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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。
今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「ふろふき大根」。おだしの風味がきいたみずみずしいふろふき大根に仕上げるコツをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
ふろふき大根の再現方法とその考察
目的
おだしの風味がきいたみずみずしいふろふき大根を作る。
方法
〈材料〉4人分
・大根 1/2本(約500g)
・米のとぎ汁 大根が浸かるくらい(約800ml)
・昆布 10cm角1枚
・塩 二つまみ(約2g)
・ゆずの皮(せん切り) お好みで
■味噌だれ
・味噌 大さじ4
・水 大さじ3
・みりん 大さじ1
・砂糖 大さじ1
〈手順〉
■下準備
- 味噌だれの材料をすべて鍋に入れてよく混ぜ、弱火でかき混ぜながら煮立たせてさらに2分ほど加熱して煮詰めておく。
- 大根は厚さ3cmの輪切りにし、厚め(5mmほど)に皮を剥く。
- [2]の大根を面取りし、片面に十文字に切り込みを入れる(深さ1cmほど)。こうすることで火が入りやすくなる。
■下茹で工程
- 鍋に大根と米のとぎ汁を入れて強火にかける。沸騰したら中火で30分煮る。竹串がすっと通るくらい柔らかくなったら火を止めて大根を取り出す。
■煮る工程
- 別の鍋に昆布との下茹でした大根、大根が浸る程度の水、塩を入れて中火にかけ、沸騰後弱火で15分煮る。
- 大根を器に盛り、味噌だれをかけて、お好みでゆずの皮を添えて完成。
結果
昆布だしの風味がきいた、みずみずしく味わい深いふろふき大根が完成した。
考察
ふろふき大根をおいしく仕上げるためには、以下を心がけるとよい。
■使用する大根の部位
大根は、部位によって味わいや食感に違いがある。ふろふき大根に使用する場合は中央部がおすすめだ。味のバランスがとれており柔らかく、旨味も強いため煮込み料理に適している。
ちなみに葉に近い上部は甘みが強く水分も多いため、サラダや野菜スティックなど、みずみずしさを楽しむ食べ方がおすすめである。
下部は辛味が強くなり、水分が少ない。繊維質も感じやすくなるため、パリッとした食感を楽しめる漬物や、辛味を生かした大根おろしにするのがおすすめである。
■皮の剥き方
大根の皮に近い部分には繊維が通っている。繊維が残っていると加熱しても筋っぽく、舌触りが悪くなるため、皮は4~5mm程度を目安に厚めに剥くとよい。皮も食べられるので、捨てずにせん切りにしてきんぴらなどにすれば、無駄なく活用できる。
■下茹でのひと手間
今回のレシピでは、米のとぎ汁を使用して大根を下茹でした。とぎ汁を使うことにより、大根のアク成分が塩類(Caなど)と結合して沈殿するため、アクを除去できる。また、米のとぎ汁に含まれる酵素のアミラーゼやセルラーゼにより、大根の組織の軟化を図り、やわらかく煮ることができる。更に、米のとぎ汁に含まれるデンプン粒子が材料の表面を覆い酸化を防ぐため、白色保持となり、白く美しく仕上げることができる。旨み成分の流出を防ぐ効果もある。
また、下茹でしておくことによって大根の細胞膜の機能が低下し、煮汁の旨味成分等が大根内へと拡散し、味が染み込みやすくなるといったメリットもある。
米のとぎ汁がない場合は、米で代用する事も可能だ。大さじ1程度の米を大根、水と一緒に煮ることで、近い効果を得られる。
結論として、おだしの風味がきいたみずみずしいふろふき大根を再現するには
- 大根の中央部を使う
- 皮を4~5mm程度に厚めに剥く
- 米のとぎ汁で大根を下茹でする
ことが重要である。
アツアツの大根から、じゅわっとしたみずみずしさと、だしの旨味を楽しめる「ふろふき大根」。シンプルな料理だからこそ、手間を惜しまず作ることでおいしさが何段階もアップします。ついつい、下茹でのひと手間を面倒に感じてしまうこともあるかと思いますが、下茹での役割を知っておくと、おいしさを引き出すための大切な工程だと感じられますよね。ぜひ、今回ご紹介したポイントを意識しながら、ふろふき大根作りにチャレンジしてみてください!
フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 西洋料理編』
河内一行ほか/家政教育社
(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)
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