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新卒ルーキーが第一線で活躍!生命科学専攻×潤滑油メーカーがもたらす化学変化 理系のキャリア図鑑vol.5 株式会社イチネンケミカルズ | リケラボ

新卒ルーキーが第一線で活躍!生命科学専攻×潤滑油メーカーがもたらす化学変化

理系のキャリア図鑑vol.5 株式会社イチネンケミカルズ

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多種多様な理系のキャリア。世の中には、面白い仕事ができる企業や意外な経歴を持って活躍している理系人が大勢います。このシリーズでは、理系ならではのさまざまな仕事や、キャリアストーリーをご紹介。ときには悩み、迷いながらも、イキイキとはたらく理系人の姿を通じて、あなたらしい“理系のはたらき方”のヒント、見つけてください!

今回は、株式会社イチネンケミカルズの研究開発本部で働く、平林海恒さん(新卒2年目)と、柿原麻衣さん(新卒1年目)にお話を伺いました。工場や発電所、船舶などのボイラーで使用される「燃料添加剤」の開発に携わる平林さんと、インクジェット用フィルムの開発を担当している柿原さん。

お二人とも、新卒1年目・2年目と、とてもフレッシュ。そんなお二人にだからこそ聞ける、お仕事の頑張りや、就職活動時のリアルな心境の変化などを伺いました。お二人とも就活開始時と終了時では、志望職種や業界が大きく変わったのだとか。そして現在はとてもイキイキと今のお仕事に取り組んでいらっしゃいます。就活を控えた学生の方は、ぜひ読んでみてください!
(※所属などはすべて掲載当時の情報です。)

株式会社イチネンケミカルズ
東証一部上場のイチネンホールディングスを親会社とする化学メーカー。1953年、船舶用燃料添加剤の販売をスタートして以来、「住みよい環境・省エネ・人々の生活向上」という企業理念のもと、幅広く事業を拡大。業界トップシェアを誇る「燃料添加剤」のほか、自動車用ガラスクリーナーの「クリンビュー」をはじめ、潤滑・防錆剤や各種洗浄剤、補修塗料など、幅広くケミカル製品の開発・販売を行なっている。

平林海恒さん│国内で数社しか手掛けていない「燃料添加剤」の開発

私が担当しているのは「燃料添加剤」の製品開発です。「燃料添加剤」とは、あまり聞き慣れないかもしれませんが、主に工場や発電所、それから船舶などにあるボイラーで、燃料に混ぜて使うものです。ボイラー内では、重油や石炭などの燃料を炊くと、燃料中の成分が化学変化を起こしていろいろな悪さをします。たとえば、灰や不燃物が固まった岩のような塊(=クリンカ)が、ボイラー内の管に溜まってしまい、そのまま放っておくと、最悪の場合工場の機能が停止し、たいへんな損失が出てしまう恐れがあります。また、塊が落下すれば設備が損傷したり、点検中など人がいるときに落下すれば命の危険もあります。ボイラーは頻繁に停止させられるものではないので、こまめに掃除するのもなかなか難しいですし、たとえ掃除しようとしても、鉄の塊のようにガチガチに固まってしまっていて、そう簡単には取り除けません。そこで、この困った塊ができるのを抑制するために、「燃料添加剤」が使われます。

△ボイラー内にできてしまう“塊”の一種「石炭クリンカ」

当社には、数種類の燃料添加剤製品があります。さきほど説明したクリンカが付着するのを防ぐための添加剤のほか、燃焼を促進するものや煙を防止するもの、環境に影響を与える恐れのある排出物を減らすためのものなど、用途に応じて使い分けられるようになっています。

現在、私が主に担当しているのは、船舶用の新しい添加剤の開発です。営業担当者から、「お客さまから、こういう添加剤がほしいと言われている」と伝えられた要望をもとに、どんな原料を使えばいいか、日々試行錯誤しています。お客さまからの要望としては、できてしまったクリンカを脆くして取り除きやすくできるようにしたいという声や、燃焼効率をさらに良くできる添加剤が欲しいといった声があります。まだまだ先輩の指導を受けながらですが、今はいくつかの原料を500mlくらいのスケールで混ぜてみて、ちゃんと安定したものができるか、変な反応を起こさないかなどを確認し、どんな原料を使ったらいいのか調べているところです。

