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大学・研究所にある論文を検索できる 「看護師が実践の責任を果たそうとするプロセスに関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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看護師が実践の責任を果たそうとするプロセスに関する研究

杉山 祥子 東北大学

2020.03.25

概要

<目的>
 看護師が看護を自律的に実践しているのであれば,その実践に対する責任は看護師に帰属するはずである.しかし看護師の実践は,診療の補助は医師がその必要性を判断し,一方,療養上の世話は看護師の判断で実施するという性質があるため,看護師が実践で果たすべき責任が捉えにくい可能性がある.看護師が実践の責任をどのように認識しているのか,またはどのように責任を果たそうとしているのかは明確になっていない.本研究の目的は,看護師がどのように実践の責任を果たそうとしているのか,そのプロセスを明らかにすることである.

<方法>
 本研究では,研究方法論として,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.病院あるいは診療所に勤務し,高度な実践をしている看護師である専門看護師15名に対して半構造インタビュー調査を行い,データを収集した.収集したデータを分析し,結果の概要をストーリーラインとして示した.結果では,カテゴリーを【】で示した.

<結果>
 看護師が実践の責任を果たそうとするプロセスは,17個の概念,5つのカテゴリーから生成された.本研究の結果から,看護師は患者に応答する立場として【看護専門職として具備する特性】を有する必要があると考えていた.看護師は【看護専門職として具備する特性】を前提とし,【患者の情報にアクセスする権利の行使】によって,実践に必要な患者の情報を収集していた.看護師が【看護専門職として具備する特性】を持ち,【患者の情報にアクセスする権利の行使】をするプロセスにおいて,【看護師の考えを言語化し伝える力の発揮】は,看護師が患者へ看護を提供する際に,専門職としての考えや意見を同僚や医師に伝えることを促していた.看護師は【患者の情報にアクセスする権利の行使】によって収集した患者の情報を実践に反映し,患者が日常生活を維持できるよう【生活者としての患者の尊重】をしていた.そして,看護師は実践によって,患者に利益を届ける,すなわち患者がより良い状態になるという目的を達成できるよう【患者に利益を届けるための関門機能】として責任を果たそうと考えていた様相を示した.

<考察>
 本研究の結果は,看護師が実践の責任を果たそうとしている内容をプロセスとして可視化した.看護師の責任には,看護専門職としての備えるべき特性,看護実践における役割があり,患者にとっての利益を届けるあるいは患者にとっての不利益を回避するという一連の内容が含まれていたことが明らかになった.加えて,本研究では看護師の実践の中に,看護師の責任の属性として示された権限と義務とが含まれていることを明らかにした.看護師は,実践に必要な患者の情報を収集し,治療によって患者の日常生活が妨げられないよう【患者に利益を届ける関門機能】として看護師の権限を行使し,その行使した権限に対する義務を負おうとしていることが示唆された.

<結論>
 看護師が実践の責任を果たそうとすることは,看護師が患者にとっての利益を届けようとする,あるいは患者にとって不利益になると考えられることを回避しようとする様相であることが示唆された.加えて,看護師が実践の責任を果たそうとするプロセスには,看護師の責任の属性として示された権限と義務とを看護師が実践で意識していることが含まれていたことが示された.

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