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幼いころ、さまざまな科学現象に心を躍らせ、理系の道に進んだ人は少なくないはず。同じ感性を持つ仲間たちとともにそんな好奇心を伸ばす、高校生向けのイベント『科学の甲子園』。理科・数学・情報の複合的な筆記試験や実技課題に、6~8名のチームで挑みます。先日レポートした数学甲子園同様、リケラボ読者の中には、出場を目指していた&実際に出場経験のある人、少なくないかもしれませんね。
イベントを主催するのは、国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)。教科書や分野の枠に縛られない“科学への興味”を広げる、次世代人材育成事業の一環です。第7回となる次回大会は、2018年3月に埼玉にて開催予定。都道府県代表を選抜する都道府県大会がこの10月から11月にかけて全国各地で開催されます!(一部都道府県ではすでに実施済み。詳しくはJSTのサイトで。科学の甲子園 都道府県代表校について)
前回大会はどのような様子だったのでしょうか。少し振り返ってみましょう。
実験、計算、ロボットレース……科学好きにはたまらない闘い
前回大会には、過去最多の682校・8244名がエントリー。各都道府県1校ずつの代表校が、2017年3月17~20日につくばで行われた全国大会へと駒を進めました。
競技は、筆記試験と3つの実技課題。科学的な技術や応用力に、ものづくりやコミュニケーションの能力をかけあわせて、チームで課題解決を目指す内容になっています。とりわけ見ていて面白いのは、やはり知識とひらめきが必要になる実技。前回大会で出された3つの課題をご紹介します。
1、袋田の滝の凍結
室温にて凝固する炭化水素、ビフェニルを湯煎で溶かし、室温で放冷して、冷却時間と温度の関係をグラフ化しつつ、凝固点を決定。さらにビフェニルの性質から、未知の溶質XとYの正体を突き止めていく課題です。
タイトルにはちょっとお茶目に、開催地・茨城の名刹「袋田の滝」を冠しました。各チームから、3名の生徒が出場。役割を分担して実験を進め、てきぱきと答えを導き出していきました。
2、進撃のダイナ走ー(だいなそー)
中生代の恐竜や新生代のアファール猿人の足跡の化石から、歩行速度を推定するという課題。自分たちの歩幅や足のサイズ、スピードを手がかりに、近似式を求め、恐竜や猿人に応用します。他のチームと計測値を共有して、より正確なデータを作れるかが勝負の分かれ目となったよう。発展課題として、重力が小さい火星での人類の歩行速度の考察も求められました。
3、ばんえい競走inつくば
温度差により発電する「ペルチェ素子」を搭載した電源車と、馬に見立てたクランク機構で動く四足歩行ロボットを60分間で製作し、レースを行います。唯一、内容が事前公開されていた競技のため、各チームともに試作機を作って試走を重ねるなど、綿密な準備のあとが見られました。優勝チームは「発熱剤と水を反応させるタイミングを秒単位で練習してきた」とのこと。
こうした接戦を制し優勝したのは、チームワークの良さが光った岐阜県代表の岐阜県立岐阜高校。優勝チームには、アメリカで開催される科学好き高校生の祭典『サイエンスオリンピアド2017』への出場権も贈られました。
大会では競技のほかにも、第一線で活躍する若手研究者を招いた特別シンポジウムや、実験ショー、エキシビション競技といった興味深いコンテンツが目白押し。昨年はドローンを使った駅伝レースも行われ、おおいに盛り上がったようです。
出場する高校生だけでなく、一般観覧でも充分に楽しめそうな『科学の甲子園』。次回大会のプログラムは、これから随時公開されるとのことで、今後の情報リリースに、期待が高まります!
情報/画像提供:国立研究開発法人・科学技術振興機構
https://koushien.jst.go.jp/koushien/
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