化学原料の知識だけでなく、ボイラーなど設備についての知識も必要になってくるため、勉強することが多く大変ですが、インフラを支える仕事をしているというやりがいも感じています。また、ボイラーの安全な稼働をサポートすることは、トラブルによる損失や人の命を守ることにもつながるため、大きな責任も感じていて、それがやりがいでもあります。

入社後一年間は分析の部隊でクリンカの成分や性質を分析し、どのような添加剤が効くのか調べる仕事をしていたので、そのときの経験や知識も活きています。もともとものづくりが好きなので、「原料は何を使えばいいかな」と試行錯誤するのも楽しいです。

やりたい職種を優先!必要なのは専門分野の外にも踏み込む勇気

学生時代は生命医科学を専攻していました。大学ではショウジョウバエを解剖して、がんがどのような経路で起こるのか調べたり、大学院では、がんのタンパク質を解析したりしていました。身近に、がんで亡くなった人がいたこともあって、小さいころからがんやDNAに興味を持っていたんです。

周りには製薬会社を目指す人が多く、私自身も就活のときには製薬、食品メーカーなども視野に入れていました。実は当時、研究が大変でしんどくなってしまったこともあり、「研究開発職ではなく、営業をやろう」と考えていたこともあったんです。でも、営業職を目指して就活を進めて、先輩社員の方から話を聞くうちに、「やっぱり自分はものづくりが好きだし、研究開発のほうが向いているだろうな」と気づいて、途中から研究開発職志望にチェンジしました。それで、大学に求人が来ていたことでイチネンケミカルズを知り、調べてみたところ私が幼いころから家族が使っていた自動車用のくもり止めクリーナーの「クリンビュー」を作っている会社ということがわかり、親近感も湧いて受けてみることになったのです。最終的には、製薬会社の営業職や食品メーカーの検査業務の仕事でも内定をもらっていましたが、研究開発ができて、社風も自分に合っていると感じたイチネンケミカルズへの入社を決めました。

生命医科学と今の仕事では分野的にもまったく違う領域なので、最初は「ついていけるのかな」と、かなり不安もありました。それでも、「やってみればなんとかなるだろう」と踏み込んでみて、実際になんとかここまでやってこられています。

専門分野は違っても、学生時代の経験を活かせる機会は結構多いと感じています。実験に使用する基本的な化学薬品や、実験機器の使い方は、共通することも多いですし、報告書を作るときの文章の書き方なども、大学時代に培ったものが活かされていると思います。

「自分が開発した」と胸を張れるように

今はまだ、添加剤の開発を担当するようになって半年ほどで、先輩についてもらいながら仕事をしています。早く独り立ちできるように、製品や、ボイラーなどの設備について社内の資料を読んだりしながら勉強しているところです。いずれは「製品のことなら私に聞いてくれ」と自信を持てるような先輩になっていきたいと思います。

当面の目標として、まずは「自分が開発した」といえる製品を完成させたいです。今開発している燃料添加剤を、お客さまに高い効果を実感してもらえるような製品にできたらと考えています。先輩たちから聞く話では、お客さまから「よくなったよ」などのうれしい言葉をいただけることもあるそうなので、私も良い感想をいただけるよう頑張りたいと思います。

柿原麻衣さん│原料の知識が増えるほど、できることが広がっていく

私が所属している「ファインケミカル営業部」は、表面処理技術や液体分散技術を応用して、本当にさまざまなものづくりをしています。そのなかで私が担当している製品のひとつが、ペットボトルのラベルなどをインクジェット印刷に対応させることができるフィルムです。通常、ペットフィルムは表面がつるつるしているため、インクを吸収できませんが、特殊な塗料でコーティングすることで印刷できるようになります。

具体的に今進めている仕事としては、さらなる改良につなげるための検証です。フィルムをコーティングする塗料は、温度の変化によって粘度が変化するなど、環境によって塗りやすさが変わることがあります。そこで、さらに安定性を高めるために、高温下での状態をしらべたり、粒子の分散状態を調べたりしています。

