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JREC-IN Portalに新機能!人材エージェントからのスカウトで広がる研究キャリアの選択肢 | リケラボ

JREC-IN Portalに新機能!人材エージェントからのスカウトで広がる研究キャリアの選択肢

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大学などの教育機関や公的研究機関といったアカデミックポストを探すなら、何はなくとも「JREC-IN Portal」。博士や研究者から圧倒的な支持を受けているキャリア支援サイトです。 2021年6月に新たに、人材エージェントからのスカウトメール機能が実装されました。事前にプロフィール情報を登録しておくことで、人材エージェントから、専門を生かせる求人の案内が届くそうです。具体的にどのような狙いをもった機能なのか、JREC-IN Portalの企画運営に携わる科学技術振興機構(以下:JST)情報基盤事業部調査役の根上純子さんと主査の米陀正英さんに詳細をお伺いしました。(※所属などはすべて掲載当時の情報です。)

研究人材のキャリア支援を行う「JREC-IN Portal」

多くの研究者に認知されていると思いますが、あらためてJREC-IN Portalについて教えてください。

根上さん:JREC-IN Portalは、研究人材のキャリア形成や能力開発を情報面から支援するポータルサイトです。「優れた研究人材は国の研究力のカギである」という認識のもと、彼らが大学などのアカデミアはもちろん、産業界を含めた社会の多様な場で活躍するためのキャリア支援が重要であることから、国の事業として実施されるもので、運営を私ども国立研究開発法人科学技術振興機構(以下:JST)が行っています。

2001年(平成13年)にJREC-INとしてサービスを開始した当時は、研究人材の求人公募情報を掲示するデータベースサービスでした。各大学など研究機関の公募情報を集約し、一元化することで、求職者が簡単に公募情報を確認できるようにしたのです。

その後、eラーニング教材やコラムなど読み物コンテンツを拡充し、単なる求人情報の掲示にとどまらない研究人材キャリア支援のポータルサイトとして2014年(平成26年)に生まれ変わりました。JREC-IN Portalという現在の名称になったのもこの時です。

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求職者が登録した情報に合った求人情報をお知らせする「マッチングメール」や、求人機関が求職者をスカウトする「求職者照会メール」でマッチングを支援。 画像提供:科学技術振興機構

求人求職サービスの概要を教えていただけますか?

根上さん:求人公募情報は、年間約2万1千件を扱っています。国内の大学や公的研究機関ではほぼすべての機関が利用した実績があり、国内の民間企業や小中高等学校などの教育機関、海外の研究機関・国際機関にも利用が広がっています。

掲載している求人情報は、自然科学や応用科学に限らず、人文科学、社会科学、医歯薬学など幅広い分野にわたっています。募集職種も、研究者だけでなく、リサーチ・アドミニストレーター、産学連携のコーディネーター、リサーチアシスタントやテクニシャンといった研究を管理・支援する職、さらには、技術営業や学術の編集、広報など多様化しています。

マッチングメールとはどのような機能ですか?

根上さん:マッチングメールは、就職を希望する大学・独立行政法人・企業といった機関や研究分野、職種、勤務形態などを事前に登録していただくことで、希望に合う求人が掲載された際にメールで情報を受け取れるサービスです。毎日更新される求人情報をタイムリーに入手できるので、多くの方にご利用いただいています。

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求人情報検索画面。求人機関別、研究分野で検索ができるほか、フリーワードでの検索も可能。画像提供:科学技術振興機構

スカウト機能は、どういったものでしょうか。

根上さん:ご自身の取得学位・経験・実績・研究テーマなどを求職者情報として登録しておくと、それを見た求人機関から直接問い合わせ(求職者照会)メールが届きます。匿名でも登録でき、ご自身の情報を検索・閲覧できる求人機関を機関種別ごとに設定することも可能ですので、たとえば、国立大学のポストのみを希望していらっしゃる方は、国立大学以外の求人機関にはご自身の情報を開示しない設定ができます。

「スカウトメール」と「マッチングメール」の違いはなんでしょうか?

