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料理や食材に別の食材を足して「味変」を楽しむのが静かなブーム。
今回の『リケラボ 料理や食材の豆知識』は、意外な組み合わせで楽しめる「味変」レシピを、おいしさの裏側にある科学的な根拠とあわせてご紹介します。
教えていただくのは、栄養管理士の棚橋伸子先生です。
管理栄養士/フードスタイリスト 棚橋 伸子先生
国際薬膳師、中医薬膳専門栄養士、日本野菜ソムリエ協会 野菜ソムリエ、日本ニュートリション協会公認 ビジネスサプリメントアドバイザー 。 管理栄養士養成施設非常勤講師。 栄養バランスを考慮したヘルシー料理を得意とし、企業の商品開発業務等にも携わる。中医学理論に基づいた薬膳料理の提案も得意とする。 facebookページ:管理栄養士棚橋伸子のすまいるきっちん
今回のテーマは、種類も豊富でさまざまな食材や料理と相性抜群の「チーズ」 。
チーズで味変を楽しめる組み合わせとして棚橋先生にピックアップいただいたのは、こちらの4つです。
・納豆×チーズ
・明太子×チーズ
・ドライフルーツ×チーズ
・漬物×チーズ
それぞれの組み合わせについて詳しく見ていく前に、まずはチーズの基本的な知識についても先生に伺います!
チーズの種類と特徴について
先生、まずはチーズの種類について教えてください。
チーズは、「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種に大別できます。 「ナチュラルチーズ」の原料はミルクで、微生物が生きている状態なので時間の経過とともに風味や外観にも変化がでてきます。 「ナチュラルチーズ」には、下記のような種類があります。
【タイプ】 | 【代表的なチーズ】 |
---|---|
フレッシュタイプ | クリームチーズ、カッテージチーズ、モッツァレラ、リコッタ、フェタ、マスカルポーネ、フロマージュブラン |
白カビタイプ | カマンベール、ブリー |
青カビタイプ | ゴルゴンゾーラ、ロックフォール |
ウォッシュタイプ | エポワス、モン・ドール |
シェーブルタイプ | サントモール、クロタン・ド・シャヴィニョル |
セミハードタイプ | ゴーダ、ラクレット、サムソー |
ハードタイプ | コンテ、エメンタール、エダム、チェダー、ミモレット、パルミジャーノ・レッジャーノ |
たくさんありますね……!
フレッシュタイプは、熟成させず、すぐに食べられるチーズです。他のチーズと比べ水分が多く、くせのない味が特徴です。熟成させていませんので、見た目も白いチーズです。お菓子作りにも多様されます。
それぞれの特徴はどのようなものですか?
白カビタイプは、表面に白カビを繁殖させ熟成させたチーズです。内部は白やクリーム色で、熟成の度合いによりとろっとした状態になります。
青カビタイプは、チーズの内部に青カビを繁殖させて熟成させたチーズです。味は濃厚で、風味や匂いも強いのが特徴です。
ウォッシュタイプは、チーズの表面を、塩水やチーズを作っている土地のお酒で洗いながら熟成させたチーズです。内部はクリーミーでマイルドですが、こちらも匂いが強いのが特徴です。
青カビタイプやウォッシュタイプは、チーズ特有の匂いが特に強い種類なんですね。
実をいうと私も青カビタイプやウォッシュタイプの強烈な匂いはちょっと苦手です(笑)。
続いてシェーブルタイプは、山羊のミルクを使って作られたチーズです。種類により熟成の度合いも様々ですが、山羊特有の風味があるチーズです。
セミハードタイプは、水分を少なくした比較的硬いチーズです。保存性も良く、くせがなく食べやすいのが特徴のチーズです。
ハードタイプは、セミハードタイプよりも水分量が少なく、熟成期間が長いチーズです。じっくり寝かせ熟成させているため、旨味が強く、濃厚な味が特徴のチーズです。
プロセスチーズについても教えてください!
「プロセスチーズ」は、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したチーズです。保存性にも優れており、ナチュラルチーズとは異なり一定した品質が保たれているチーズです。 スライスチーズ、スモークチーズ等、私達の日常生活でも比較的身近なチーズです。
ありがとうございました!続いてはちょい足しレシピについて、どんな種類のチーズが合うのかも併せて紹介いただきます。
納豆×チーズ
それではいよいよ、チーズのちょい足しが楽しめる食材について伺います!
最初は納豆をピックアップしていただきました! 納豆に合うチーズはどんなチーズでしょうか?
プロセスチーズがおすすめです。角切りにしたプロセスチーズと納豆の組み合わせは、おつまみ向きですね。納豆とチーズの大きさをできるだけそろえると、食感にまとまりが出ます。アクセントでからしを入れても、味にしまりが出て美味しいです。
プロセスチーズも納豆も、手軽に用意できるのがいいですね。
納豆には独特の粘り気や匂いがあるので、くせの少ないチーズが合います。納豆自体には塩分はほとんどありませんので、その点でも塩分量が比較的多いプロセスチーズとの相性が良いです。
納豆、チーズ共に、旨み成分であるグルタミン酸が含まれる発酵食品同士という事もあり、相性が良いのでしょう。どちらもじっくり味わうと発酵食品特有の旨みが口の中に広がります。共にたんぱく質を多く含む食品なので、しっかりたんぱく質を摂取したい方にもおすすめです。
ちょい足しアレンジ例
- 角切りにしたプロセスチーズと納豆を合わせ、それぞれの食感を楽しみながら
- とろけるチーズと組み合わせて、納豆トーストに
明太子×チーズ
続いて、明太子とチーズです。どんなチーズと合わせると良いでしょうか?
