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【解答速報あり】数学甲子園2017 本選レポート。今年の難易度は!? | リケラボ

【解答速報あり】数学甲子園2017 本選レポート。今年の難易度は!?

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今年も数学甲子園(全国数学選手権大会)が開催され、全国の中・高・高専生による熱い戦いが繰り広げられました。リケラボ読者のみなさんのなかにも、出場を目指していたという方がいるのでは? 今年は、いったいどんな大会だったのでしょうか。ということで、リケラボでは9月17日(日)に都内で行なわれた本選の模様をレポートします! また、記事の最後では本選で出題された問題を一部ご紹介。ぜひ、みなさんも腕試しにチャレンジしてみてください!

数学甲子園は、全国の中学・高校・高専生が団体戦で数学の力を競う大会。「実用数学技能検定」20周年記念事業の一環として2008年から始まり、今年で10回目の開催です。生涯学習の観点から数学を通じて考える力や発想力を高め、教育・ものづくりなどの発展に寄与する目的があります。数学の問題を解く力だけではなく、「問題解決力」「チームワーク力」「創作力」「プレゼンテーション力」など幅広い力が問われるのです。

今年は過去最多の567チーム2,241人が予選に参加し、戦いを勝ち抜いた36チームの精鋭が本選に進出しました!

■本選進出チーム一覧


AM9:30、開会式がスタート!

この日、司会進行を務めたのは、数学科出身のフリーアナウンサー・篠崎菜穂子さんと、こちらも数学科出身の落語家・林家久蔵さんです。

開会式では、前回の優勝チームである滝高等学校(愛知県)から数鷲旗(優勝旗)の返還、そして今大会参加の灘高等学校『バンジー改(かい)チーム』(兵庫県)リーダーの黒田さんによる選手宣誓も行なわれました。これから始まる戦いに向けて、心なしか選手の皆さんの表情も引き締まったように感じます。

今年、優勝旗を手にするのはいったいどのチームなのでしょうか?
ついに、本選がスタートです!

今年は特に難しい!? チームで協力するペーパーテスト“Math Battle”

この日最初に行なわれた競技は、“Math Battle”。チームで力を合わせて18問の筆記問題にチャレンジします。難易度は実用数学技能検定(数学検定)準1級~準2級程度で、うち6問が英語表記問題とかなりハイレベルです。

制限時間になると、あちこちから「終わった?」という声が上がるとともに、会場全体が拍手に包まれました。安堵感や達成感、悔しさなどいろいろな感情がにじみ出ています。

Math Battleを終えたばかりの選手たちからは、「わからない問題はあとから解くようにしたけれど、それでも解けなかった問題があって残念」「練習したけど難しかったです。来年はもうちょっと簡単にしてください……(笑)」「取りこぼした問題がちょっとあるけれど……まあ結果を待ちたいです」などの声が。どうやら、今年の問題はなかなか手強かったようです。

インターバルの“数学エンターテインメント”も見所満載!

Math Battleの答案を採点している間は、スペシャルゲストとしてお笑い芸人『タカタ学園』のお二人が登場!

タカタ先生(写真右)は現役数学教師でもあるということで“数学漫才”を披露。数学好きにはたまらないマニアックなネタに、会場中が笑いに包まれ大盛り上がりでした。

続いて行なわれたのは“数学大喜利”。選手のみなさんも参加して「新テーマパーク『数学ランド』は一体どんなとこ?」というお題に挑戦。紙に書いて提出した回答が面白ければ、特別賞に選ばれる……?(受賞回答はのちほど紹介)。

ハイレベルなプレゼンテーションが繰り広げられる“Math Live”

お楽しみの時間のあとは、ついに大会の最終競技“Math Live”へ進出できる6チームの発表です!

■Math Live進出チーム
・豊島岡女子学園『カナチャントマイノリティチーム』
・江戸川学園取手高等学校『Aチーム』
・大阪星光学院高等学校『数ぽよ& mathleteチーム』
・南山高等・中学校女子部『しらゆりチーム』
・灘高等学校『バンジー改チーム』
・海陽中等教育学校『拍手やめろ普通にチーム』

“Math Live”は、事前に実施された競技“Math Create”で、それぞれのチームが創作した問題についてプレゼンテーションと質疑応答をするというもの。Math Createでは「“操・連・投”の3文字すべてを使う」というテーマのもと、作問から、模範解答などを記載したプレゼンテーション資料の作成までが90分で行なわれました。

6チームが作成した問題は、「長方形内でのレーザー光の反射について」「ボールを箱に投げたときn回連続で入る確率について」「映画館のスクリーンが見やすい客席の位置(角度)について」「コインを投げたときに正八角形上を動く人形の操作について」「サイコロを操れる場合のすごろくの勝率について」「2本の鉛筆を投げたときにあたりが出る確率について」──どれも解きごたえのある問題ばかりでした。堂々と、ときにはユーモアを交えながらわかりやすく発表をする姿はとても頼もしく、社会人のプレゼン顔負けです。

発表の後はじっくりと質疑応答が行なわれ、あらゆる視点からの鋭い問いかけの数々によって問題への理解も深まったようでした。

そして最後に、優れた質問をして評価された

・灘高等学校『ジェイソンどら焼きチーム』

が、敗者復活枠でMath Liveに登場。「航空路線を作るときに必要な操縦士の最低人数について」の問題を発表しました。
これですべての競技が終了です!

