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「採用担当が教えます!」理系大学院生のエントリーシートの書き方│ リケラボ

「採用担当が教えます!」
理系大学院生のエントリーシートの書き方

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【企業研究職】×【採用担当】×【大学院生のキャリア支援】
すべて経験したキャリアコンサルタント、板倉です。

今回の記事ですが、

「え? 『採用担当が教えます!』ってどういうこと? あなた何者ですか?」

と思われる方もいると思います。

私は、企業研究職(11年)x採用担当(5年)x大学院生キャリア支援者(2年) という3つのキャリアを歩んだ、ちょっと変わった者です。

筆者作成

採用担当としては、主に理系大学院生をトータルで100名以上採用してきました(そのうち博士も40人ほど)。

また大学では、博士学生のアカデミアや民間企業への就活を支援したり、大学院生向けの「就活・社会で役立つセミナー」を企画・実施しました。

私の経歴は以下となります。
ABOUT(担当者) | Science Career Support (amebaownd.com)

企業研究職×採用担当×大学院生キャリア支援者 という独自の3つのキャリアを歩んだことで見えてきたことがあります。それは、「理系大学院生には、理系大学院生特有のエントリーシートの書き方がある!」ということ。

この記事が理系大学院生の方、または大学院進学を考えている理系の皆さんのお役に立てば幸いです。

※過去の記事はこちら
▶「研究と就活、どちらも諦めなくていい!」企業研究職×採用担当が教える、理系・学生生活の過ごし方
「採用担当が教えます!あなたに最適な就活準備」 理系学生が、研究と就活の両方で成功するための過ごし方

理系大学院生のエントリーシートを 1,000 通以上評価してきた講師が、「企業はどこをポイントにエントリーシートを見ているか」、分かり易くお話しします

「自分が書いたエントリーシート、企業にはどう見えているのかな?」

「どんな風に読まれているのかな?」

みなさん、気になりますよね…。

エントリーシートを書く際に「相手(企業)を意識すること」は非常に大事です。

始めにエントリーシートを書く際の心構えを知ることから始めましょう。

筆者作成

このように、敵(企業)について正しく知り、己について正しく知れば(自己分析)、百戦危うからず(合格・内定)に近づけます!

この心構えに従って以下の項目をお伝えします。

筆者作成

【敵を知る】企業はエントリーシートで何を重視してるの?

興味深いデータがあります。

「学生がアピールしている項目と、企業が重視している項目がズレている」、というデータです。

筆者作成

上図を見ていただくと、企業が重視している青のグラフと、学生がアピールしている赤のグラフで、大きな乖離があることが分かります。

ざっくりと伝えると、

  • 学生は「何に属していたか」をアピール
  • 企業は「今後どのように成長しそうか」を見る

という傾向になっています。

青色のグラフをさらに読み込むと、

企業は、「人柄」が「社風にマッチ」して、「今後の可能性」のある学生を探している、

ということが言えます。

つまり、「過去に何に属していたか」ではなく、「過去ではなく、今後の伸びしろはどれくらいあるのか」を見ていると言えます。

なので、学生の皆さんは企業(敵)が求めることをしっかり理解した上で、「自分の人柄、価値感、長所」を正しく知り、「伸びしろ」について正しく伝えることが必須となります。

【己を知る】「3つの極意」を基に書こう!

先ほどの図で分かるように、企業が求める「人柄」、「自社/その企業への熱意」、「今後の可能性」が伝わるようにエントリーシートを書くのが鉄則になります。

とはいえ、これを論理的かつ説得力をもって書くことは簡単ではありません。

そこで私は以下の「3つの極意」を大学院生に伝えて、エントリーシートを書くように指導しています。

筆者作成

まず最初に、自己分析・しっかりとした「自分軸」の構築をする必要があります。

これを定めることがエントリーシートを作るための第一歩です。

と言われても、

「自分軸」って何?

どうやって構築すればいいの?

