位置関係が正確に把握でき、病変部を多⾓的に評価できる。今後は、技術の簡便化と適応の拡⼤を⽬指して研究を継続していく必要がある。

結論:
 上腕⾻⼩頭離断性⾻軟⾻炎に対し3D MRI-CT合成画像を作成し、有⽤性を評価した。3D MRI-CT合成画像を⽤いたOCDの病変部重症度の評価精度は、研究1で検証した精度を上回り、仮説を裏付ける結果であった。3D MRI-CT合成画像はOCDにおいて,病変部の軟⾻下⾻と関節軟⾻の⽴体的な構造と位置関係を正確に描出しうる画期的な技術であり、病変部の重症度評価に有⽤である。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る