規則性合金の触媒作用に関する理論的研究
概要
令和 4 年度
京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
規則性合金の触媒作用に関する理論的研究
Theoretical study on catalysis of ordered alloys
京都大学触媒電池元素戦略研究拠点
古川 森也
研究成果概要
本研究では、京都大学化学研究所スーパーコンピュータシステムを利用し、CO2 によるプロ
パン酸化脱水素に有効な(PtCoNi)(SnInGa)合金触媒(HEI)の作用機構について DFT 計算を
利用した詳細な機構解明を行った。PtSn の Pt サイトに Co, Ni を、Sn サイトに In をドープする
ことで Fermi 順位近傍に Co および Ni の 3d に由来する準位が現れ、結果として d バンド中
心が上昇し、CO2 の吸着と活性化や C-H 活性化が促進され結果として反応が大幅に促進さ
れることが判明した(図 1)[1]。また、また DFT 計算から求めた CO2 や C3H8 の活性化エネルギ
ーは HEI 触媒が最も低い値を示し、触媒活性の序列と矛盾しない結果が得られた。以上の結
果から、計算により実験結果をよく再現できていること、および本計算モデルの妥当性が示さ
れた。[1]
図 1.DFT 計算の概要 (a) (PtCoNi)(SnIn)モデル構造における d-DOS および、(b) 各
触媒表面上での C3H8 脱水素および CO2 活性化における活性化障壁の比較.
発表論文(謝辞あり)
[1] F. Xing, J. Ma, K. Shimizu, S. Furukawa, Nat. Commun., 2022, 13, 5065. ...