おもしろ実験や親子で楽しめる理系企画など、理系ゴコロをくすぐる情報が盛りだくさん。
家や学校、公園などどこにいても、不思議なことがいっぱい!
「なぜ?」「どうして?」が科学でわかると、いろいろなことを観察するのが楽しくなるよ。
今回は、「氷の不思議」をのぞいてみよう!
氷って何色?
みんなは「氷って何色?」って聞かれたら、何て答える?
白?透明(とうめい)?
氷の色は、できた場所によって違うことがあるんだよ。
たとえば…
池の水が凍(こお)った氷は → 色がなくて、透明なことがある
家の冷とう庫で作った氷は → 真ん中が白くなっていることが多い
どうして色が違うんだろう? そのひみつにせまってみるよ!
白いもの=空気+塩素(えんそ)
家の冷とう庫で作った氷は、白いよね。
じゃあ、その「白いもの」って何だろう?
実は、白いもの=水の中に溶けている「空気」+「塩素」など、なんだ。
氷を作る時に使う水道水には、自然界の水より「空気」や「塩素」がたくさん溶けているんだよ。
そのわけは…
水道管の中の水は、水道管にギュ〜っと押される力のせいで、無理やり「空気」がたくさん押し込まれているからなんだ!
「塩素」っていうのは、水をキレイにするために入っている「消毒液」みたいなものだよ。
学校のプールは、ちょっと不思議な匂いがしない?その正体が、この「塩素」なんだ!
「氷のバリア」が、空気や塩素を真ん中に閉じ込める
なぜ白いのは真ん中なの?
でも家の氷をよ〜く見てみて。
白いのは真ん中の部分ということがわかるね。
どうして、外側は白くないんだろう?
それは「外側の水から、先に凍っていって、空気や塩素が真ん中に集まるから」なんだ。
少しむずかしいかな?
ひとつずつ説明するね。
コップに水を入れて、それを冷とう庫に入れたとしよう。
冷とう庫に入れた水は、冷たい場所に近いところ=「コップの外側」から凍っていくよ。
外側から凍っていくと、空気や塩素は「真ん中の、まだ凍っていない水のところ」に動いていくんだ。
これは「空気や塩素が、氷よりも水に溶け込みやすい」からだよ。
さらに、この真ん中の部分は、後から凍っていくんだ。
「『余計なもの』が溶け込んだ水は、キレイな水よりも凍りにくい」っていうせいしつがあるからね。
まるで、氷のバリアで空気と塩素を閉じ込めているみたいだよね!
なぜ白いの?
じゃあ、空気や塩素は、なぜ白く見えるんだろう?
それは、空気や塩素に光が当たって、色々な方向にはね返るからだよ。
そのはね返った光を私たちが見ると、白く感じるんだ。
「キレイ」「ゆっくり」「すてる」で、氷は透明になる!?
「氷が白くなる理由」がわかれば、透明な氷を家で作れるよ。
透明な氷を作って、おうちの人をびっくりさせちゃおう!
大体この3つの工夫をすれば、できるはず!
- 空気や塩素が少ない水を使う
- ゆっくり凍らせる
- まだ凍っていない、水の部分はすててしまう
実際に「透明な氷づくり実験」をやりながら、説明していくね!
空気や塩素が少ない水を使う
まずは、「空気や塩素が少ない水」を準備しよう!
白いもの=「空気」+「塩素」だから、これがなければ、白くならないはず。
今回は「水道水」を使うことにするよ!
「え?水道水は、使っちゃダメなんじゃないの?
空気や塩素が溶けているから、凍らせると白くなっちゃうんじゃないの?」
と思ったかもしれないね。
その通り!
水道水をそのまま使うと白くなっちゃうよね。
でも、水道水をそのまま使うんじゃなくて、ふっとうさせれば、空気も塩素もにげていくんだ。
空気や塩素は、熱い水に溶けているのが苦手だからね。
ちなみに、レストランでは透明な氷が出てくることがあるよ。
レストランで氷を作る時は「ミネラルウォーター」を使うことが多いんだ。
ミネラルウォーターは山の水を安全に管理した水で、消毒するための塩素は入っていないし、水道管の中でギュ〜っと押されているわけでもないから、空気が少ないよね。
だから、レストランの氷は透明なことが多いんだよ。
ゆっくり凍らせる
次に、念のため、「氷のバリア」ができないような工夫もするよ。
それは、ゆっくり凍らせること!
ゆっくりだったら、一気に外側が凍るんじゃなくて、少しずつ凍っていくよね。
ゆっくり凍らせているその間に、少しでも残っている空気や塩素は、外ににげることができるんだ。
そもそもなんだけど、「水道管の外に出てきた水道水」の中の空気は、
「解放された!早く外に出たい!」と思っているよ。
だって、やっとギュ〜っと押されなくなったから!
つまり、長い時間水のままでいてくれれば → 空気も塩素もドンドン外ににげていくんだ。
ちなみに、レストランの冷とう庫なら、これが簡単にできるよ。
家の冷とう庫より、温度がずっと高いからね。つまり、水をゆっくり冷やすことができるんだ。
「だったら、家の冷とう庫だと、透明な氷はできないんじゃ?
温度が低すぎて、すぐに外側に『氷のバリア』ができちゃうから…
真ん中に空気や塩素が残って、白く見えちゃうんじゃないの?」
と思うよね。
その通り!
でも、そんな家の冷とう庫でも、レストランのように「ゆっくり凍らせる」ことができる裏ワザがあるから教えるね。
この右側のコップのように、タオルを巻いて冷とう庫に入れれば、ゆっくり凍らせることができるよ。
どうしてだと思う?
それは…
◆コップに、冷とう庫の冷たさが、伝わりにくくなるから
◆コップの中の水の温かさが、長い時間たもたれるから
だよ!
まだ凍っていない、水の部分はすててしまう
さらに、「少し凍ったら、まだ水の部分はすてる」と、透明な氷になりやすいよ。
どうしてだろう?
それは、「まだ水のままになっている部分に、空気や塩素が溶けている」からなんだ。
「空気や塩素は、氷よりも、水の方に溶けやすい」っていう話をしたよね。
つまり、少し氷ができはじめると → 空気や塩素は、水の方に動いていくんだ。
だから、この水の部分は、凍る前にすてちゃえば透明な氷の完成度がアップするよ。
そうやって実験した結果が、この氷だよ!
ちがいがわかるかな?
ちがいがわかるように、うしろのかべを黒くしてみたよ。
上から見るとよくわかるね!
左側のコップは
◆普通の水道水
◆コップに水を入れて→ そのまま冷とう庫に入れた
◆少し凍った後 → まだ水の部分もすてず、全部凍らせた
もの。
右側のコップは
◆ふっとうさせた水道水
◆コップに水を入れて→ タオルを巻いて冷とう庫に入れた
◆少し凍った後 → まだ水の部分はすてた
ものだよ。
「白くなる理由」を考えながら実験すれば、透明な氷作りがうまくいったね!
いろいろためしてみよう
「空気や塩素は氷よりも水に溶け込みやすい」ってことがわかったよね!
今回は水をふっとうさせたけど…そのままの水道水を使ったら、どうなるだろう?
ゆっくり凍らせて → まだ凍っていない水の部分を捨てれば → 透明になるのかな?
ふっとうさせた水を使っても、はやく凍らせたら → 白くなっちゃうのかな?
材料や方法を少し変えると、実験の結果が違うかもしれないよね。
ぜひ、いろいろ試してみてね!
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