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大学・研究所にある論文を検索できる 「電気インピーダンス測定による低温調理食肉の熱変性過程の捕捉に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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電気インピーダンス測定による低温調理食肉の熱変性過程の捕捉に関する研究

久本 高央 広島大学

2022.03.03

概要

博士論文
電気インピーダンス測定による低温調理食肉の熱変性過程の捕捉に関する研究
広島大学大学院生物圏科学研究科
久本高央

レトルトパウチに入れた豚肉を定温で一定時間加熱処理した際のインピーダン
スの経時的変化から、食肉の変性度を表すことができることが示唆された.パウ
チに入れた豚肉を電極に挟みステンレス鍋に入れたシリコンオイル中でそれぞ
れ 65℃,75℃,85℃,95℃で一定時間加熱した.処理前後のインピーダンスの
値の差を Δ|Z|として表すことで、加熱強度に応じて Δ|Z|の値が大きくなって
いることが示された.そこで,インピーダンスの計測と同条件で調製した各試料
を DSC で熱容量を計測した結果,未分解のタンパク質が残ると考えられる 65℃
処理の試料では,他の試料に対してエンタルピーの値が大きく表れた.さらに,
実際の食肉のテクスチャーとΔ|Z|の関係性を明らかにするため,材料試験機を
用いてインピーダンスの計測と同条件で調製した各試料の硬さを測定した.
65℃で処理した試料のみ明瞭な降伏点が認められず弾力に富む状態であること
が示された.以上の結果から,インピーダンス測定により,食肉の加熱による状
態の変化を捕捉できる可能性が示唆された.

要約

本研究では,レトルトパウチに入れた豚肉を定温で一定時間加熱処理した際の
インピーダンスの経時変化から,豚肉の変性度を表すことができることが示唆
された.パウチに入れた豚肉を電極に挟みステンレス鍋に入れたシリコンオイ
ル中で加熱した.加熱中は豚肉の変化が明瞭に現れた 24370Hz 固定周波数でイ
ンピーダンスの経時的な計測を行った.65℃,75℃,85℃,95℃でそれぞれ一
定時間維持し,その後降温させ加熱処理前の 40℃におけるインピーダンスの値
と処理後の 40℃におけるインピーダンスでの値の差を Δ|Z|として表すことで,
加熱温度,加熱時間などの加熱強度に応じてΔ|Z|の値が大きくなっていること
が示された.そこで,インピーダンスの計測と同条件で調製した各試料をパウチ
から取り出し,DSC を用いて熱容量を計測した.それぞれの 40℃から 100℃に
おけるエンタルピーを算出し,未加熱処理の豚肉の同エンタルピーで除した値
で分析を行った結果,未変性のタンパク質が残ると考えられる 65℃処理の試料
が他の試料に対してエンタルピーの値が大きく表れた.Δ|Z|と DSC から得ら
れた値が同様な変化を示したことから,実際の食肉のテクスチャーと Δ|Z|の関
係性を明らかにするため,材料試験機を用いてインピーダンスの計測と同条件
で調製した各試料の硬さを測定した.65℃で処理した試料は明瞭な降伏点が認
められず弾力に富む状態であることが示された.一方,75℃で処理した試料では
微かに降伏点が見られ,85℃,95℃で処理した試料では降伏点が顕著に表れ破
断エネルギーに占める弾性ひずみエネルギーが小さく弾性に乏しい性質を持つ
ことが示された.また,併せて得られた各処理温度での弾性ひずみエネルギーは
Δ|Z|との負の相関があることが示された.以上の結果から,パウチ中の食肉の
加熱による状態の変化を,インピーダンスを用いて測定する手法により,加熱加
工の評価に新しい評価軸を加えることができれば,より高品質な管理が可能と
なることが期待される.