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もうすぐ読書の秋ですね。今年発売された話題のサイエンス系書籍を中心に、リケラボ編集部お気に入りの7冊をご紹介します。気楽に読めるのに、ポジティブな刺激を受けられるラインナップになりました。
1.『人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質』(山本 一成/著)│ダイヤモンド社
将棋プログラム「ポナンザ」の開発者でありTV番組『情熱大陸』にも取り上げられた筆者が、10年間にわたる研究の成果と人工知能の未来について語った1冊です。10年前と比べて人工知能の研究のセオリーがどのように変わってきたのか、筆者自身の体験・体感を通じて理解することができます。また、人工知能の研究はおのずと「人間とは何か」「知の本質とは何か」というテーマに通じていることが本書からあらためて読み取ることができます。ITやコンピュータの領域での話題性にとどまらず、ヒトという生物に興味のある方、理系技術の知識を通じて人間の本質を”哲学”したい方に向けてもおすすめです。全体を通じてやさしい語り口で非常に読みやすいですが、AI入門編と侮るなかれ、ある程度知識のある方にも十二分に刺激的な内容だと思います。
2.『バッタを倒しにアフリカへ』(前野 ウルド 浩太郎 /著)│光文社新書
バッタ研究で博士号をとった筆者が、研究者として就職するために必要な華々しい業績を上げるべく一念発起し、バッタ被害に悩むアフリカのモーリタニアへフィールドワークに渡るお話。エッセイ、紀行文としても純粋におもしろいのですが、本書の最大の個性にして読みどころは、帯コピーにもある「科学冒険”就職”ノンフィクション」だというところにあると思います。博士号をとっただけでは研究者として生きていくことは難しい現実と、それでも研究者として何とか身を立てたいという切実な想いのなかで奮闘する筆者の姿には、研究者であれば共感必至。研究者ならずとも刺激を受けるものがあります。実は重めのテーマながらも、あくまでも軽妙に書かれていて、サクサク読めてしまいます。
3.『科学の最前線を歩く (知のフィールドガイド)』東京大学教養学部 (編集)│白水社
東京大学教養学部が高校生、社会人向けに開講している公開講座「金曜特別講座」を書籍化したもの。ノーベル賞受賞者からベストセラー執筆者まで、一流の講師による講義を手軽にまとめて読めてしまうなんて、なんたる幸福でしょう。「講義で感動したことありますか?」という帯コピーにピンときた方でしたら、ぜひ手に取っていただきたいです。興味が興味を呼び、この本をきっかけに別の書籍に手が伸びたり、ネットサーフィン漬けになること請け合いです。くれぐれも夜更かしにご注意ください!
4.『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』(ミッチェル モフィット/著, グレッグ ブラウン/著, 西山 志緒/訳)│文響社
原題は『Asap SCIENCE』。Youtubeの人気チャンネルを書籍化したものです。「食べ物を落としても5秒以内ならセーフ?」「先延ばしをやめ、いますぐ行動するためのライフハック」などの実用的(?)な話題から、「電気を消すと暗くなる。あかりはどこへ消えるのか?」など言われてみればたしかに気になる話題まで、とにかく徹底して身近な科学ネタを解説している本書は、雑学書のように気軽に読めつつも、要所要所で理系心をくすぐってきます。個人的に最も気になったのは「確実にしゃっくりを止める方法」。試してみるかどうかはあなた次第の、衝撃的な方法でした。
5 .『元素生活 完全版』(寄藤 文平/著)│化学同人
話題作『元素生活』が、刊行から8年を経て、ニホニウムなどの新しい元素を加えた「完全版」として新登場しました。「私たちの暮らしを”元素目線”で見てみるとどうなるか」という切り口のもと、さまざまな元素について平易な文章と味のあるイラストで解説しています。「元素萌え」な方はもちろん、「元素のことなんて考えたこともない」という方でも、ぜひイラストのとっつきやすさに騙されたと思って読んでみてほしい1冊です。世界がほんの少し違って見えるようになります!
6.『おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』(今泉 忠明/監修)│高橋書店
発刊から1年で35万部を突破したヒット作『ざんねんないきもの事典』の続編です。「トラは笑っちゃうほど狩りがヘタ」「アルマジロの9割はボールになれない」など、残念だけど愛おしい、笑えてちょっとためになる生き物の豆知識が詰まった1冊。生物の進化のしくみについて、楽しく復習できます。各1~2ページずつの1話完結型なので、通勤・通学時など細切れの時間でも手軽に読めるのも魅力です。お子さんと一緒に読んでも、盛り上がれること間違いなしです。
7.『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』(ランドール・ マンロー/著, 吉田 三知世/訳)│早川書房
難解なテクノロジーや自然現象の仕組みについて、英語でもっともよく使われる1,000語だけを使って説明するという実験的な書籍の日本語訳版です。この本にかかると、たとえば電子レンジは「食べ物を温める電波箱」、サターンV型ロケットは「アメリカ宇宙チームの<上に行くもの>5号」となります。図解も満載で、実際に解説はわかりやすいですが、大人にとってはどちらかといえば「そういう説明の仕方があるのか!」という言葉の妙技を味わう本として楽しめます。大判なので通勤・通学のお供には向きませんが、こちらも小学生くらいのお子様がいる方であればご家庭で一緒に読む本としてもおすすめです。最後に本書からひとつクイズを。「重い金属から電気を作るビル」、これはいったい何の説明でしょう? ぜひ本書を手に取ってご確認ください。
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