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ビジネス会話など実践的な英語力を測る評価指標の定番といえば、真っ先に挙がるのがTOEIC®Programでしょう。2017年度にTOEIC® Listening & Reading Testを団体受験した企業の新入社員のスコア統計が、TOEIC®Program実施運営元の国際ビジネスコミュニケーション協会から発表されました(*)。このうち理系の結果について、傾向を見てみましょう。
*出典:「2017年度新入社員TOEIC® Listening & Reading最新データ」/一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
理系の平均スコアは文系を下回る結果に
2017年度、TOEIC® Listening & Reading団体特別受験制度を利用して試験を受けた企業・団体は計770社。このうち新入社員の数は35,540人にのぼり、その平均スコアは485点でした。文理別で見てみると、文系が529点に対し、理系は459点と、70点ほど下回る結果が出ています。
さらに詳しく、専攻別の平均スコアをチェックしてみましょう。文系の学部卒はいずれも500点台ですが、理系の学部卒は300点台から400点台なかばと、やや低得点ぎみ。
しかし、院卒になると文理を問わず、ほとんどの専攻で100点以上もスコアが上がっています。院に進むと海外の文献を読んだり、みずからも英語論文を執筆する機会があったりと、実践的に英語とふれあう機会が増えるため、スキルも磨かれているのではないでしょうか。
理系の平均スコアが低い要因は? TOEIC®Program実施運営元に聞いてみた
理系新入社員の平均点が低いのは、なぜでしょうか? 想定されるバックグラウンドを、日本のTOEIC® Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会に伺いました。
「まず、特に理系の学生は、進級するにつれ、専門の研究で忙しくなり、英語のトレーニングに割く時間が取りにくいケースもあるとお聞きしています。また、そもそも英語が苦手だから理系を選択するという学生もいるようです。そのため、平均スコアが低かったり、伸び悩む傾向にあるのかもしれません」とのこと。
学生時代に専門的に英語に取り組んだ人が文系に比べると少ないことや、意欲はあっても充分に勉強時間がとれないという現実が、理系にはあるようです。
研究職にはますます欠かせない英語力
一方で、受験者数に注目をしてみましょう。
新入社員数は文系のほうがずっと多いのに、今年のTOEIC® Program受験者数は、文系14,742人・理系19,306人と、理系のほうがやや多め。受験を促す企業側が、理系人材の英語力を重視していることが読み取れます。
「アカデミアの研究者だけでなく、企業で働く研究開発職にとっても、英語は身につけておくべきスキルだといえるでしょう。研究成果を英語で執筆・発表するのはもちろん、研究開発拠点を海外に設置することや、海外企業との連携なども珍しい話ではなく、英語ができないと仕事にならない場面も増えています」とは、前述の国際ビジネスコミュニケーション協会のご担当者。
実際に大学でも、理系人材における英語力向上のために、さまざまな対策が講じられています。1年次は一般教養に近い英語を身につけ、2年次からは研究に関わる専門用語を学んでいく、といったカリキュラムも増加。たとえば東京大学理学部化学科では、2014年10月より、海外からの留学生を学部編入生として受け入れるグローバルサイエンスコースを新設。専門科目の授業がすべて英語になりました。
しかし、今回のスコアデータからは、多くの方がスキルアップに苦労している様子も垣間見えました。焦りは禁物、地道に英語力アップを目指したいですね!
取材協力:
国際ビジネスコミュニケーション協会
http://www.iibc-global.org/
TOEIC is a registered trademark of Educational Testing Service (ETS).
This website is not endorsed or approved by ETS.
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