米陀さん:マッチングメールは公募と求職者の希望を条件マッチングするものです。ユーザーさん自身で、興味のあるアカデミックポストや研究分野を事前に指定しておく方式なので、指定していない条件の公募は届きません。一方で、スカウトメールは、ご自身が考えていなかったような求人機関から、思いも寄らない分野・職種の求人を提案されることが可能になります。ご自身のプロフィールや研究内容を見た求人機関(採用側)が、「こんなスキルを持っているならば、こんな仕事もありますよと」声をかけてくれるのです。研究経験を活かしたまったく新しい仕事の提案が期待できます。

その他の便利な機能はありますか?

根上さん:Web応募や応募書類の作成支援機能があります。Web応募は、Web上で応募書類を提出できる機能です。応募者にとっては申請書類の印刷や郵送の手間を省くことができますし、求人機関にとっても応募者情報の管理を効率化できるなどのメリットがあります。

応募書類の作成支援は、ユーザーや大学から強く要望を受けていた機能のひとつです。従来は各大学や研究機関が独自の様式を準備していたため応募書式がバラバラで、大学や研究機関ごとに書き直す必要がありました。そこでJREC-IN Portalで様式を用意し、履歴書と業績リストを容易に作成できる機能を設けました。この機能は日本の研究者の約32万人が登録している「researchmap*1」と連携しています。「researchmap」に研究者情報の登録があれば、登録された業績情報をJREC-IN Portalに取り込み、応募書類を効率的に作成することができます。

*1 researchmap: 研究者による業績管理及び発信を支援するデータベース型研究者総覧です。プロフィール、研究業績情報の登録・閲覧機能、コミュニティ機能などを提供し研究活動を総合的に支援します。https://researchmap.jp/

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JREC-IN Portalは、民間企業と博士人材のよりスムーズなマッチングのため、職業紹介事業者との連携や機能・サービスの拡充を進めている。 画像提供:科学技術振興機構

キャリアの選択肢が拡がる新機能、人材エージェントからの「スカウトメール」

2021年6月から運用を開始した人材エージェント(職業紹介事業者)からの「スカウト機能」について教えてください。

米陀さん:博士人材の活躍の場が、アカデミア以外にも求められていることを背景に、人材エージェント(職業紹介事業者)が博士人材にマッチする求人を紹介するスカウトメール機能を追加しました。

人材エージェントが入ることによって、求職者側にはどんなメリットがありますか。

米陀さん:研究者が民間企業で活躍してみたいと考えたとき、自分のどんな能力が民間で活かせるのか、何をアピールすべきなのかなど、転職活動にあたっては、わからないこと、知りたいことがたくさんあります。民間企業での求人を多数取り扱っている人材エージェントでしたら、様々な業界・仕事において求められる能力や適性を熟知しておられますし、博士・ポスドクの方への職業紹介の実績が豊富な事業者であれば、求職者の研究内容を見れば、その方がどのような場所で活躍できそうか、「見立て」の能力をお持ちなので、よいご提案をしていただけると期待しています。

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経験豊富な職業紹介事業者が間に入ることで、求職者は、自分では思いもよらない業界・職種での活躍の可能性を知ることができキャリアの選択肢が広がる。 画像提供:科学技術振興機構

異分野の知見を持つ研究者を採用したいという企業ニーズはあるのでしょうか?

米陀さん:あります。異分野の知見もそうですが、研究能力の高さそのものを買われるケースもあります。例えば、バイオの研究をしている方に、情報システム開発の提案があったことがあります。その会社が手掛けているのは研究に関する高度なシステムで、開発には高度な研究能力(博士号相当)が必要なものでした。研究者の目線では考えられなかった企業の「必要な研究能力を持つ人に働いてほしい」というニーズにお応えできたよい例だったと思います。

一方で採用する側の民間企業にとって、職業紹介事業者が間に入るメリットはなんでしょうか?

