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料理中や食事中にふと浮かぶ素朴な疑問。科学的な観点からその答えを探るべく、管理栄養士の先生に聞いてみました!
今回の疑問はこちら。卵をテーマにした疑問を集めてみました。
・かき卵汁の卵をふわふわにするコツは?
・スフレケーキを上手に膨らませるコツは?
・メレンゲの泡立ちに限界はあるの?
・有精卵って無精卵よりおいしいの?
・月見そば・うどんの卵はいつ割るのがいちばんおいしい?
お答えいただいたのは棚橋伸子先生です。
管理栄養士/フードスタイリスト 棚橋 伸子先生
国際薬膳師、中医薬膳専門栄養士、日本野菜ソムリエ協会 野菜ソムリエ、日本ニュートリション協会公認 ビジネスサプリメントアドバイザー 。
管理栄養士養成施設非常勤講師。 栄養バランスを考慮したヘルシー料理を得意とし、企業の商品開発業務等にも携わる。中医学理論に基づいた薬膳料理の提案も得意とする。
facebookページ:管理栄養士棚橋伸子のすまいるきっちん
かき卵汁の卵をふわふわにするコツは?
質問:ふわふわのかき卵汁をつくりたいのに、うまくいくときと、ただ濁るだけのときがあります…。何が違いで、何がコツなのでしょう?
汁が濁ってしまうという人は、少し慌てて卵を混ぜすぎかもしれません。
卵が完全に凝固する温度は80℃。汁に卵を入れた直後は汁の温度が下がります。すぐに混ぜてしまうと卵が凝固せずに汁と混ざり濁ってしまうので、卵を入れたら数秒待ってからゆっくり混ぜると良いでしょう。
ふわふわのかき卵汁を作るコツは、水溶き片栗粉で汁にとろみをつけてから卵液を加えること!
汁に片栗粉等の澱粉を加えとろみをつける事で汁の温度低下を防ぎ、とろみがついている汁へ流し込んだ卵液はきれいに分散します。
ふわふわに仕上げる為には、卵液を入れた後の加熱しすぎにも注意しましょう。
スフレケーキを上手に膨らませるコツは?
質問:スフレケーキを焼いたのですが、お店で売っているケーキのようにうまく膨らみません。どうすればうまく膨らむのでしょうか…?
スフレケーキといえば、卵白や全卵を泡立てる事により気泡を混ぜ込んだ生地を用いたお菓子。スフレケーキの膨らみは、気泡の熱膨張を利用したものです。
従って、上手に膨らますポイントは、泡立ての際にしっかり空気を含ませるように撹拌し気泡を作ること。そして、焼成する時に、オーブンの予熱をしっかりしておくこと。
適切な温度のオーブンで焼成しなければ、熱膨張が起きる前に気泡は消えてしまい膨らみが悪くなります。オーブンの予熱をしっかりと行い、調整した生地はすぐにオーブンに入れ焼き上げましょう。
メレンゲの泡立ちに限界はあるの?
質問:卵白を泡立てて作るメレンゲですが、どこまで泡立てたらいいのか、終わりがわかりません…。泡立てれば泡立てるほどよいのか…それとも泡立ちにも限界点はあるのでしょうか?
卵白の泡立てでは、撹拌が進むにつれ泡は細かく均一になります。泡の集合体の容積が大きく安定した状態になりますが、これを更に泡立てていくと、泡の艶がなくなり、液が分離してきます。泡立て過ぎにより、泡膜が破れてしまい、凝集が起こり、液が分離してきてしまうのです。
よって、泡立ちには限界があります。
泡立ち性(起泡力と安定性)については、起泡力は泡の比重を測定し値が小さい場合が泡立ちが良いと判断され、安定性については、泡から出てくる分離液を測定し、分離液が少ないものが安定度が高いと判断されます。
日常の調理では、このような試験までは行えませんので、泡立て器の先端についた泡の状態で泡立ての程度を判定してくださいね。
有精卵って無精卵よりおいしいの?
質問:有精卵って無精卵に比べて希少で高級なイメージがありますが、実際のところ科学的にみて栄養価が高かったりおいしかったりするものなのでしょうか?
有精卵と無精卵は、成分分析結果では違いがなく、含まれる栄養素量にも違いがありませんので、栄養価も同じです。
卵のおいしさに影響するのは、有精卵か無精卵かという事よりも、与えている飼料の影響が大きいと言われています。
有精卵には定義があり、平飼い、もしくは放し飼いという条件があります。一般的に狭いゲージの中で飼育されている鶏が産む無精卵よりも、ストレスが少ない環境で飼育されている鶏が産む有精卵の方が、個人的にはおいしいイメージがあります。
月見そば・うどんの卵はいつ割るのがいちばんおいしい?
質問:月見そば・月見うどんの卵の黄身。いきなり最初に割るべきか、後半まで泳がせてから割るべきか…究極の議題です! 科学的にはいつ割るのがいちばんおいしいのでしょうか?
おいしいと感じる嗜好には個人差が大きいので、最適なタイミングは、人それぞれですね。
え!? 人それぞれ、ですか?
はい。人それぞれだと思います。
結論 人それぞれ
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ちなみに先生ご自身は、いつ割る派ですか?
私の場合は、すぐに割ってしまうのではなく、まずは静かに麺をかき分け、卵を沈めます。
熱々の汁であれば、しばらくすると卵白が凝固してきます。それをれんげですくい取り、半熟卵を頂くのが好みです。とろっと出てきた黄身と出汁をれんげの中で合わせていただいてみたりもします。
すぐに黄身を割ることで黄身が混ざって味がまろやかになるのが好き!という方もいると思いますが、すぐに割ってしまう場合には、汁がにごり、汁の温度は冷めてしまいます。私はどちらかといえば、最後まで丼の中の汁は熱いまま、濁らせずに楽しみたいタイプです。
とはいえ、月見そば・月見うどんの卵の役割は、味だけではなく栄養バランスという点にもあると思いますし、やっぱり選び方や楽しみ方は人それぞれでいいと思います!
棚橋先生、ありがとうございました!
リケラボでは今後も料理や食材の素朴な疑問の答えを探求してまいります!