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ゆるめるモ!が山梨大学を突撃訪問
リケラボでは以前こちらの記事で、バクテリアでお絵描きをする「微生物アート」をご紹介しました。
感銘を受けたリケラボ編集部。「この楽しさをもっと多くの人に届けたい! 誰か一緒に盛り上げてくれないか・・・(できればかわいい女の子がいいな)」と思いを巡らせていたところ、強力な助っ人が現れてくれたのです!
それがいま人気急上昇中のニューウェーブガールズグループ「ゆるめるモ!」。
微生物アートの魅力を伝えるために、ゆるめるモ!の4人がバクテリアでお絵描きに挑戦してくれることになりました。
ご指導いただいたのはもちろん、前回記事でもお世話になった日本が誇る微生物ハンター、山梨大学の田中靖浩先生です!
ゆるめるモ!
2012年10月4日に結成されたニューウェーブグループ。ニューウェーブ、パンク、ヒップホップ、エレクトロなど多彩なサウンドをぶち込んだ楽曲で、世界を相手に闘う4人組。ゆるめるモ!オフィシャルサイト:http://ylmlm.net
ゆるめるモ!の「けちょん」です。
「ようなぴ」です。
「しふぉん」です。
「あの」です。
田中です。
田中靖浩 先生
山梨大学 生命環境学部 環境科学科 准教授。
未知の細菌の発見をメインに研究。論文を出していないものを含めてこれまでに100種以上の新しい細菌を発見している。細菌分類における新たな「門」を発見したことも(これまでに発見されている細菌の門は30ほど。そのうちのひとつを見つけるという大発見!)。微生物を使った環境浄化やバイオエタノール生産などへの応用など環境全体の改善にも取り組む。(※所属などはすべて掲載当時の情報です。)
まずは基本のおはなし
さっそく田中先生から本日のレクチャーをいただきます。
今回みなさんに挑戦していただく「微生物アート」ですが
微生物といっても、酵母やカビや細菌などなど、本当はいろいろ種類があります。今からやるのは「細菌」を使ったお絵描きです。「バクテリア」と言ってもいいです。
バクテリアって…
はい
キス…
?
キスするとバクテリアがうつるって聞いたことがあるんですけど、本当ですか?
えっとですね、はい、正しいです(笑)
実は僕の授業でもよく話すんですけど、キスというのは、まさしく微生物を交換しているようなものです。
おおっ…。
実際に、歯周病菌など、一部の病原性微生物(ウイルスも含む)はキスで感染することもあります。
一方で、キスは、より多様な微生物を獲得して様々な病原菌への対応力を備えるための手段として有効であるとの説もあります。
ちなみに、10秒間のキスで交換される細菌数は約8,000万という報告(Microbiome 2014 2:41)もあるそうです。
諸説ある状況ではありますが、一概に「微生物の交換=怖いこと」というわけではないんですよ。
微生物アートのキャンバスは「寒天培地」
さて、アートの話を進めますが、たとえば油絵であれば絵を描くのにキャンバスを使いますが、微生物アートの場合のキャンバスは「寒天培地」というものになります。
シャーレというものはみなさんも理科の実験などで見たことがあるかと思いますが、このシャーレに、みつ豆に入っているような寒天と微生物のエサを混ぜて敷き詰めたものが「寒天培地」になります。
今回の微生物アートは、このシャーレの中の寒天培地に好きな色のバクテリアを塗っていくというのが基本的な手法になります。
どうして「青」がないんですか??
もともと自然界には青い生物は少ないんです。微生物も同じで、青色のものはあまりいないんですね。
そうなんですね。
ただ、地球上の微生物のほとんどが培養が難しくて未だに培養されていないのが実情なので、まだ培養に成功していない中にひょっとしたら青い菌もある程度ふくまれているかもしれませんね。
逆に多いのはどういう色の微生物ですか?
白やピンク、黄色の微生物なんかは比較的多いです。そういえば、あのさんはたしかテーマカラーが水色でしたよね?