米陀さん:民間企業が職業紹介事業者を介さず直接求職者にスカウトメールを送ることは可能ですが、企業の採用担当者は多忙で、何百人ものプロフィールを一人一人確認する時間を確保するのが難しいという声をたくさんいただいていました。そこで、職業紹介事業者にプロフィール確認をお任せすることで、課題を解消できるのではと考えています。

職業紹介事業者が、登録されたプロフィール情報をいかにうまく読み取るかが「スカウトメール」の肝となりそうですね。

米陀さん:今回のスカウトメール実装にあたり、4社の職業紹介事業者と連携を開始しました。いずれも、研究人材の職業紹介の実績があり、研究業績やスキルをきちんと理解できる事業者です。

根上さん:「スカウトメール」を研究人材の方々に活用いただくためには、職業紹介事業者のスキルが非常に重要であると思っております。そのため今回連携に至った職業紹介事業者には、これまでの研究人材の職業紹介実績や大学や研究機関でのキャリア支援経験などの実績を確認させていただいておりますので、求職者の方にも安心してご活用いただければと思います。

使い勝手の良さにこだわって今後も開発を続ける

システムの開発は、かなりこだわって行われているそうですね。

米陀さん:この「スカウトメール機能」は、3カ年計画で実施している「民間企業への博士人材キャリア開拓プロジェクト」の一部として開発しました。1年目に、求職者のプロフィール情報を、より求人機関、特に民間企業が求める情報に沿う項目に改善しました。また個人情報保護の観点から、プロフィール情報の公開許諾機能を搭載しました。そして2年目の今回、職業紹介事業者によるスカウトメール送信機能をリリースしました。これによってマッチングの機会がかなり増えたと思っています。

民間企業とアカデミアでは、採用の際に重視するポイントが異なるので、両方に対応するプロフィール欄に改善されたということですね。

米陀さん:はい、民間企業の採用担当者にも使いやすいように改修することで、産業界へのキャリアパスが拡大できると思います。入力項目は、求職者が自然に自分のプロフィールが入力できるように工夫したつもりです。そのほかに、検索できるキーワードを拡充したり、アクティブな求職者かどうかがわかる機能もつけました。求職者・エージェント双方に使い勝手が良いものになるように心がけています。

開発は引き続き行うのですか。

米陀さん:今後は、プロフィールが更新されると職業紹介事業者に通知が届くようにしたり、公募情報のリコメンド機能を搭載するなどの機能の拡充を予定しています。検索しやすい入力項目の開発も引き続き行っていきます。

博士人材の持つ能力やポテンシャルが、職業紹介事業者や民間企業にもっと伝わるようにさらに改善を加えて、的確なスカウトメールが数多く行き交うようシステム開発を進めていきます。

スカウト機能を上手に活用するためのポイント

エージェントからのスカウト機能を利用するにあたって、手続きは必要でしょうか?

米陀さん:まず、求職者の方に研究内容などのプロフィールを入力していただきます。その際にスカウトメールを受け取る設定をします。スカウトを希望する事業者にチェックを入れるだけなので簡単です。

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トップ画面の赤枠がプロフィール情報登録の入り口。画像提供:科学技術支援機構

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スカウトメールを受け取りたい職業紹介事業者を選択するだけで簡単に利用開始できる。画像提供:科学技術振興機構

スカウトメールが来たらどう対応すればよいですか。

米陀さん:内容を確認していただいて、興味が持てそうであれば詳細を問い合わせていただき、興味が持てなければ、その旨返信していただければと思います。JREC-IN Portalサイト内でやり取りできます。

よいスカウトを受け取る秘訣などがあれば教えて下さい。

米陀さん:プロフィール情報が濃くなるほど、スカウトメールの精度は高くなります。新しい研究テーマに取り組まれた際や、新たに習得した分析手法や解析手法がありましたら、情報をどんどん更新してほしいです。ご自身をアピールするつもりで入力してみてください。

プロフィール欄を充実させておくと、多くの求人機関やエージェントの目に留まり、良いスカウトが来る可能性が高まるわけですね。

根上さん:JREC-IN Portalは、アカデミックポストの求人公募情報をチェックするという使い方をされている方が多いのですが、スカウト機能を活用いただくことによって、自分では思いも寄らない、自らの可能性が広がるような求人の提案を受け取れる、そういう使い方ができるということを是非知っていただきたいと思います。

米陀さん:2021年9月末時点で連携している職業紹介事業者は4社ですが、今後はもっと数を増やしていく予定です。例えば人文系に強い職業紹介事業者や、中小企業やベンチャー企業への就職に強い職業紹介事業者など、エージェントはそれぞれ強みを持っています。多くのエージェントに参画いただき、求職者が自分のニーズに合ったエージェントを選べるようにしていきたいと思っています。

博士人材のキャリアの選択肢がますます広がっていきそうですね!

