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理系就活Q&A 面接の心得

「面接の上手さとはどういうことをいうのでしょうか?」:理系就活Q&A 第4回

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こんにちは。サインキャリアデザイン研究所の篠原です。フリーランスのキャリアコンサルタント(国家資格)として学生向けのキャリア支援を行っており、理系大学を含む複数の大学でキャリア科目・就職支援講師として活動しています。人材業界でも17年間、企業の新卒採用支援や自社の採用業務、新入社員の教育担当などを行っていましたので、採用企業が新入社員に求めているもの、新入社員が会社に求めているもの両方を知っていることを強みとしています。

ある理系大学では長年にわたって、多くの学生の皆さんの就職活動における迷い、悩み、頑張りに触れてきました。また企業の方たちと協力して理系向け就職セミナーや、技術職社員の方たちとの座談会などの運営経験もあります。そうした活動を通じて実感してきたのは、就職活動という場そのものが、学生さんそれぞれの気付きや見直し、成長のステージになり、いかにそこから逃げずに向き合っていくことが大切であるかということです。

このシリーズでは、そんなこれまでの実際の先輩たちの就職活動における成功や失敗の事例も多く取り上げながら、よりリアルに理系の就職活動の進め方をイメージしていただける記事を発信できればと考えています。

第4回目の今回は、面接のコツをお届けします!

面接に向けて聞かれそうなこととその回答の準備を進めていますが、どんなところが見られているのか分からず、本番の雰囲気を想像するだけで緊張に負けそうで不安です。面接の上手さとはどういうことをいうのでしょうか?

面接で一番見られている意外なこと

面接では何が見られているのか?どんなところが評価されているのか?面接に臨む側としてはとても気になるところではないでしょうか?毎年ある就職ナビサイトが、企業の採用担当者に対して「面接時に注視するところ」というアンケート調査を行っています。その調査によると、毎年2位以下を大きく引き離して圧倒的1位になるのが「明るさ・笑顔・人当たりの良さ」となっています(2:入社したいという熱意、3:素直さや伸びしろ等の成長可能性) 。

この結果を大学でのガイダンスなどで共有すると、大体多くの学生は「え?」といった意外そうな反応を示します。中には「まるで子供に言っているような感じ」と発言してくれた学生もいました。多くの学生は、この調査結果に対して「何のために必死に話す練習をしてきたのか?」と思うかもしれません。しかし、かつて採用を担当してきた私としても、この「明るさ・笑顔・人当たりの良さ」は最も大切だと実感するところです。なぜならこれらは、人との向き合い方そのものを示すものだからです。皆さんも一度想像してみてください。例えば今日初めて会う人と対面した瞬間、その人が無表情で自分を見つめてきたとしたら、「……ん?こちらの出方を探っている?」と思うのではないでしょうか?逆に笑顔で向き合ってくれていたらどうでしょう?「自分から良い関係を築こうとしてくれている」と思うのではないかと思います。

このように笑顔には相手に対する働きかけ、誠実さ、思いやり、自発性、協調性、主体性などの強い能力が凝縮されています。先の調査は、自分から発揮する笑顔が持つ意味がいかに大きなものであるかを示す結果であると言えるでしょう。面接はとにもかくにもまず笑顔から。これを心がけたいですね。

初めての模擬面接のときが一番上手かった学生

大学で模擬面接をしていると、初めて模擬面接した時が、ある意味一番上手かったと思う学生が多くいます。初めてだからソワソワもしているし、質問されたことにスラスラ答えられるわけでもありません。ほとんどがその場でのアドリブでの回答になるわけですが、それがむしろ本来のその学生らしさが発揮されているのです。質問に対していちいち驚いたり、照れ笑いしたりしながらも一生懸命に答えを考え、自分の言葉で頑張って答えてくれます。ほとんどが初めての質問ばかりなので、当然、自分の言葉でしか答えられないわけですが、逆にいえば何かを覚えて話すでもなく、素直な自分の言葉で答えることができるということです。また、次にどんな質問がされるか気になって仕方がないため、こちらの質問にも身を乗り出すように真剣に耳を傾けています。こうした姿勢はとても好感が持てます。仕事を進める上では、うまく話すことと同程度、あるいはそれ以上に、相手の話をきちんと聞いて相手の真意を引き出す能力(傾聴力)が大切です。相手の話を聞く姿勢ができているかどうかも、面接では見られています。