いよいよ結果発表!

今大会の入賞チームは以下の通り。おめでとうございます!

■特別賞「林家久蔵賞」(数学大喜利の回答がすばらしかったチームに贈られます)

宮城県仙台二華高等学校『蒸気は英語でスチーム』


ちなみに、大喜利「新テーマパーク『数学ランド』は一体どんなとこ?」の回答でポイントが高かったのは、“マウスじゃなくてガウスと写真が撮れる”でした!

■特別賞「日本公認会計士協会賞」(Math Liveを観戦した公認会計士が選ぶ、発想力、説明力に秀でたチームに贈られます)

桐蔭学園中等教育学校(神奈川県)『きりりん5チーム』

「うれしい気持ちでいっぱいです。……公認会計士になろうと思います」というサービス精神あふれる(?)リーダーのコメントに、会場が笑いに包まれました!

■7位

灘高等学校(兵庫県)『ジェイソンどら焼きチーム』
総合評価 234点(Math Create:65点 Math Battle:150点 Math Live:19点

■6位

江戸川学園取手高等学校(茨城県)『Aチーム』
総合評価 254点(Math Create:95点 Math Battle:130点 Math Live:29点)

7位の『ジェイソンどら焼きチーム』(写真右)と、6位の『Aチーム』(写真左)

『ジェイソンどら焼きチーム』リーダーのコメント

「敗者復活枠だったので7位だろうとは思っていましたが、3年目で初めて決勝に出られたということがとても大きいです」

『Aチーム』リーダーのコメント
「Math Liveの発表では言いたいことがいっぱいあったけれど時間がなくて……もっとみんなを面白がらせられたらと悔しかったけれど、そういうところも含めて数学は面白いと思っています」

■5位

豊島岡女子学園(東京都)『カナチャントマイノリティチーム』
総合評価 257点(Math Create:118点 Math Battle:80点 Math Live:59点)

■4位

海陽中等教育学校(愛知県)『拍手やめろ普通にチーム』
総合評価 259点(Math Create:105点 Math Battle:120点 Math Live:34点)

5位の『カナチャントマイノリティチーム』(写真右)と、4位の『拍手やめろ普通にチーム』(写真左)

『カナチャントマイノリティチーム』リーダーのコメント
「去年は予選落ちしていたので、今年はMath Liveまで進めて、なおかつ5位というすばらしい成績を残せてうれしいです」
このチームは、Math Createの得点がトップでした!

『拍手やめろ普通にチーム』リーダーのコメント
「チーム名を逆手にとってみんながすごく拍手をしてくれたので……嫌だったなと思いました。拍手を浴びすぎたかなと思っています」
そこでまた大きな拍手が巻き起こり、チームのみなさんもニッコリ。

■敢闘賞(3位)

大阪星光学院高等学校(大阪府)『数(すう)ぽよ& mathlete(ますりーと)チーム』
総合評価 271点(Math Create:90点 Math Battle:150点 Math Live:31点)

リーダーのコメント
「Math Liveに進めることになったときはめちゃくちゃ興奮しました。ここまできたら優勝してやろうと意気込みすぎて、プレゼンでは笑いに走ってしまいミスもしましたが……(笑)」
親しみやすい語り口調で、会場中をみるみる笑顔に変えてしまうチームでした。「これからも数学とユーモアを交えて頑張ってください!」と、久蔵師匠も激励。

■準優勝

南山高等・中学校女子部(愛知県)『しらゆりチーム』
総合評価 291点(Math Create:85点 Math Battle:150点 Math Live:56点)

リーダーのコメント
「南山高等・中学校は本選に出場するのが初めてで、何もわからず不安だったけど……チームのみんなや家族、先生に支えてもらってここまでくることができうれしいです」
よろこびや達成感があふれ、リーダーの目には思わず涙が。はきはきと自信を持ってプレゼンする姿が印象的でした!

■優勝

灘高等学校(兵庫県)『バンジー改チーム』
総合評価 311点(Math Create:108点 Math Battle:150点 Math Live:53点)

日本数学検定協会の甘利会長から数鷲旗(優勝旗)が手渡され、文部科学省の担当官から文部科学大臣賞の賞状も授与されました!

知力を武器に、全国の中・高・高専生が戦いを繰り広げる数学甲子園。今年も数学バトルあり、笑いあり、うれし涙ありのすばらしい大会でした。入賞チームに限らず、全国の挑戦者のみなさん! 今後も数学に対する愛や興味を大切に、どんどん能力を伸ばしていってください!

来年の数学甲子園、そして選手のみなさんの未来が楽しみです!


あなたは解ける? 数学甲子園2017出題問題(一部)

ここからは、数学甲子園2017の”Math Battle”で実際に出題された問題と模範解答を一部ご紹介します。ぜひ挑戦してみてください(問題はクリックorタップで拡大表示できます)。

問題1.

問題1の模範解答はコチラ

問題4.

問題4の模範解答はコチラ

問題11.

問題11の模範解答はコチラ

問題18.

問題18の模範解答はコチラ
リケラボ編集部

リケラボ編集部

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