米陀さん:そうですね。一点、強調しておきたいことは、JREC-IN Portalは、博士人材の方の民間企業への就職をことさらに推進しているわけではありません。まずはご本人の意志が最優先と考えています。そのため、JREC-IN Portalにユーザー登録すると、自動的に職業紹介事業者からメールが送られてくるのではなく、ご本人が自らの意志でスカウトメールを受け取ることに同意して、初めてメールが届くようになるのです。

根上さん:高度な研究能力を有する博士の方々は、「知のプロフェッショナル」です。アカデミアはもちろんのこと、産業界、行政機関、国際機関など、様々な場において、ふさわしい職を得て、リーダーとして活躍できるような環境になることが望ましいと考えています。

研究人材のキャリアパス拡大に向けて

JREC-IN Portalのほかに、JSTとして研究人材のキャリアパス形成を支援する取り組みがありましたら教えてください。

根上さん:日本の研究力向上には、高度な研究能力を有する方々がその能力を存分に活かせる環境整備が欠かせません。国の科学技術のイノベーション施策の基本方針のなかでも、博士課程の学生の環境改善や若手研究者が幅広い環境で活躍できる場を構築することは重要な位置づけとなっています。

この流れを受けて、JSTでは、博士後期課程の学生を支援する新たな支援策として「次世代研究者挑戦的研究プログラム*2を本年度に開始しました。他にも、キャリアパス拡大の支援に向けて様々な施策が行われているので、今回の記事を機に学生や研究者の方々に関心を持っていただければ嬉しいです。

*2 次世代研究者挑戦的研究プログラム:博士後期課程学生による挑戦的・融合的な研究を支援し、優秀な博士人材が様々なキャリアで活躍できるように研究力向上や研究者能力開発を促す事業です。https://www.jst.go.jp/jisedai/

最後に本記事を読んでいるみなさんにメッセージをいただけますでしょうか。

根上さん:博士人材をはじめとして高度な専門性を身に付けてきた方々が、アカデミアに限らず、ご自身の能力を社会の各方面でますます発揮していただけるよう今後もよりよいサービスを開発、提供していきます。また、今回は産学官の「産」にあたる職業紹介事業者と連携したサービスを開発しましたが、国の機関であるJSTが運用するという利点を活かして、「学」「官」とも引き続き連携しながら、中立・公正な立場から、研究に関わる方々のキャリアを支援していきます。

リケラボ編集部より

今回お話をうかがい、専門分野にかかわらず、これからの研究を担う方々に対して、国として政策を強化、様々な施策が推進されていることを再確認できました。

今回のJREC-IN Portalの新機能もその一環。研究を通じて培ってきた能力やスキルがどんな業界から求められるのか、社会のどんなところで役立てられるのか、スカウトメールを受け取ることで、新たな気づきが得られたり、これまでやってきた研究に肯定的な意味づけができるかもしれません。ご自分の可能性を知るひとつの機会として、まずは気軽に利用してみてはいかがでしょうか。

根上様、米陀様はじめJSTの皆様、貴重なお話をありがとうございました。

博士・研究者の方々が安心してキャリアの展望が描けるようになることを心から願っています!

<プレスリリース>
JREC-IN Portalが人材エージェントとの新たな連携を開始 ~人材エージェントからのスカウト機能を追加~科学技術振興機構(JST)のプレスリリース(令和3年5月13日付)はこちらからご参照ください。https://www.jst.go.jp/pr/info/info1507/index.html

※リケラボを運営するパーソルテンプスタッフ株式会社研究開発事業本部は、今回ご紹介した新機能について、連携職業紹介事業者として登録されております。博士お一人お一人に合ったキャリア構築のお手伝いをさせていただいておりますので、是非お気軽にご相談ください。

リケラボ編集部

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