練習を重ねるたびに面接が下手になっていく学生

では、練習や本番の面接を重ねるたびに、ある意味下手になっていくパターンとはどのような感じなのでしょうか?それはあまりにもスラスラ簡単に話せるようになってしまうことを指します。以前、個人面談の空き状況を見つけては何度も模擬面接を予約する学生がいました。私も予約してくれた以上、毎回その模擬面接に付き合いました。いつしか話す内容はスラスラ完璧になりましたが、逆に機械的になり、その言葉からは気持ちや感情が伝わってこなくなりました。そのことをフィードバックしたのですが、その時点でまだ本人は軽く受け止めている程度でした。しかし、後日面接を受けた企業で、実際に面接を担当された方からこんなアドバイスを受けていました。「今日の質問は全て当社として君に初めて聞く質問だったわけですが、君にとってはおそらくもう何回も話されてきた内容だったのでしょう。あまりにいとも簡単に話され、私たちに聞いてもらおう、自分を知ってもらおうという気持ちが伝わってきませんでした」残念ながらその企業にはご縁をもらえなかったのですが、本人はただスラスラ話すというこれまでの準備を改める大切な機会になりました。同時に私もまた模擬面接の在り方を見直す機会になったのは言うまでもありません。

面接は自分の回答こそ正解

普段、SNS上でも多くの学生の皆さんとの就職活動における質疑応答を行っていますが、そこではよく「こんな質問をされたらどう答えるのが正解ですか?」という質問が届きます。非常に頻繁に質問される内容ですが、そんな時にはいつも、ある学生が自ら気付き、話してくれたことを紹介しています。それは「よく考えたら面接は自分のことを聞かれているわけなので、自分が答えることは全て正解ですよね?公式とか歴史の年表みたいに何か暗記して準備する必要もないし、そう気付いてから面接は急に気が楽になりました」というものです。また、別の学生の話を紹介することもあります。「しっかり自己分析して、私のこの話をぜひ聞いてほしいと思えた時から、面接は一つの楽しみに変わりました」。 私自身、大学で行う模擬面接では、受け答えの良し悪しを評価するのではなく、本人の回答を掘り下げながら、本人もまだ気付いていない、「これだ」といえる本人の武器を見つけることに力を入れています。そしてそれをフィードバックすることで自信を付けた学生は、面接で嬉しそうにその話を面接官に紹介します。もちろん明るく笑顔でイキイキと。そうやって自分を出し切れた面接は、無事に内定を得られることが確実に多いのです。ぜひ皆さんもスラスラ話すために練習するのではなく、またどう答えれば正解かと延々と探り続けるのでもなく、しっかり自己分析を行い、自分の経験や考え方という自分の正解を、胸を張って答えられるようになりたいですね。

最近流行りの間違った回答テクニックとは?

ここ何年か、SNS上でもよく見かけるようになった、間違いだと言い切りたい面接回答テクニックというものがあります。それはわざと短く話したり、抽象的に話したりして、面接官からの深掘り質問を待つ、というものです。もちろん、たまたま回答が少し抽象的になってしまい、面接官もより詳しく聞きたいから再度掘り下げて質問するという場面は普通によくあります。しかし、このテクニックに悪質さを感じざるを得ないのは、まるで面接官との言葉の駆け引きをするかのように「わざと」そうするところです。実際に、私の採用担当時代でもこのような駆け引きは見られましたし、今も模擬面接の場で多く見られますが、残念なのは本人が意図的に深掘りを誘おうと、短くあるいは抽象的に話し終えている様子がハッキリとその表情などから伝わってくることです。何か「してやったり」といった表情になっているのです。面接官からしても、お互いの人としての信頼を築いていきたい場で、まるで言葉のゲームでもされているような応対に、残念な気持ちになってしまうことは想像に難くありません。

相手の理解を重視する論理的な回答とは?

