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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。
今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「ローストビーフ」。低温調理で、しっとりジューシーに仕上げるコツを詳しくご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
ローストビーフの再現方法とその考察
目的
低温調理で、しっとりジューシーなローストビーフを作る
方法
〈材料〉2人分<
- 牛ももブロック肉…400g(厚さは5cmほどが望ましい)
- 塩…小さじ1
- あらびきコショウ…小さじ1/2
- にんにく…1片(スライスしておく)
- オリーブ油…大さじ1
〈手順〉
■下準備
- 肉に塩、あらびきコショウ、にんにく、オリーブ油をすり込み、ラップで包む。
- 室温になるまで[1]を常温に置く。(30分~1時間程度)
- フライパンを熱し、強火で肉のすべての面に焼き色をつける。(焼き時間は各面30秒程度を目安に)
- 再びラップで包み、チャック付き密閉袋に入れて空気を抜く。
■調理
- 鍋に水を入れ(肉がしっかりと浸かる程度の量)加熱し、60℃になったら火を止める。
- [4]の肉を湯に入れる。
- 湯の温度を55~60℃の間に保ちながら1時間湯煎する。(袋に入れたお肉がしっかりかぶる量の60℃の湯を炊飯器に入れ、保温機能で調理することも可能)
- 湯から肉を取り出し、30分ほど置いて冷ます。
- 袋から取り出しラップをはずして薄切りにし、皿に盛り付ける。
フローチャート内の誤植修正致しました。2023.5.8
結果
しっとりジューシーなローストビーフが完成した。
ポイント/考察
低温調理でおいしいローストビーフを作るには、以下を心がけるとよい。
■下準備
加熱ムラを防ぐため、下味をつけた肉は必ず常温にしばらく置き(30分から1時間程度が目安)、室温に戻す。
■湯煎の温度
タンパク質は約60℃で変性するため、肉の中心温度が60℃以上になると硬くなってしまう。そのため、柔らかく仕上げるには湯煎時の湯の温度は60℃以下に保つことが望ましい。57~58℃程度でゆるやかに加熱することで、ミディアムレア且つ赤い汁も出にくく仕上がる。
※牛肉は表面をしっかりと焼いて加熱殺菌すれば、肉の内部が赤い状態でも問題なく食べることができる。
■ジューシーに保つコツ
ローストビーフは冷める前に切ると肉汁が出てしまい、ジューシーさが損なわれる。そのためしっかりと冷ましてから切ることでパサパサになるのを防ぐことができる。
結論として、おいしいローストビーフを再現するには、
- しっかり常温にもどす
- 肉の中心温度を60℃以下に抑えるため、湯の温度を58℃程度に保つ
- 冷ましてから切る
ことが重要である。
自作するとつい火を通しすぎてパサパサになってしまうなど、ちょっぴりハードルの高さを感じるローストビーフですが、タンパク質の変性温度を意識すれば加熱具合をイメージしやすくなります。今回ご紹介したポイントを押さえれば、しっとりジューシーなローストビーフを作れるはず。ぜひ試してみてください!
理系・文系を問わずレシピに潜む科学現象を理解することは、料理上達への一歩。次回もお楽しみに!
フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 日本料理編』
河内一行ほか/家政教育社
(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)
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フローチャート内の誤植修正致しました。2023.5.8