今はまだ新卒一年目で、原料についての知識を増やすのに必死ですが、上司から教わったり、講習会に参加したり、原材料の展示会に行って情報を仕入れたりしているところです。「この原料にはこんな特性がある」など、原料の知識が増えれば増えるほど、引き出しが多くなっていく感覚をうれしく感じています。そして、実際に初めて使う原料で実験をしてみながら、どんどん使える原料が増えていくというのがすごく楽しいです。知識も増えるし、できることが増えていく喜びがあります。
また、私が扱っているのはOEM製品なので、社外の方とも直にやりとりをすることがあります。そのときに「前より良くなった」という反応がいただけるのもやりがいです。

【就活】やりたいことが決まっていなくても、とにかく早めに考え始めよう

学生時代は、農芸化学を専攻していました。大学では、植物に含まれる薬効成分のある酵素を特定して、大学院ではその酵素の構造を遺伝的に制御する研究をしていました。
理系の道へ進むことになった原体験は、小学生のころの総合の授業で、冷凍食品の添加物を調べたこと。そのときにビタミンの構造を図鑑で見て、「なんでこんなにきれいなんだろう」と感動したのを覚えています。そこから食品に興味を持ち、いずれは食品業界に進めたらと考えて、大学進学時に農芸化学を選びました。

その後、大学で勉強するうちにいろんなことに興味が出てきて、就職活動を始めるころには「これが絶対にやりたい」という業界や分野を決められなかったんです。そこで、逆に幅を広げてみて、「とりあえず“化学”に興味があるのだから、化学の会社にしよう」と、化学メーカーを受けることにしました。

実は私は、やりたいことがわからないあまり、最初はなんとなく公的な食品分析機関などの公務員を目指そうかなと考え、実際に公務員の勉強も始めていました。でも、併願先として民間企業の説明会にも参加するうちに、「やっぱり私はものづくりが好きだし、製品の開発をしたいな」と気づき、就活シーズンが始まってから民間企業志望にシフトしました。初めにちょっと出遅れてしまった分、就活中はちゃんと決まるか不安もあったので…これから就活を始める学生のみなさんは、研究も忙しいと思いますが、きちんと早めに考え始めるとよいのではないかなと思います。

また、公務員を目指したのもなんとなく「定時で帰れそう…」というイメージからだったのですが、今も18時ごろには会社を出られています。女性の先輩が、出産後も職場復帰していますし、研究所が新しく設備が充実していることなども、やりがいにつながっています。公務員以外でも自分が希望する仕事環境があるとわかり、あまり思い込みに流されて就活をする必要はなかったんだな、と実感しているところです。

とにかく今は、知識を増やしたい

とにかく知識を増やすことが直近の目標です。そしていずれは、お客さまから要望をいただいたときなどに「これを使えばいいのでは」と、すぐにイメージできるよう、引き出しを増やしていきたいです。
それと、今はOEM製品に携わっていますが、将来的には店頭に並ぶような製品づくりにも関わって、「私が作った」と言えるものを開発できたらと思います。

編集部より

「まだまだ勉強することばかりです!」と、とてもフレッシュな姿勢で、日々新しい知識を得ながらお仕事に取り組むお二人。化学とは専門の異なるお二人を採用した理由をイチネンケミカルズさんに聞いてみたところ、「新しいテーマに取り組む意気込み」と「真摯な姿勢」が最大の決め手だったそうです。“誠実さとチャレンジ精神”があれば、専攻分野と異なる企業でも採用の可能性が十分にあるということですね。それに、入社後の活躍の秘訣にもなっているようです。

最初は今と違う道を目指していたお二人。最終的に「ものづくりが好き」という自分自身の想いに気がついて、イチネンケミカルズでのやりがいあるお仕事に出会うことができました。これから就活を始める学生の皆さんに、「自分の軸は早めに決めたほうがいい」とアドバイスしてくださいました。お二人とも、子どものころから工作をしたり、絵を書いたりするのが好きだったとのこと。幼少期に好きだったことを振り返ってみても、ヒントが見つかるかもしれません。また就活を通じて、具体的な仕事内容や色々な会社を知っていく過程で、軸が定まっていくことはよくあります。初めは思い込みを捨てて、可能性を広げて調べてみることも、納得のいく就職をするために大切なプロセスと言えそうですね。

皆さんが、イキイキと輝ける仕事に出会えることを心から応援しています!

<関連過去記事>
自分の軸の見つけ方
・自己分析の簡単なワーク https://www.rikelab.jp/work/1745
・自分の強みを発見するワーク https://www.rikelab.jp/work/2058

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リケラボ編集部

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