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大学・研究所にある論文を検索できる 「CEA/CAS術中一時的内頚動脈閉塞時の不耐性の予測について,BeamSAT MRIの有用性の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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CEA/CAS術中一時的内頚動脈閉塞時の不耐性の予測について,BeamSAT MRIの有用性の検討

Tanaka, Jun 神戸大学

2020.03.25

概要

【目的】
内頚動脈(ICA: internal carotid artery)狭窄症は、続発する脳梗塞を予防するために内頚動脈内膜剥離術(CEA: carotid endarterectomy)または頚動脈ステント留置術 (CAS: carotid artery stenting)の施行対象となりうる。これらの手術中に内頚動脈を一時的に遮断する必要があるが、それにより病側大脳半球が虚血に陥る、不耐性を示すことがある。不耐性を示すかどうかは頭蓋内 Willis 動脈輪の前方部(前大脳動脈 (ACA: anterior cerebral artery):A1 部および前交通動脈 (Acom: anterior communicating artery))および後交通動脈(Pcom: posterior communicating artery)の発達の程度による。しかし、特に Acom は細くて短い動脈であり、これまでの画像診断で正確に Acom の血流を評価することは困難であり、ひいては術前に不耐性予測を 行うことは困難であった。今回我々は MRA(magnetic resonance angiography) の任意血管信号の選択的除去が可能な pencil beam presaturation(BeamSAT) pulse を用いて、対側 ICA・椎骨動脈の信号除去し、病側 ICA のみの”ICA-selective MRA”を作成することで、正確な Willis 動脈輪の前方部 ( 前大脳動脈(ACA):A1 部および前交通動脈(Acom))血流を評価し、conventional MRA による Pcom 血流の評価を併せ、内頚動脈遮断時虚血耐性を予測できるかどうかを検討した。

【方法】
術中一時 ICA 遮断を行った、ICA 狭窄症手術症例 58 例(CEA:38 例、CAS:20 例)に BeamSAT pulse を用いて”ICA-selective MRA”を作成し、Acom 及び A1 血流描出の有無を評価した。また conventional MRA で後交通動脈(Pcom)の血流描出の有無の評価を併せて行い、 これらが①ICA 一時遮断時に NIRS(near infrared spectroscopy)で測定した脳酸素飽和度(rSO2: regional cerebral oxygen saturation)の変化、②虚血耐性との関連を検討した。

【結果】
ICA-selective MRA を用いた Willis 動脈輪前方部の血流評価では、Acom (+)/A1(+)が 33 例、Acom(+)/A1(‒)が 10 例、Acom(‒)/A1(+)が 15 例であった。Pcom 血流は Pcom(+)が 36 例、Pcom(‒)が 22 例であった。①血流が Acom(+)/Pcom(+)(n=27)は ICA 遮断時に rSO2 は平均 2.4%低下、Acom(+)/Pcom(‒)(n=16)は 3.0%であったのに対し、Acom(‒)/Pcom(+)(n=8)は 6.8%、Acom(‒)/Pcom(‒)(n=7)は 12.0%と有意に低下した。②不耐性との関連については、Acom(‒)/Pcom(‒)の 7 例のうち 6 例がICA一時遮断に不耐性を示した。一方でAcom またはPcom 血流を認めた残り 51 症例は全て耐性を示し、有意に不耐性予測が可能であった(p=0.01)。一方で A1 血流の有無は不耐性とは関連しなかった(p=1.00)。

【考察】
不耐性は ICA 遮断時に、側副血行路を介して同側大脳半球に流入する血流が不足するために起こる。主な側副血行路として Willis 動脈輪前方部(Acom/A1)を介した対側ICA よりの血流と、Pcom を介した椎骨脳底動脈よりの血流がある。Pcom は比較的長く・太い血管であり、その血流評価は conventional MRA でも十分に可能であったが、Acom は細く・短い血管であり、今まで conventional MRA で評価困難であった。今回 BeamSAT pulse を用いて ICA-selective MRA を作成することで、 Acom の正確な血流評価が可能となった。これは脳血管撮影と比較しても、低侵襲であるだけでなく、造影剤の圧注入を要しないことから、より生理的な血流の評価が可能となっている。ICA-selective MRA を用いた Acom 血流と conventional MRAでの Pcom 血流のいずれも認めないものは有意に不耐性を示す可能性が高い一方、 Acom またはPcom のいずれかの血流を認めるものは全例不耐性を認めなかった。またAcom 血流を認めないものは、Acom 血流は認めるものに比較し、有意にrSO2 は低下しており、Acom がPcom に比較しても、内頚動脈閉塞時により重要な側副血行路となっていることが示された。

【結論】
BeamSAT MRA を用いた”ICA-selectiveMRA”は、Acom 血流を正確に評価でき、 ICA 一時遮断における Acom を介した対側よりの側副血行路の重要性を示すとともに、術前に虚血不耐性を予測することを可能にした。

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