リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on Persistent Infection of Chicken Anemia Virus and Genetic Characterization of the Virus in Southeast Asian Countries」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Studies on Persistent Infection of Chicken Anemia Virus and Genetic Characterization of the Virus in Southeast Asian Countries

DONG, Van Hieu 岐阜大学

2020.09.18

概要

鶏貧血ウイルス (CAV) は,感染した鶏に免疫抑制を引き起こす病原体である。世界各地に存在することが知られるが, 感染伝播については不明な点が多い。ウイルスが感染鶏に持続感染する可能性やウイルスゲノムに進化が生じている可能性について報告されているが, 十分な研究は行われていない。本研究は, CAVの持続感染および東南アジア諸国における分離ウイルスのゲノムの特徴について明らかにすることを目的に行われた。

第1章では,CAVに感受性のMDCC-MSB1細胞(以下,MSB1細胞)を用いてCAV持続感染の in vitroモデルを構築した。CAVを感染させたMSB1細胞を, 感染鶏と同様に中和抗体が存在する条件下で培養し続け, 生存性を確認した。その後,感染細胞の継代を繰り返し, 引き続き中和抗体存在下で培養した。その結果, 継代を続けてもCAV感染細胞は中和抗体の存在下で生存し続けることが明らかとなった。それらのCAV感染細胞において,蛍光抗体法によりCAV抗原,またリアルタイムPCR法によりCAVゲノムの存在を確認した。14代継代した細胞から回収したCAVゲノムのタンパク質翻訳領域の遺伝子配列を解析したが, 遺伝子変異は確認されなかった。すなわち, CAVのMSB1細胞における持続感染には遺伝子変異は関与しないことが明らかにされた。今後は, 本研究で作製されたin vitroモデルを用いて, CAV持続感染の機序が明らかにされることが期待される。

第2章では,ベトナム北部におけるCAV感染を初めて確認し, 検出されたCAVのタンパク質翻訳領域の遺伝子の特徴が明らかにされた。生産性低下などの報告があった2〜28週齢の家禽の組織330検体について, リアルタイムPCR法によりCAVゲノムの検出が試みられた。その結果,いずれの週齢の鶏(肉用鶏,種鶏)においてもCAVゲノムが検出され,全体としての陽性率は47.58%であった。なかでも2〜3週齢の若鶏で最も陽性率が高く61.43%であった。系統学的解析により,複数のgenotype (II,III,および V) および sub-genotype(IIIa, IIIb および IIIc)に属するCAV株の存在が確認され, 中国,米国および台湾の分離株に近縁であることが明らかにされた。重要な結果として, genotype II および III のウイルスの組換えの結果,新たなgenotype V のウイルスが生じたことを明らかにした。本研究では,ベトナム北部の鶏にCAV感染が高率に発生し, 2つのgenotypeのCAVに生じた組換えによって新たなgenotypeが出現したことを明らかにしたことにより,同国においてCAVが進化している可能性を示した。ベトナムにおいてCAV感染を制御する上で役立つ情報を提供したものと考えられる。

第3章では,フィリピンにおける初めてCAV感染を確認し, 検出したウイルス遺伝子の特徴について明らかにした。フィリピンの中部ルソン地方の肉用鶏農場においてニューカッスル病 (ND) の臨床症状を示した鶏由来の肺3検体が実験に用いられた。それぞれの検体の一部については, 別研究によってNDウイルス (NDV) の存在が確認されている。本研究において, リアルタイムPCRでCAVゲノムの検出を試みた結果, 1検体においてCAVゲノムが検出された。すなわち,当該鶏ではNDVとCAVの混合感染が起きていた可能性が示された。検出した CAV株のタンパク質翻訳領域の遺伝子解析を行ない系統学的に解析した結果,ポーランドや中国で分離されたCAV株に近縁であることも明らかにした。本研究に用いられた検体が採取された農場では, CAV感染による影響は認識されていなかったが, CAV感染による免疫抑制がND発症に影響した可能性が考えられた。本研究の結果から,フィリピンにおいてCAVが感染伝播し, 他の病原体との混合感染により鶏産業に影響を与えている可能性が示された。提供された情報は,フィリピンにおけるCAV感染の制御に役立つことが期待される。

本研究では,CAV 持続感染の in vitro モデルの構築に初めて成功した。感染個体と同様に中和抗体が存在する条件下において CAV は MSB1 細胞に感染し続けることが確認された。一方, この in vitro モデルで持続感染した CAV のタンパク質翻訳領域の遺伝子に変異は確認されないことが示され, 今後の機序解明に向けて貴重な情報を提供した。また,CAV 感染についての情報が少ないベトナムとフィリピンにおいて CAV の感染を確認し, 分布する CAVに関する遺伝学的特徴を明らかにしたことにより,それらの国々おける疾病制御に役立つ情報を提供した。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る