と思われるでしょう。

私なりの構築方法はこちらになります。

筆者作成

このように、「過去の決断」の「根拠」を分析することで、自分の価値観=「自分軸」を知ることができます。

これをブレない軸として持ち、エントリーシートに臨んでください。

次は志望度の話です。

実は企業側は皆さんの想像以上に志望度を気にしています。こちらに企業の採用担当者を対象としたアンケート結果があります。

筆者作成

このように、高い志望度は大きな武器になります。

しかし「選考に有利になるから、志望度を上げてからエントリーシート書いてね」と言っても上がらないと思います。

なぜなら、志望度とは「自分軸」に合致するかどうかで変わるものだからです。

すなわち、「自分軸=自分の価値観」にあった企業と出会えたら、自然と志望度は上がります。逆に、どんなに有名で人気のある企業でも、「自分軸=自分の価値観」に合わなければ、志望度は高まりません。

ですので、原点は「自分軸=自分の価値観」です。

これに合う企業を分析し、話を聞いて、絞っていくこと自体が、「志望度を上げる」ということになるでしょう。

なので、私はエントリーシートは「数」より「質」が大事だと思っています。

志望度が高い企業に心を込めてエントリーシートを書いていきましょう。

最後の極意は、「物事に対する取り組み方・考え方・意欲」です。

この点が、理系大学院生に特有のポイントになります。

以下、まとめてみました。

筆者作成

いかがでしょうか?

先にお伝えした通り、企業は「今後の可能性」のある学生を探しています。

今後の可能性を予測するために、学生時代の「物事に対する取り組み方・考え方・意欲」を見ています。

この力は、研究分野に依存しません。

つまり、「物事に対する取り組み方・考え方・意欲」が高い方は、分野外であっても採用選考では高評価を得やすくなると思います。

以上が「己を知る」の説明でした。

理系大学院生のエントリーシートの書き方

以下にまとめていますので参考にしてください。

筆者作成

まず、自分の研究分野より、広い視野を意識して伝えることが重要です。

なぜなら、企業はイノベーションに貢献できる異分野融合ができる人材を欲しています。

さらに、企業では社内異動がありますが、そうなったときでも分野外の仕事もしっかりできる人材にきてほしいと思っているからです。

そして、ただ研究が好きなだけではなく、「自分が(研究などで)貢献したい」と思っていることが、企業が掲げる「研究開発ビジョン」に合致しているとマッチ度が高いエントリーシートになります。

ぜひ上図を意識してエントリーシートを書いてみてくださいね。

STARメソッドを意識して書こう!

最後に、エントリーシート作成と面接に役立つSTARメソッドをお伝えします。

STARメソッドは、Situation(状況)、Task(任務)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取った言葉です。あなたの過去の実績や行動をこの手法で掘り下げて質問することで、面接官はあなたの思考・行動の特性を分析し将来の仕事ぶりを推測します。

逆にこのテクニックを知って、それをES、面接で表現できれば、面接官が期待する回答をすることが可能なのです。

具体的には以下のポイントを意識しながら、エントリーシートにエピソードを書いていくことになります。

筆者作成

筆者作成

いかがでしょうか?

STARメソッドを意識すると、自分らしさを「正しく」相手に伝えることができます。

ぜひ活用してみてくださいね。

今回は、「採用担当が教えます!」理系大学院生のエントリーシートの書き方 という内容で記事を書かせていただきました。

次回以降の記事では、

  • グループディスカッションの勝ち抜き方
  • 面接で100%実力を出し切る方法
  • 入社する会社を決める際の心構え

など、エントリーシート以降をどのように自分らしく戦っていくか、についての内容をお届けします。お楽しみに!

板倉朋宏

板倉朋宏

大学院まで薬学部で学び、東証一部上場の製薬会社に研究職として入社。
11年間の研究生活を経て、同社の人事部に異動し、理系・大学院生の採用を担当(博士採用も含む)。採用職種は、研究職、開発職、生産技術職、データサイエンス職等。
担当業務は、ES審査、GD審査、1次・最終面接の審査官など、すべての採用業務を担う。
5年半の採用担当を経て、大学に派遣され大学院生(主に博士)に特化したキャリア支援業務に従事。現在に至る。国家資格;キャリアコンサルタント、薬剤師。資格:データサイエンティスト(リテラシーレベル)

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