明太子には、フレッシュタイプのクリームチーズやカッテージチーズがよく合います。 明太子のように塩分量の多い食材には、塩分量が少なくまろやかなチーズがおすすめです。
明太子の塩分は100g当たり5.6g。小さじ1杯分の食塩を直接食べるのと同じ位の塩分が含まれています。 まろやかでクリーミーなチーズと組み合わせることで、塩味をマイルドにし食べやすくしてくれます。
クリームチーズと混ぜ合わせたディップソースは、野菜につけてもバケットにつけても、アレンジ料理にも使えて万能です。明太子の塩味をクリームチーズがまろやかにして食べやすくなりますし、なめらかなチーズの中に明太子の粒々を感じられます。茹でたてのパスタと和えて、ブラックペッパーをたっぷりかけ即席のパスタにしたり、茹でたじゃが芋に和えてみたり、海苔巻等にも活用できます。
美味しそう! 明太子とチーズをさらに別の料理に「ちょい足し」するのも楽しそうですね。
ちょい足しアレンジ例
- 明太子にクリームチーズを混ぜ、野菜のディップソースに
ドライフルーツ×チーズ
続いてはドライフルーツです。甘味とチーズの相性はどうでしょうか?
甘味、旨味が凝縮しているドライフルーツに塩味のあるチーズを合せると、対比効果によりドライフルーツの味をより甘く、濃く感じられると考えられます。 干し葡萄、いちじく等のドライフルーツがおすすめです。
干し柿の季節になると、クリームチーズと干し柿を合わせるのも良いですね。干し柿だけだと甘みが強すぎてしまうところを、味にくせがなく、濃厚なクリームチーズが甘みをやわらげて、濃厚さをプラスしてくれます。なめらかな口どけのマスカルポーネとの組み合わせも美味しいです。
凝縮された甘味と旨味がさらに引き出されるのはたまらないですね!
アーモンド、カシューナッツ、くるみ等の脂質が多いナッツ類も相性が良い食材です。 ドライフルーツと組み合わせて使用すると、ナッツ類の食感、香ばしい風味も加わり絶妙なマリアージュとなります。
今すぐにでも食べたいです。どんなチーズと合わせると良いでしょうか?
白カビタイプのカマンベール、ブリーや、青カビタイプ、ウォッシュタイプのチーズがおすすめです。 塩味が強いタイプのチーズを使用する時には蜂蜜やメープルシロップ等で甘味を加えると、チーズの塩味がまろやかになり、デザート感覚で召し上がっていただけるお料理になります。
フレッシュフルーツとの組み合わせでは、りんごがおすすめです。 りんごの程よい酸味が、チーズの後味を爽やかにしてくれます。
ちょい足しアレンジ例
- カマンベールチーズにドライフルーツ(お好みでナッツや蜂蜜も一緒に)
漬物×チーズ
最後にピックアップいただいたのは漬物。正直、チーズに漬物の組み合わせはあまり聞いたことがありませんでした。
この組み合わせは、チーズの濃厚な感じの中に現れる塩味、そして食感を楽しめるのが醍醐味です。同じ発酵食品同士で相性が良く、お互いの持つ旨みが合わさって美味しさも倍増です。
どんなチーズと合わせると良いでしょうか?
漬物には、フレッシュタイプのクリームチーズやカッテージチーズが合います。 漬物は塩分量の多い食材なので塩分量が少ないチーズが合います。しば漬けや味噌漬け、沢庵、高菜漬け等、あとは秋田県の「いぶりがっこ」という燻製した独特の風味の漬物との相性もとっても良いです。
細かく切った漬物とフレッシュチーズを混ぜれば、漬物の食感を楽しめる簡単おつまみが数分で完成します。クラッカーにのせたり、野菜にディップして食べるのがおすすめです。
味噌漬けの場合は、細かく切って使用するのも良いですが、薄切りにした味噌漬けとクリームチーズを重ねていただくのも良いと思います。 漬物のカリッとした食感と、チーズのねっとり感を同時に楽しめるのがこの食べ方になります。
チーズ自体を、糠漬けや味噌漬け等の漬物にするという食べ方もあります。チーズ自体の旨みに加え、漬け床に入れて熟成することで得られる旨みが加わります。
チーズ自体を漬物にするというアイディア、とても美味しそうです!
ちょい足しアレンジ例
- ・細かく切った漬物とフレッシュチーズを混ぜた簡単おつまみ
まとめ
チーズと一言で言っても、種類も多く味も様々です。組み合わせを考える時には、塩味と甘みのバランスを整える、食べた時の食感や舌触り、匂い考慮する等がポイントになりそうです。チーズと組み合わせると美味しい食材を発見してみましょう。
チーズとの合わせ方をいろいろと学ぶことができました!他にもチーズと合う食材を探してみようと思います!
棚橋先生、ありがとうございました。
リケラボでは今後も料理や食材の素朴な疑問の答えを探求してまいります!