! そうです。
事前リサーチも欠かさない田中先生。まさに研究者の鑑。
青のなかでもさらに水色の微生物、特に細菌となると、僕が知る限りまだ見つかっていないと思います。ただ、やろうと思ったら水色に近い色を人工的に創ることはできます。微生物の遺伝子を組換えて、寒天培地にも細工して…ということになります。
作業開始。まずは下絵を描く
作業工程に入ります。今回はイラストをベースにした微生物アートを仕上げたいので、まずは下絵を描くところから。
いよいよ微生物を塗ります
下絵が完成したので、寒天培地に微生物を塗っていきます。
最初は田中先生にお手本を見せてもらいます。
まずはパレット上にある使いたい色の微生物を、棒の先の穴にちょちょいと入れ込むような感じで拭います。
寒天培地に微生物を塗る際は、下に貼った下絵をなぞるようにやればOKです。まずは輪郭から、そのあと色を塗りつぶす時には一方向に向けて繰り返すとうまくいきやすいと思います。
…うまく塗れているのか、ぱっと見ではわからないですね(笑)
そう、何もついてないように見えるでしょう?(笑)
でもなぞったところは必ず菌が生えてきます。それでも心配なときは、シャーレを光に透かして見てみると、塗れているかどうか見えやすいです。もし足りないなと思ったら、塗り重ねてもらって大丈夫です。
先生のお話を参考に、メンバーも挑戦!
他のメンバーも順番に塗りつけを進めていきます。
…といっても、絵の具の絵画と違って、正直この時点ではちゃんと塗れているのかまだ手応えがわかりませんね。
微生物アートは、このあと微生物が成長することで初めて絵として完成します。どんな仕上がりになるか作者すら完全に予想ができないところに、おもしろさがあると思います。
今回はどの作品も、塗りつけについてはうまくいっているように見えます。完成が楽しみですね!
大きな合作にも挑戦!
ソロ作品の制作が終わったところで、メンバー4人の合作にも挑戦します。お題はクリスマスが近いということで、サンタクロースにしました。果たしてうまくいくでしょうか?
左上をあのさん、右上をけちょんさん、左下をようなぴさん、右下をしふぉんさんがそれぞれ担当します。
ちょっと手慣れてきたので、2手に分かれて4人で一気に仕上げました。
ようなぴさんしふぉんさん組。今回は赤の菌がいないので、ピンクの菌で代用します。
なかなか珍しい角度からのショット。クリーンベンチ越しのけちょんさんとあのさん。
・
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・
こうして取材開始から約2時間。すべての作業が完了しました。
最後は田中先生と記念撮影。
白衣も脱いで、帰路に着きます。
待つこと10日間。ついに完成
取材から10日。培養が完了したようです。先生が写真を送ってくださいました。
どんな感じに仕上がったのでしょうか…?
▼初日
▼10日後
すごい! 鮮やかに色が出ています! このカラフルな模様がすべて生き物だと思うと何やら不思議です。
ひとつずつ作品を見ていきましょう。
▼しふぉんさん作品
▼けちょんさん作品
▼ようなぴさん作品
▼あのさん作品
田中先生からのコメント:いずれもなかなか良い感じで仕上がっていると思います。特に、ようなぴさんの作品は上手にできていますね。さすが、美大出身です。
しふぉんさんの作品については、「ゆるめるモ!」の「め」が少し見えにくくなっちゃいましたね。文字は結構、難易度が高いのです。
合作のほうはどうでしょう…?
んー、なんともいえないとぼけた雰囲気が微生物によって倍増してます。全体にムラも少なく、4人のチームワークのよさを感じさせる仕上がりです。眉の部分など、それぞれの塗り方の違いがわかるのはおもしろいですね。
田中先生のコメント:雪の部分に一部コンタミネーション(ディスポループの二度使いか他の菌に触れてしまったかなどの理由で使用していた複数種の菌が混じり合っている)がありますが、むしろいい味になっていると思います! 逆になかなか意識してこんな感じには仕上げられません。
メンバーの声。初めての微生物アート、どうでした?
今回の挑戦の感想をメンバーに聞いてみました。楽しかったところ、難しかったところなど教えて下さい。
菌が薄っすらしか見えなくてコツを掴むのが難しかったです!が、日常ではなかなか出来ない面白い体験が出来て楽しかったです!