ここで改めて整理しておきたいのは、面接で一番大切だといわれる笑顔が相手のためであるように、質問に対する回答も、何より相手の理解のためということです。そのために発揮したいのが論理的表現力であり、簡単にいえば、結論+根拠の組み合わせを指します。例えば、長所を聞かれたら、長所の結論とそれを裏付ける事例(根拠)をワンセットで伝えるイメージです。「私の長所は~なところです。例えば物流センターでのアルバイトでは実際に~なことがあったのですが、そこで私は~することで解決することができました」これが結論と根拠をワンセットで伝え、面接官の客観的理解に努めることです。結論と根拠は、「例えば」「なぜなら」「というのも」などの接続詞でつないでいくイメージを持つと、回答の流れも整理しやすくなると思います。また、論理的説明が上手い人は「例えば」という言葉を多用します。それは、実際にあった事例を根拠として紹介することで、より客観性を高めるということです。これは面接だけでなく、グループディスカッションなどで自分の意見を述べる際にも役立ちますので、ぜひ皆さんも「例えば」を駆使した説明力を磨いていくことをお勧めします。

オンライン面接特有の注意点

2020年の春から拡大した新型コロナによって、面接での新たなスタンダードになったのがオンライン面接です。オンライン面接が主流になることで、企業側としても応募者が増えるなどのプラス効果があり、新型コロナ収束後もオンライン面接は対面面接とバランスを取りつつ一般化していくことが予想されます。オンライン面接は、いくつかの落とし穴と、より意識して実践すべきことがありますので、最後に少し触れておきたいと思います。

まず、落とし穴として筆頭にくるのは、声のトーンの暗さと低さです。オンライン面接は自宅から受けることが多いと思いますが、その際にまるで普段自宅で家族と話している時の低い声のトーンのまま面接をしてしまう姿が多く見られます。これを私は「自宅声」と言っていますが、まるで自宅の魔力に引き寄せられるかのように、テンションの低い声になることは避けたいです。表情も同様です。表情も、普段自宅にいる時のようになってしまい、面接官が引いてしまったということもよく聞きます。冒頭で触れた笑顔の大切さはオンライン面接でもしっかり認識しておきたいですね。また、自分の表情や熱意をしっかり伝えるためにも、質問の回答時にはWEBカメラを直接見ながら話すことをお勧めします。面接官側から見ると、自分たちと目が合っている状態になり、伝わる力もより強くなります。一方で、そんなアドバイスをすると「何か見ながら話せないではないか」という人もいるかもしれません。ですが、オンライン面接とはいえ、エントリーシートなどを見ながら話していいわけではないことも知っておきたいところです。あくまで、本来対面で進めるはずの面接がオンラインに切り替わっただけで、対面での面接同様、何かを見ながら話すわけではありません。そんな意識の差も評価されるのがオンライン面接だといえます。

まとめ

以上、今回は面接でのコツについてお伝えしました。明るく笑顔であることの重要性や、論理的に回答するための方法、そしてオンライン面接の注意点など、いろいろなポイントがありましたが、その根本にあるのは「相手のため」という意識です。相手のためのコミュニケーションを心がけ、本来の自分自身を出すことができれば、理想の面接に近づいていけるはずです。頑張ってください!

※記事内の画像はすべて著者作成

篠原功治

篠原功治

キャリアコンサルタント
サインキャリアデザイン研究所代表・国家資格キャリアコンサルタント・JCDA 日本キャリア開発協会会員
2009年に学生・若年者を対象としたキャリア支援活動を事業とするサインキャリアデザイン研究所を立ち上げる。理系向け就職セミナーや技術職社員との座談会・パネルディスカッションをはじめとする理系大学生向けのキャリア支援にも長年携わっており、現在は大学でのキャリアデザイン科目・就職支援プログラム講師、企業・就職支援機関とコラボレーションした学生向けキャリア・就職支援プログラムの企画・実施、企業における営業研修などを務める。

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