微生物のことなんて大人になってほとんど考えたり見たりすることもなかったけど、目に見えないけど一緒に生きてるんだよなあと思って、もっと微生物のことを知りたいなあと思いました!
菌が繁殖されていない状態だと無色だったのでちゃんと絵を描けているのか不安でした!これからの人生でこのような機会がなければおそらく菌で絵を描くことはなかったと思うので素敵な1日でした!
菌に少し興味が湧きましたもっと微生物を見たいと思いました良かったです。
ゆるめるモ!のみなさん、あらためてお疲れ様でした。田中先生と研究室の皆様も、このたびは多大なるご協力、ありがとうございました。
これからもリケラボともども力を合わせ、日本の微生物アート界を盛り上げていきましょう!
ゆるめるモ!からお知らせ
今回微生物アートをがんばってくれたゆるめるモ!さんからお知らせがあります。
↓↓お知らせを微生物アートで表現したものがこちら! ババーン!
そうです! ゆるめるモ!が2018年10月10日に発売したシングル「NEVER GIVE UP DRUNK MONKEYS EP」を引っさげてのツアーのファイナル公演をZepp TokyoとZepp Nambaで行うのです。気になる日程は…って、あれ!? 左下のZeppTokyoの日程が読めませんね。
…もう少し、培養してみましょうか。がんばれ、左下のオレンジの菌!!
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・
どうだ!
これなら読めそうです。オレンジの菌、増えてくれてありがとう!
ちなみに上が培養3日目の画像、下は培養20日目の画像です。このように時間の経過とともに変化するのも、微生物アートならではのおもしろさですね!
とはいえ、微生物アートの告知だけでは心許ないので以下に詳細を記載いたします。
■ライブ情報
「酔拳ツアーWファイナル 東京・龍の乱」
2019年1月5日(土) open 16:00 / start 17:00
Zepp Tokyo
「酔拳ツアーWファイナル 大阪・虎の乱」
2019年1月26日(土) open 16:00 / start 17:00
Zepp Namba前売 立見 ¥5,500 (税込・入場時別途ドリンク代)
当日 立見 ¥6,500 (税込・入場時別途ドリンク代)
※小学生・中学生・高校生は公演当日に¥1,000キャッシュバックいたします。学生証(保険証)を必ずお持ちください。
ゆるめるモ!オフィシャルサイト
http://ylmlm.net
ゆるめるモ!酔拳ツアー・Wファイナル特設サイト
http://ylml5.com
(問)H.I.P. 03-3475-9999 / www.hipjpn.co.jp
【ゆるめるモ! プロフィール】
「(窮屈な世の中を)ゆるめる」、「You‘ll Melt More!(あなたを もっとトロけさせたい)」という意味をこめて命名された4人組ニューウェーブガールズグループ。街頭スカウトで集めたメンバーで2012年10月4日結成(けちょんは唯一のオリジナルメンバー)。2013年9月にしふぉん・ようなぴ・あのが加入して現メンバー4人全員がグループ内に揃う。ニューウェーブを軸にエレクトロ、クラウトロック、シューゲイザー、ハードコア、ヒップホップ、アンビエント、テクノ等々、多彩なジャンルを内包した楽曲を展開。POLYSICS、DOTAMA、ナカコー(ex.SUPERCAR)、後藤まりこ、ギターウルフ、MIYAVI、氣志團、大森靖子、ワンダフルボーイズ/天才バンドのSundayカミデ、ミオヤマザキ、R指定、坂田明、ヒカシュー、非常階段、cinema staff、アーバンギャルド、Deerhoof、of Montreal、バッファロー・ドーター、ドラびでお等のジャンル・世代を問わないミュージシャンとの共演・コラボレーションも特徴。2017年は5周年の年になり、11月29日に3rdフルアルバム『YOUTOPIA』をリリース。2018年1月6日にはZepp Tokyoでワンマンを開催し大成功に終わらせる。2018年5月には、ラッパーのDOTAMAとのコラボ曲を含むニューシングルと新録ベストアルバムを発売し、全国ツアーを開催。海外での人気も高く、ベトナム・台湾・上海・香港・バンコク・韓国といった海外での公演も計9回に渡って実施している。
リケラボを通じてゆるめるモ!を知ったという方、ぜひライブに足を運んでみてください!
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